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2023.03.10
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アジアントライゼロG 2022の軌道上実験が行われました。

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2023年1月17日、軌道上の若田光一宇宙飛行士の手により、青少年向け簡易宇宙実験(Asian Try Zero-G 2022)が実施されました。今回はアジア各国・地域の480名の学生から寄せられた201件のアイデアの中から選ばれた6つの実験が行われました。地上では、実験提案者の学生さんたちが、筑波宇宙センターとオンラインからこの実験の様子を見守りました。

軌道上実験の立合い

日本、シンガポール、台湾、タイの9名の実験提案者と引率者3名が2023年1月17日に筑波宇宙センターを訪問しました。コロナ禍ではあるものの、実に約5年ぶりの現地での実験立会いが実現しました。またフィリピンの実験提案者は、オンラインでの参加となりました。
筑波宇宙センターを訪問した学生と引率者は、まず「きぼう」の宇宙用ロボットを開発している現場や、地上試験用の宇宙実験装置を見学しました。その後、ロケットや人工衛星、「きぼう」の模型などが展示されている展示館(スペースドーム)を見学しました。
宇宙実験開始前に、オリエンテーションとして各提案者が自身の実験内容について発表し、質疑応答を行いました。
その後、「きぼう」運用管制室(Mission Control Room:MCR)が見渡せる特別室に移動して「きぼう」での若田宇宙飛行士が行う実験と、それをリアルタイムで運用する管制員の業務の様子を目の当たりにする、貴重な体験をしました。

当日の実験スケジュール

内容 国・地域
1 若田宇宙飛行士による軌道上でのセットアップ等の準備
2 若田宇宙飛行士によるOpening Remarks
3 微小重力環境におけるダンベル型物体の回転運動 フィリピン
4 微小重力環境における水の渦の観察 台湾
5 宇宙二重振り子 シンガポール
6 粉体ガスの自己組織化と3次元パターン形成 日本
7 微小重力環境における毛細管現象の観察 タイ
8 微小重力環境における水球擾乱の観察 タイ
9 若田宇宙飛行士によるClosing Remarks
10 若田宇宙飛行士による片付け
筑波宇宙センターのロケット広場での記念撮影
宇宙実験に立ち会う実験提案者の学生たちと大西宇宙飛行士
軌道上実験の結果を確認してOKサインを出す日本の学生たち
軌道上実験の様子を大西宇宙飛行士と見学するタイの学生たち
実験結果を確認するシンガポールの学生たち
実験の事象について大西宇宙飛行士から説明を受ける台湾の学生

軌道上実験

軌道上実験は、フィリピンの実験から開始しました。提案者はオンラインでその様子を見守り、自分の提案した実験が実施される様子に終始感動していました。
次に行われた台湾の実験では、水と泡を含んだボトルを回転させて、中の様子を観察しました。また、若田宇宙飛行士が下からライトを当てるとその美しさに一同息をのみました。
今回、シンガポールの実験では、提案者自らが準備、制作した実験器具を若田宇宙飛行士が使って、「きぼう」船内で実験を行いました。事前の想定と異なる実験結果に、提案者は一喜一憂していました。
日本の実験は2台のハイビジョンカメラを使い、実験条件を変えて映像を取得しました。
タイの毛細管現象の実験では、提案者による事前の想定と大きく異なる現象を観察しました。今後、提案者による解析が楽しみです。また、タイのもう一つの実験は、微小重力状態で作成する水球に様々な固体をぶつけるものでしたが、こちらも事前の想定と異なる現象となり、提案者は目を輝かせていました。
今後、提案者による解析が行われ、実験結果は2023年3月中頃に行う成果報告会で報告されます。
なお、今回の実験提案内容は、こちらから確認いただけます。
フィリピン「微小重力環境におけるダンベル型物体の回転運動」(image by JAXA/NASA)
台湾「微小重力環境における水の渦の観察」(image by JAXA/NASA)
シンガポール「宇宙二重振り子」(image by JAXA/NASA)
日本「粉体ガスの自己組織化と3次元パターン形成」(Image by JAXA/NASA)
タイ「微小重力環境における毛細管現象の観察」(Image by JAXA/NASA)
タイ「微小重力環境における水球擾乱の観察」(Image by JAXA/NASA)
すべての実験が終了した後、若田宇宙飛行士は、本プログラムに応募したアジア各国・地域の学生および参加機関に感謝の意を表しました。
その後、全ての応募者のうち、希望者の写真を軌道上のPCに表示して、若田宇宙飛行士が一緒に並んで記念写真を撮影しました。

若田宇宙飛行士による閉会の辞

あっという間に時が経ち、アジアントライゼロG 2022も終わりを迎えました。
とくに微小重力環境下で、さまざまな物体がどのように振る舞うのかを見ることは、大変興味深いものでした。学生の皆さんたちによる実験結果の分析を聞くのを楽しみにしています。アジアントライゼロGでは、アジア太平洋地域の学生や若手研究者の育成を目指しています。来年も開催予定です。次の挑戦者はあなたかもしれません!またお会いしましょう!
実験を提案した学生とスタッフの集合写真

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA