インクリメント72期間
インクリメント72キーメッセージ
インクリメントマネージャ紹介
インクリメント72を担当することになりました、井上夏彦と申します。ここでは、インクリメント72の特徴についてご説明させていただきます。
まずは「きぼう」利用(以下、きぼう利用)を持続的な経済活動の場とするべく、プレイヤーとなる民間企業などの参入のハードルをさらに引き下げていくための活動です。この目的でJAXAでは「有償利用制度(非定型サービス)減免制度」を新たに設け、民間企業による事業実証機会を拡大するため、宇宙リソース(試料の打上、回収や実験にかかる宇宙飛行士が軌道上で作業する時間など)利用料の減免の回数や減免割合を拡大して案件を募集してきました。インクリメント72では、この制度を利用した3件のミッションが予定され、本格的に動き始めます。IMとして、ますます本制度のユーザを増やすべく、これらのミッションを確実に実施することできぼう利用の確実性をアピールしていきます。
続いては、きぼう利用の柱であるプラットフォームの拡大に向けた活動です(プラットフォームについては きぼう利用戦略 をご覧ください)。きぼう利用の一層の多様化を進めるための新たな柱となるべく実験を行う予定なのが、「細胞医療への貢献に向けた立体培養技術の有効性実証」(Cell Gravisensing)、及び「将来有人活動の安全基盤確立に向けた宇宙火災研究」(FLARE)です。プラットフォームは将来的には民間企業をサービス提供事業者として自立的に成果を創出できるようになることを想定しており、前段と併せてきぼう利用の裾野をさらに一層広げていきます。
最後に、宇宙応援団を増やすとともに将来の月火星探査に向けた国際プレゼンスを高めるためのミッションです。この分野の筆頭は、なんと言っても2025年2月以降に予定されている大西宇宙飛行士のISS長期滞在ミッションの開始です。大西宇宙飛行士にとっては2度目のISS滞在となりますので、勝手知ったる宇宙の我が家、ISSを縦横無尽に飛び回って活躍する日本人宇宙飛行士の姿を見ることで、宇宙に親しみ、宇宙を志す仲間が増えてくれることを期待しています。これに加え、キュートな姿で人気の宇宙飛行士サポートロボット「JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機(Int-Ball2)」については、ESAのサポートロボット「CIMON」と連携することによりお互いの機能の限界を超えた作業を可能にする国際連携複数ロボット協調ミッション(ICHIBAN)を予定しています。お楽しみに。
盛りだくさんのインクリメント72ですが、計画されたミッションを完遂して「きぼう」利用の最大化に務めます。ISSや「きぼう」利用の詳細については有人宇宙技術部門のホームページにて紹介しているほか、最新の見どころはフライトディレクタ やきぼう利用ネットワーク のXアカウントでも紹介しておりますので、是非お立ち寄りください。
利用ミッション(予定)
新薬設計支援プラットフォーム
- 高品質タンパク質結晶生成実験
- 高品質タンパク質結晶生成実験(低温、米国打上げ)【LTPCG#10、11】
- 高品質タンパク質結晶生成実験(中温、米国打上げ)【MTPCG#11、12】
健康長寿研究支援プラットフォーム
超小型衛星放出プラットフォーム
船外ポート利用プラットフォーム
革新的材料研究⽀援プラットフォーム
細胞医療研究支援プラットフォーム(次期プラットフォーム候補)
先進的燃焼研究支援プラットフォーム(次期プラットフォーム候補)
民間利用拡大に向けた取り組み
- データ伝送事業技術実証(環境センサー)【Automated File Dump Demo】
- I-Space Essay
- JEM commercial user support equipment【JUSE】
このほかは、Inc.72開始時点では非公開。
次期ラック利用開始に向けた取組み(きぼう利用イノベーション)
超長期有人滞在技術・探査技術
科学研究促進(船外ポート利用)
科学研究促進(生命医科学)
国際協力・STEM教育
- Int-Ball2 CIMON Hovering Intelligences Building first AI Network【 ICHIBAN 】
- ※実施予定の利用ミッションは、「きぼう利用戦略」の具体的取り組みの分類に基づいたマッピング(図1)を基に優先順位を定めています。