インクリメント67期間
インクリメント67キーメッセージ
インクリメントマネージャ紹介
2022年3月末から開始した6か月間のインクリメント67は、おかげさまで無事に終了しました。
振り返ってみると、シグナス補給船運用18号機(NG-18)打上げ、Crew-5打上げ、Crew-4帰還が延期になったことにより、それらに付随する実験も延期になりました。しかし、各フライトの延期により確保できた時間を有効に利用して、宇宙火災安全テーマ(FLARE)においては、ISSで世界初となる高濃度酸素条件での材料燃焼実験を実施することができました。さらに、全天にわたるX線天体観測(MAXI)においては、NASAとの協力(NICER連携)によるX線突発天体の即時観測計画を8月10日に開始し、9月13日に連携観測に成功するなどの大きな成果を挙げることができました。
その他、各既存プラットフォームを利用した各種ミッションを確実に行うことにより成果創出を積み重ねることができました。国際協力ミッションについては、第8回小動物飼育ミッション(MHU-8)に向けた準備作業や第3回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)に向けた準備作業などを確実に実施できました。以上のことから、インクリメント67で掲げた「きぼうの安定的な運用・利用を通じたISSプレゼンスの発揮」は達成することができたかなと思っています。
インクリメント期間中には幾度もスケジュール変更や不具合などの困難がありましたが、各ミッション担当者や運用チームのメンバー、JAXAの先輩方、NASAの方々などのご協力により、何とか無事に乗り切ることができたと思っています。この場を借りまして、関係者の皆さま方に心から感謝申し上げます。また、応援くださった方々、本当にありがとうございました。ISS運用はこれからも継続し、世の中のためになる成果を創出していきますので、引き続きよろしくお願い致します。
こんにちは。インクリメント67を担当します工藤です。
これまでISSの開発・運用を通じて先人が築き積み重ねてきた知見や経験を生かして、日本の今後のさらなる発展のために、各国のパートナーと協力し、各ミッションを着実に実施していきたいと思っています。
具体的には、超小型衛星放出、船外ポート利用、新薬設計支援、健康長寿研究支援、⾰新的材料研究⽀援の各既存プラットフォームを利用したミッションを確実に行うことにより成果創出を安定的に積み重ねていくこと、国際協力ミッションをパートナー一丸となって取り組み、確実に成功へ導けるように努力したいと思っています。また、インクリメント後半には若田宇宙飛行士が長期滞在を開始します。さらに、来年には古川宇宙飛行士も長期滞在予定と日本人の活躍が続くため、その事前準備や広報活動にも力を入れて取り組んでいきたいと思っています。
2024年まであと2年、まだずいぶん先の遠い未来と思っていた時代がもう目の前に近づいています。ISSの2030年までの運用延長も議論されている最中ではありますが、ISSを使用できる期間に可能な限りやれることをやり尽くし、将来の有人宇宙探査活動に向けての準備や成果を積み重ねることで、次の人たちにバトンを渡せるように繋いでいきたいと思っています。国内外の関係者の皆さんと力を合わせて頑張っていきますので、応援のほど、よろしくお願い致します。
利用ミッション(実施)
超小型衛星放出プラットフォーム
船外ポート利用プラットフォーム
- 中型曝露実験アダプタ1(i-SEEP1)利用
- 中型曝露実験アダプタ2(i-SEEP2)利用
- 簡易材料曝露実験ブラケット【ExBAS】#1-1搭載サンプル
- Artificial Diamond Substrate Exposure Experiment in Space
- Exposure experiment of wooden specimen to outer space on the ISS
- Astrobiology Japan 4(Tanpopo-4)
- Space BD Space Delivery Project 1
- 全固体電池軌道上実証装置【Space AS-LiB】
- The intelligent Space System Interface Flight Qualification Experiment【iSSIFQE】
- 簡易材料曝露実験ブラケット【ExBAS】#1-1搭載サンプル
- 宇宙実証用ハイパースペクトルセンサ【HISUI】 *外部サイト
- 宇宙の秘密を握る暗黒物質や宇宙線加速の謎が明らかに 高エネルギー電子、ガンマ線観測装置【CALET】
- 宇宙空間をX線で探る 全天にわたるX線天体の長期・短期変動の研究【MAXI】
健康長寿研究支援プラットフォーム
無容器処理技術を利⽤した材料研究への貢献(革新的材料研究⽀援プラットフォーム)
新プラットフォーム形成(将来有人活動の安全基盤確立に向けた宇宙火災研究(仮))
長期滞在・探査ミッション技術獲得
科学研究促進(生命医科学)
科学研究促進(物質・物理科学)
- ※利用ミッションは、「きぼう利用戦略」の具体的取り組みの分類に基づいたマッピング(図1)を基に優先順位を定めています。