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2026.02.05
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第31回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)でのKibo-ABCワークショップの開催報告

  • きぼうアジア利用推進室(KUOA)
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2025年11月17日、フィリピンのセブにて、フィリピン宇宙庁(PhilSA)宇宙科学ミッション局部長のReinabelle C. Reyes博士と JAXA宇宙環境利用推進センター長の白川正輝が共同で議長を務め、Kibo-ABC(Asian Beneficial Collaboration through “Kibo” Utilization)ワークショップが開催されました。オンライン参加者を含め、13か国・地域の18機関から38名が参加しました。

Kibo-ABCはアジア・太平洋地域宇宙機関会議(Asia-Pacific Regional Space Forum: APRSAF)の宇宙フロンティア分科会(Space Frontier Working Group: SFWG)が2012年に創設したイニシアチブで、アジア・太平洋地域における「きぼう」利用の促進と価値共有を目的としています。

Kibo-ABCワークショップはAPRSAFに合わせて毎年開催されており、今回はセブ現地とオンラインのハイブリッド開催となりました。ワークショップではKibo-ABC加盟国・地域のメンバーが一堂に会し、Kibo-ABCの各種プログラム「「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)」、「アジアントライゼロG (ATZ-G)」、Future Talkとして「アジアの種子(SSAF)」の報告・発表が行われました。さらに、2016年のATZ-G を軌道上で担当し、2025年3月から8月の146日間国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在し船長を務めた大西卓哉宇宙飛行士がスペシャルゲストとして参加し、軌道上での映像を交えた講演を行いました。

図1. Kibo-ABCワークショップ出席者による集合写真

JAXA大西卓哉宇宙飛行士によるミッション報告

大西宇宙飛行士は2025年3月15日から8月10日のISS滞在中に、4月19日から8月6日にかけて日本人として3人目の船長を務めました。講演では、1回目(2016年)と2回目(2025年)のフライトでの活動について映像を交えて説明し、ISS滞在中に実施した「宇宙でやってみた」企画についても紹介しました。
また、ATZ-GおよびKibo-RPCの意義や重要性について宇宙飛行士としての視点で語り、Kibo-ABCメンバーにとって宇宙飛行士から微小重力環境での実体験に基づく話を聞く非常に貴重な機会となりました。
図2.ミッション報告をする大西宇宙飛行士

「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)

Kibo-RPCは、宇宙飛行士をサポートするために開発されたISS船内ドローンであるAstrobee(NASA)や次回登場予定のInt-Ball2(JAXA)をプログラミングし、さまざまな課題を解決する速さと正確性を競う教育プログラムです。
6回目となる今回は、参加した13か国・地域のうち12か国・地域から、イベントの開催状況やメディア等での報道状況について報告がありました。

昨年に引き続き、解説動画の制作、オンラインイベントや勉強会を通じた人材育成の促進、成績上位者向けのインセンティブ授与など、各国・地域独自の取り組みが共有されました。また初心者へのサポートとして、メンター制度やビギナーズコースの実施など、効果的であった工夫を報告した参加国・地域もありました。さらにJAXAが実施したシミュレータ上での初心者コース展開の可能性などについても意見が交わされました。

この他、今回の大会を通した成果や課題について、参加国・地域間で活発な議論が交わされました。新規参加者の増加、参加証の発行によるモチベーション向上、スポンサー協力の獲得などポジティブな報告に加え、イベントPRなどの周知に関する取り組み、継続的な参加による宇宙人材能力開発への貢献などについても議論が行われました。

アジアントライゼロG(ATZ-G)

ATZ-Gは、アジア・太平洋地域における宇宙環境利用の普及を目的として、各国の青少年から軌道上で行う簡易物理実験アイデア募集し、選定された実験をISSに長期滞在中のJAXA宇宙飛行士が「きぼう」で行うプログラムです。本ワークショップ内ではATZ-G 2025 に参加した9か国・地域から、募集や選抜、オリエンテーションの様子や参加者の推移、メディア等での報道状況、課題について報告がありました。アラブ首長国連邦(UAE)からは、地上と宇宙での対照実験の実施提案もありました。ATZ-G 2025の宇宙実験は2026年2月頃に実施される予定で、実施への期待や次回開催への要望が寄せられました。
この他にもKibo-RPCと同様に、参加者を増やすための施策やイベントスケジュール、募集に向けた事前準備の課題などについて議論が行われました。

ATZ-Gについては、周知活動の効果による参加者増加、未来の科学者の育成につながる効果、参加者の男女比が半々になっている傾向、実験案の質の向上、メディア掲載による宇宙探査や技術への理解浸透などの利点が挙げられました。また、参加者を増やすための具体策として、教員や学生向け資料の整備、ワークショップの開催、参加校の拡大、募集期間の延長、募集に向けた事前準備強化といった提案が挙がりました。

Future Talks

Future Talksでは、ISS退役後のポストISSに向けた月・火星を目指した有人宇宙探査における課題について議論が行われました。
JAXAからは宇宙での食料生産、特に循環型の食糧生産技術の必要性について紹介しました。PhilSAからはSFWG2日目に予定されているパネルディスカッション「将来の有人宇宙探査に向けた長期滞在での栄養と心身の健康」について、宇宙食という切口からパネルディスカッションの意図および概要が紹介され、その中でPhilSAが企画している「Cosmic Asian Kitchen」の紹介と、当該企画への協力・参加について呼びかけが行われました。

アジアの種子(SSAF)

SSAFは、Kibo-ABCのプログラムのひとつで、アジア・太平洋地域の若手研究者や青少年に、宇宙実験や宇宙環境利用研究について学ぶ機会を提供することを目的としています。特に第3回アジアの種子2021-21(Asian Herb in Space: AHiS)では、植物を使用した実験を通じて宇宙生物学を学ぶ機会が広く提供されました。

今回のAPRSAFではFuture Talksの一環で、オーストラリア、タイ、台湾、日本から、将来の月・火星探査を見据えた宇宙種子実験に関する国内イベント等の展望や概要、スケジュールなど、具体的な内容が紹介されました。また、今後の宇宙種子実験について、JAXAより第4回SSAFプログラム(プログラムタイトルは今後募集予定)の実施および国際アカデミックチームの結成が提案され、参加国から同意が得られました。
図3. Kibo-ABCワークショップの様子
図4. 左より: JAXA白川正輝とPhilSAのReinabelle C. Reyes氏、Kibo-ABC ワークショップの両議長
本ワークショップ全体を通じて、現在進めているプログラムや、今後新たに始まるプロジェクトについて、活発な意見交換が行われました。進行中のプログラムに関しては、昨年に引き続き、各国・地域が抱える課題が共有され、より良いプログラムにするべく議論が行われました。これらの課題や改善点については、引き続き参加国・地域で議論していくことで合意しました。
また、今回は特にポストISSを見据えたSSAFプログラムが始動し、今後の活動への期待が高まる中、ワークショップは終了しました。

Kibo-ABCワークショップ情報

日時 2025年11月17日 9:00~16:25(Philippines Standard Time, UTC+8)
Agenda Kibo-ABCワークショップアジェンダ(英語)
参加国・地域数 13か国・地域、18機関
参加人数 38名(オンラインでの参加者含む)

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA