宇宙環境利用および「きぼう」利用ワークショップ(SEKUW)
アジア・太平洋地域の皆さんと取り組んできました。
SEKUW(Space Environment and Kibo Utilization Workshop)は、アジアのきぼう利用ワークショップに参加している国々が、宇宙研究、特に微小重力実験のさまざまな分野からの最新情報を提供するために開催する国際ワークショップです。
これまでの開催実績は以下となっています。
日韓宇宙環境利用研究セミナー
両国の科学者による学術交流が行われてきました。
背景と目的
宇宙環境を利用した研究は、高真空、微小重力、宇宙線、広視野を得られるという宇宙環境を様々な目的のために利用する比較的新しい科学活動で、物理学、化学、ライフサイエンス、高分子、タンパク質、材料、流体物理学、燃焼等、地上のほとんどの科学分野をターゲットにしています。
宇宙環境のひとつである微小重力は、研究者にとりわけ恩恵をもたらすもので、重力を減少させることにより、地上の重力加速度1Gでは見ることのできない現象が現れます。 この微小重力環境は科学技術全体の進化に新たな側面を与えています。米国、カナダ、欧州諸国は、スペースシャトルでの飛行により1980年代初頭から宇宙環境利用研究を進めてきました。
日本も1990年代にスペースシャトルの利用に参加して宇宙実験を実施すると共に、小型ロケット、航空機、落下塔などの短時間の実験能力も獲得しました。現在は、米国、カナダ、欧州諸国、ロシア、日本が低周回軌道のISSの建設・運用に携わっています。このように、宇宙環境を利用した科学の発展が期待されています。
「日韓科学技術協力協定」は、1985年に締結され、基礎科学技術における協力が進められています。2001年にソウルで行われた専門家による第3回のフォーラムにおいて、科学技術政策、ライフサイエンス、ナノテクノロジー、情報工学、海洋・地球等の分野において今後の協力に向けた提言がなされました。
上で述べたような環境を考慮し、日韓の科学者による日本学術振興会(JSPS)の二国間交流の範疇で行われる共同セミナーを利用するのが大変時宜を得ており、宇宙における未来の科学について新たなアイディアと範囲を創造する場になると考えられました。会議において宇宙で試験するほうが良いトピックが識別され、ミッションを宇宙へ運ぶ方法論が審議・評価されることになりました。さらに、微小重力環境下で得られた原理の新たな側面から、地上における研究の改善に役立てることができると期待されます。
日本における微小重力研究は15年以上の歴史があります。私たちの知る限り、韓国には基礎および応用科学における世界クラスの研究者集団があり、現在、宇宙環境利用研究分野に携わる専門グループを形成しているところです。
開催実績
韓国側の共同議長であるYonsei大学のInho CHOI教授が、藤森義典氏の協力のもと、第15回セミナーの様子と、本セミナーの15年にわたる歴史をビデオにまとめられました。
各開催の資料
⽇韓宇宙環境利⽤セミナーは、第1回は、2004年9⽉4⽇、JAXA筑波宇宙センターにて⾏われました。その後、日韓交互に開催され、最終となる第15回は、2018年9月20~21日に東北大学で開催されました。各開催の資料は以下よりご覧いただけます。
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA