静電浮遊炉を利用した米国の2番目の実験を開始しました!

公開 2021年11月26日
静電浮遊炉

国際宇宙ステーション(ISS)の利用成果拡大のため、日本と米国で実験装置の相互利用などを促進するプログラム(Japan-United States Open Platform Partnership Program :JP-US OP3)があります。このプログラムに基づき、2020年6月から「きぼう」日本実験棟に搭載した静電浮遊炉(ELF)を利用した米国の実験を実施しています。2021年3月に米国の最初の実験を完了しました。(関連リンク

2021年11月から米国との協力による2番目の実験を開始しました。本研究は、静電浮遊炉等を利用して酸化物(ガラス)の液体状態の物性値を精密に測定することを目的としており、酸化物(ガラス)の生成過程と構造の関係を解明することが期待されます。今後も継続して静電浮遊炉を利用した米国の実験を実施する予定です。

  • 研究代表者米国MDI社、Richard Weber 博士
  • 実験名Super glass (Microgravity Investigation of Thermophysical Properties of Supercooled Molten Metal Oxides)
  • 実験目的
    • 過冷却が酸化物融体の密度、粘性に与える影響を調べる。
    • ガラスが生成する過程を理解し、地上でより良い性能を持つガラスを生成することを目指す。
研究代表者コメント
Richard Weber 博士

Materials Development, Inc. is looking forward to the experiments using the JAXA Electrostatic Levitation Furnace (ELF) on the International Space Station (ISS). The ELF instrument is very effective for measuring the thermophysical properties of non-equilibrium molten metal oxides. The ELF container-less method allows supercooling and glass formation in conditions that can only be accessed in microgravity. The JAXA team are expert in operating the ELF to obtain the exact conditions needed to study the samples that we have on ISS. The NASA support staff help to coordinate the operations with JAXA. The collaborators are helping to analyze data and will be studying samples when they are returned from the flight experiments. These experiments are helping to lay the basis for new optical and glass materials needed for important, high value technological applications.

MDI社はISSにあるJAXAの静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)を利用した実験を楽しみにしています。ELFは非平衡※1な金属酸化物の融体の熱物性を測定するのにとても有効です。ELFの無容器方法は、微小重力環境でのみ達成できる、過冷却※2およびガラスの形成を可能にします。JAXAのチームは、まさに我々が必要な条件を得られるようにELFを運用するエキスパートです。研究分担者は、得られたデータを解析し、試料が宇宙実験から地上へ帰ってきたら試料を分析します。これらの実験は、重要かつ高価値な技術的な応用に必要な、新たな光学およびガラス材料の基礎となります。

  • ※1 非平衡:通常の結晶では、原子は整った配列をしている。これを平衡状態という。これに対して、ガラスなどでは原子は整った配列をしておらず、ランダムに配列している。これを非平衡状態という。
  • ※2 過冷却:容器を使用して融体を冷却すると、融体の凝固点で凝固が始まり、融体は固体になる。これに対して、ELFなどの無容器法では、容器がないため、融体の温度が凝固点以下になっても凝固が始まらず、融体の状態を維持する。これを過冷却という。水で例えると、-10℃になっても、氷にならず、水のままになっている状態。

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