概要
2023年10月21日、第4回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo Robot Programming Challenge:以下、Kibo-RPC)の軌道上決勝大会イベントを開催しました。本イベントでは、各国・地域の予選を勝ち抜いた代表10チームが、自分たちが作成したプログラムでNASAのドローンロボット ”Astrobee” を動かし、ゴールに到達するまでの時間とレーザ照射の正確性を競いました。また今回初めて、軌道上決勝大会イベントをJAXA筑波宇宙センターとオンラインのハイブリッドで開催し、5チームが筑波宇宙センターでイベントに参加しました。
なお、本イベントの様子は、以下のYouTubeのJAXAチャンネルでビデオ公開していますので、是非ご覧ください。
第4回Kibo-RPC軌道上決勝大会の様子YOUTUBE
表1. 軌道上決勝大会の参加チームリスト(アルファベット順 )
国・地域 | チーム名 |
オーストラリア | Dream Rover |
バングラデシュ | Team Paragon |
日本 | Eager Hoper |
マレーシア | Zetsubo |
シンガポール | SST1 |
台湾 | Flying Unicorns |
タイ | Galactic4 |
UAE | AUS-IEEE-RAS |
国連宇宙部 | ORION(インドネシア) |
アメリカ合衆国 | Salcedo |
軌道上決勝大会イベントについて
イベントのはじめに、解説を担当する東京大学中須賀真一教授、JAXA若田光一宇宙飛行士のあいさつのほか、本イベントMCのJAXA宮川弥生主任からの概要説明や、NASAエイムズ研究センター(ARC)のJose V. Benavides(ホセ・ブイ・ベナビデス)氏(Astrobeeプロジェクトマネージャー)のビデオメッセージが紹介されました。
JAXA永瀨桂研究開発員よりゲームルール解説のあと、古川宇宙飛行士から競技会場となる 「きぼう」船内の紹介があり、軌道上決勝大会の競技が開始されました。(図2)(プログラム:表2)
JAXA永瀨桂研究開発員よりゲームルール解説のあと、古川宇宙飛行士から競技会場となる 「きぼう」船内の紹介があり、軌道上決勝大会の競技が開始されました。(図2)(プログラム:表2)
図2 大会の様子
競技会の見どころ
今回のルールではAstrobeeを動かす最適な経路の選択、レーザの照射位置、タイムマネジメントといったチーム戦略が重要となり、各チームに特色が出ていました。特に加点要素につながるQRコードの読み取りは任意のタイミングで実施できることから、読み取るタイミングを工夫しているチームや、読み取らずにより多くのターゲットにレーザを照射することを選択したチームもあり、それぞれのチーム戦略が現れた部分の一つです。学生たちはチームを紹介した後、自分たちのプログラムしたAstrobeeが「きぼう」船内をどのように動くのか、ミッションを無事達成できるのかを見守りました。(図3)
ミッションを無事達成できているチームがあった一方で、予選大会で使用したシミュレーション環境と実環境との違いが結果を左右する部分もあり、実環境ならではの難しさを実感したチームもありました。(各チームの成績:表3)
ミッションを無事達成できているチームがあった一方で、予選大会で使用したシミュレーション環境と実環境との違いが結果を左右する部分もあり、実環境ならではの難しさを実感したチームもありました。(各チームの成績:表3)
結果発表
全チームの競技終了後、軌道上決勝大会の結果発表が行われました。
見事1位に輝いたのは台湾代表「Flying Unicorns」でした(図4)。第2位にシンガポール代表の「SST1」(図5)、そして第3位にタイ代表チーム「Galactic4」(図6)が、入賞しました(表2)。
表彰式ではチーム名が発表されると、チームメイトと喜びを分かち合っていました。1位の「Flying Unicorns」と3位の「Galactic4」は、筑波宇宙センターで参加したため、若田宇宙飛行士から直接表彰状が授与されました。2位に輝いたシンガポールチームにも後日表彰状が送付されます。
見事1位に輝いたのは台湾代表「Flying Unicorns」でした(図4)。第2位にシンガポール代表の「SST1」(図5)、そして第3位にタイ代表チーム「Galactic4」(図6)が、入賞しました(表2)。
表彰式ではチーム名が発表されると、チームメイトと喜びを分かち合っていました。1位の「Flying Unicorns」と3位の「Galactic4」は、筑波宇宙センターで参加したため、若田宇宙飛行士から直接表彰状が授与されました。2位に輝いたシンガポールチームにも後日表彰状が送付されます。
第4回Kibo-RPCは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の日常における位置づけが変更されてから初めての大会となり、総勢24名の学生と宇宙機関職員のJAXA筑波宇宙センターでのイベント参加が実現しました。オンラインのみのイベントとは違い、ファイナリスト同士の交流も生まれ、楽しんで参加していただけたようです。
謝辞と予告
本イベントの開催に向けてご協力いただいた参加各国・地域の宇宙機関/研究機関の方々、また最後まで諦めずにプログラムを作成、提出していただいた学生の皆さんのおかげで、第4回Kibo-RPCも成功裏に終了することができました。このイベントを通して学んだことや経験したことが皆さんの将来に繋がることをスタッフ一同、願っています。
第5回Kibo-RPCの開催も予定しておりますので、次回のご参加もお待ちしております。
第5回Kibo-RPCの開催も予定しておりますので、次回のご参加もお待ちしております。
表2. Kibo-RPC軌道上決勝大会のプログラム
プログラム | 出演者 | |
1 | Opening video | 司会: JAXAきぼう利用センター 主任 宮川弥生 |
2 | Introduction:司会と解説員の紹介、軌道上決勝大会について | 解説員: ・東京大学大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授 中須賀真一 ・JAXA宇宙飛行士 若田光一 |
3 | NASA ARC ビデオメッセージ | NASA Astrobeeプロジェクトマネージャー Jose V. Benavides |
4 | ルール説明 | JAXAきぼう利用センター 研究開発員 永瀨桂 |
5 | Opening Remarksビデオ | JAXA宇宙飛行士 古川聡 |
6 | 各チームよる自己紹介と軌道上運用時のビデオ再生 (アルファベット順) | 解説員: ・中須賀教授 ・若田宇宙飛行士 |
7 | 結果発表と表彰 ヒーローインタビュー |
結果発表者:若田宇宙飛行士 優勝チーム:Flying Unicorns(台湾) |
8 | 講評 | 中須賀教授 |
9 | Closing Remarks | 古川宇宙飛行士 UAE宇宙飛行士 スルタン・アル・ネヤディ |
10 | クロージングコメント | 宮川主任 |
表3. 軌道上決勝大会の成績一覧
横スクロールしてお読みください。
順位 | 国・地域 | チーム名 | ミッション 完了時間 |
フェーズ数 | ゴール到達 | QRコード 読み取り |
Leaser Hit / Active Targets |
得点 |
1 | 台湾 | Flying Unicorns | 4:56.5 | 5 | ○ | ○ | 4/7 | 110.77 |
2 | シンガポール | SST 1 | 3:36.6 | 3 | ○ | ○ | 2/4 | 98.54 |
3 | タイ | Galactic4 | 4:38.5 | 4 | ○ | ○ | 4/6 | 94.79 |
4 | 国連宇宙部 | ORION | 4:51.1 | 4 | × | × | 4/6 | 91.99 |
5 | バングラデシュ | Team Paragon | 4:14.1 | 3 | ○ | ○ | 4/6 | 70.20 |
6 | UAE | AUS-IEEE-RAS | 4:08.2 | 4 | × | ○ | 3/6 | 61.51 |
7 | マレーシア | Zetsubo | 3:53.5 | 2 | × | × | 1/3 | 24.77 |
8 | オーストラリア | Dream Rover | 5:25.8 | 3 | × | × | 0/4 | Time’s up |
8 | 日本 | Eager Hoper | 5:17.4 | 4 | ○ | × | 3/6 | Time’s up |
8 | アメリカ合衆国 | Team Salcedo | - | 3 | × | × | 2/4 | Time’s up |
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA