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2024.03.22
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アジアントライゼロG 2023の軌道上実験が行われました!

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2024年2月13日、軌道上の古川聡宇宙飛行士により、青少年向け簡易宇宙実験(Asian Try Zero-G 2023)が実施されました。

今回は、分野Aとして従来募集していた物理的な現象を視覚的に確認できる実験テーマの募集に加え、新たに分野Bとして、宇宙でできるエクササイズテーマの募集区分を新設しました。その結果、分野Aと分野Bを合わせて245件ものテーマの応募があり、提案者数は総勢570名となりました。その中から選ばれた分野Aから11件の簡易物理実験テーマ、分野Bから5件のエクササイズの実験テーマが、国際宇宙ステーションの「きぼう」内で行われました。地上では、実験提案者の学生たちが、筑波宇宙センターやオンラインでこれらの実験の様子を見守りました。また、今回実施した軌道上での簡易物理実験・エクササイズの様子は惜しくもテーマ選定の時点で不採用となってしまった学生や関係者にも配信され、全世界で約350名以上の方にリアルタイムで実験・エクササイズの様子を視聴しました。
軌道上実験の様子を見学する提案者

当日の簡易物理実験・エクササイズの実施順番

内容 国・地域


A
1 十字物体のひねり回転実験 オーストラリア
2 紐と二つのボールの動きの観察 タイ
3
4*
微小重力下でLato-latoの動きを試してみよう
Lato-latoによる宇宙での完全弾性衝突
インドネシア
インドネシア
5 磁力線の観察 バングラデシュ
6
7*
微小重力下でのマグナスグライダーのループ
微小重力下におけるマグナス効果
シンガポール
台湾
8 水球と静電気力 タイ
9 微小重力下でのオロイドの動き フィリピン
10 微小重力環境の毛細管現象における液面上昇加速度の変化 日本
11 Zero-G サイフォン シンガポール


B
12 吹いた息で動こう 台湾
13 ロープを使った柔軟体操 日本
14 ゴムバンドを使った無重力エクササイズ フィリピン
15 無重力下でのヒトデ体操 タイ
16 空気椅子でゴム体操 日本
* 類似の提案テーマを1つの実験テーマとして実施しました。

軌道上実験

分野A:簡易物理実験

軌道上実験は、オーストラリアの実験から開始しました。軌道上では地上とは異なり操作が難しかったことから、古川宇宙飛行士に何度かトライしてもらいました。提案者はその様子を見守り、一喜一憂していました。
オーストラリア「十字物体のひねり回転実験」 (Image by JAXA/NASA)
次に行われたタイの実験では、紐に2つの金属球がついた器具を用いて金属球を回転させその様子を観察しました。1回目のトライでは回転が速くてうまく観察されなかったものの、次のトライでは回転を遅くすることで提案者が期待していた通りの結果を観察することができました。提案者は自分の提案した実験が成功する様子を見て喜んでいました。
タイ「紐と二つのボールの動きの観察」(Image by JAXA/NASA)
次はインドネシアの2つのチームから提案されたLato-Latoというインドネシアで流行しているおもちゃ(日本ではアメリカンクラッカー)を使用した実験が古川宇宙飛行士により行われました。初めは持ち手と球が固定されていない紐のLato-Latoをトライしました。球と持ち手が固定されていないためか連続で球同士をぶつけることが難しく、古川宇宙飛行士は苦戦していました。そこで、別のタイプの球と持ち手の間が固定されているプラスチック製のLato-Latoを使用して実験を継続しました。こちらは何度がトライしているうちに地上と同じように上手にぶつけることができるようになりました。提案者はオンラインでその様子を見守り、地上と軌道上での難しさの違いに驚いている様子でした。

インドネシア「微小重力下でLato-latoの動きを試してみよう」「Lato-latoによる宇宙での完全弾性衝突」(Image by JAXA/NASA)

次はバングラデシュから提案された実験が行われました。古川宇宙飛行士が磁力線Boxの中に磁石を入れるときれいな磁力線を観察することができ、オンラインで視聴していた提案者だけでなく、スタッフ含めてその結果に一同息を飲みました。
バングラディシュ「磁力線の観察」(Image by JAXA/NASA)
次はシンガポールと台湾の2チームから提案されたマグナスグライダーという器具を使用した実験が行われました。輪ゴムの巻き数や飛ばす角度を変えてマグナスグライダーを飛ばす実験を行いその軌跡を観察しました。地上とは異なる軌道を描いていたことから、今後、提案者による解析が楽しみです。
台湾「微小重力下におけるマグナス効果」、シンガポール「微小重力下でのマグナスグライダーのループ」(Image by JAXA/NASA)
次の実験からは「きぼう」の多目的実験ラックから展開したワークベンチを使って行われました。ワークベンチの上で行われた初めの実験はタイから提案されたもので、水球が静電気によりどのように変化するのか観察しました。静電気の力により水球が引き寄せられる様子を見て提案者は目を輝かせていました。
タイ「水球と静電気力」(Image by JAXA/NASA)
次に行われたフィリピンの実験で使用した「オロイド」はフィリピンチームが準備、制作した実験器具を古川宇宙飛行士が使って、「きぼう」船内で実験を行いました。提案者はオロイドを投げたり転がしたりした後の軌道をオンラインで観察しその様子に終始感動していました。
フィリピン「微小重力下でのオロイドの動き」(Image by JAXA/NASA)
次に日本から提案された毛細管現象の実験では、提案者による事前の想定と大きく異なる現象が観察されました。こちらの実験でも提案者自らが準備、制作した実験器具が使用されました。今後、提案者による解析が楽しみです。
日本「微小重力環境の毛細管現象における液面上昇加速度の変化」(Image by JAXA/NASA)
ワークベンチ上で最後に実施された実験はシンガポールから提案された実験でした。最初は中々結果を観察することができませんでしたが、古川宇宙飛行士が息を吹く角度を変えることで水の上昇を観察することができました。こちらも事前の想定と異なる現象となり、提案者は驚いている様子でした。
シンガポール「Zero-G サイフォン」(Image by JAXA/NASA)

分野B(エクササイズ)

分野Aのすべての実験が終了し、次にエクササイズのテーマが実施されました。
エクササイズのテーマとして初めに実施されたのは台湾からの提案でした。径の異なるパイプやストローから息を強く吹くことで体が動き出した様子を見ていた提案者は喜びの表情を浮かべていました。
台湾「吹いた息で動こう」(Image by JAXA/NASA)
次は日本から提案されたロープを使った柔軟体操が行われました。宇宙滞在期間が長くなると体が硬くなることが知られているため難しいかと思われましたが、スタッフの想像よりも短い長さで成功した様子を見て提案者も驚いているようでした。
日本「ロープを使った柔軟体操」(Image by JAXA/NASA)
ここからはゴムバンドを使用したエクササイズが実施されました。
まずはフィリピンから提案されたエクササイズが行われ、古川聡宇宙飛行士からエクササイズ毎に感想を述べてもらいました。オンラインでその様子を見ていた提案者は自分の提案したエクササイズが実施される様子や感想に終始喜んでいました。
フィリピン「ゴムバンドを使った無重力エクササイズ」(Image by JAXA/NASA)
次はタイの学生から提案されたエクササイズが行われました。地上とは異なる環境下でのエクササイズ実施は難しそうで、特に体を固定しながら行うのが大変な様子を見ることができました。成果報告会にて古川宇宙飛行士からの感想が楽しみです。
タイ「無重力下でのヒトデ体操」(Image by JAXA/NASA)
今回の軌道上実験・エクササイズで最後に行われた日本から提案されたエクササイズは、地上では難しい姿勢である空気椅子の状態で行われました。提案者は自分の提案したエクササイズが実施される様子を見て目を輝かせていました。
日本「空気椅子でゴム体操」(Image by JAXA/NASA)
すべての実験が終了した後、古川宇宙飛行士は、本プログラムに応募したアジア各国・地域の学生および参加機関に感謝の意を表しました。

古川宇宙飛行士による締めの挨拶

Asian Try Zero-G 2023の物理実験とエクササイズが終了しました。
筑波宇宙センターや各地の学生の皆さん、実験やエクササイズは如何でしたか?
楽しくて魅力的だと感じていただければ幸いです。
これらの簡単な物理実験を通じて、ユニークな環境でさまざまな現象を観察しました。 ぜひ皆さんが目にしたものを分析し、考察することをお勧めします。
最後に、私は宇宙でこれらのエクササイズを行うことができてとても楽しい時間を過ごしました。 地球に戻ったら、成果報告会で皆さんの観察結果や分析を聞くのを楽しみにしています。
締めの挨拶を行う古川宇宙飛行士 (Image by JAXA/NASA)

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA