概要
2024年11月9日、第5回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo Robot Programming Challenge:以下、Kibo-RPC)の軌道上決勝大会が開催されました。各国・地域の予選を勝ち抜いた代表13チーム(表1)は、自分たちが作成したプログラムでNASAのISS船内ドローンロボット”Astrobee”を動かし、画像認識の精度やミッション完了までの早さを競いました。その結果、タイ代表のチーム「Astronut」が見事優勝しました!
今回のイベントは昨年度と同様にJAXA筑波宇宙センターとオンラインのハイブリット形式で開催され、4チームが筑波宇宙センターでイベントに参加しました。
今回のイベントは昨年度と同様にJAXA筑波宇宙センターとオンラインのハイブリット形式で開催され、4チームが筑波宇宙センターでイベントに参加しました。
なお、本イベントの様子は、以下のYouTubeのJAXAチャンネルでビデオ公開していますので、是非ご覧ください。
第5回Kibo-RPC軌道上決勝大会の様子YOUTUBE
表1. 軌道上決勝大会の参加チームリスト(アルファベット順)
国・地域 | チーム名 |
オーストラリア | Dream Rover |
バングラデシュ | team_mukul |
日本 | Celestial-Ravens |
マレーシア | Techwin |
ネパール | TEAM PGS |
フィリピン | Inflection Point |
シンガポール | SST 1 |
台湾 | CHIPI-CHIPI CHAPA-CHAPA DUBI-DUBI DABA-DABA |
タイ | Astronut |
UAE | UF0 |
UNOOSA(国連宇宙部) | ORION 1 |
アメリカ合衆国 | Salcedo |
ベトナム | Pho_VietNam |
軌道上決勝大会について
初めに解説を担当する東京大学の中須賀真一教授、JAXA金井宣茂宇宙飛行士からの挨拶に続き、本イベントMCのJAXA宮川弥生主任からの概要説明や、NASAエイムズ研究センター(ARC)のジョナサン・バロウ氏(Astrobeeプロジェクトマネージャー)のビデオメッセージが紹介されました。JAXA梅村さや香技術領域主幹よりゲームルール説明のあと、競技を担当したNASAのジャネット・エップス宇宙飛行士からOpening Remarksがあり、軌道上決勝大会の競技が開始されました。(図2)(プログラム:表2)
図2 大会の様子
競技の見どころ
今大会はこれまでとは異なり「画像認識」にフォーカスを当て、正確に画像を認識することを重要視しました。画像認識においては、AIによる機械学習を用いた手法やパターンマッチングを使用した手法など多様な手法が用いられます。各チームはそれぞれの強みを生かし、特徴的な戦略を展開しました。学生たちは自分のチームを紹介した後、各自のプログラムで稼働するAstrobeeが「きぼう」船内をどのように動くのか、ミッションを無事達成できるのかを見守りました。(図3)
ミッションを無事達成できたチームがあった一方で、予選大会で使用したシミュレーション環境と実際のISS内の環境との違いをカバーしきれず、その難しさを実感したチームもありました。(各チームの成績:表3)
ミッションを無事達成できたチームがあった一方で、予選大会で使用したシミュレーション環境と実際のISS内の環境との違いをカバーしきれず、その難しさを実感したチームもありました。(各チームの成績:表3)
結果発表
全チームの競技終了後、軌道上決勝大会の結果発表が行われました。
見事1位に輝いたのはタイ代表「Astronut」でした(図4)。第2位にフィリピン代表「Inflection Point」(図5)、そして第3位にバングラデシュ代表チーム「team_mukul」(図6)が、入賞しました(表3)。
表彰式ではチーム名が発表されると、チームメイトと喜びを分かち合いました。1位の「Astronut」は、筑波宇宙センターで現地参加しており、金井宇宙飛行士から直接表彰状が授与されました。2位に輝いたフィリピン代表チームと3位に輝いたバングラデシュ代表チームは、オンラインで参加していたため、後日表彰状が送付されます。
見事1位に輝いたのはタイ代表「Astronut」でした(図4)。第2位にフィリピン代表「Inflection Point」(図5)、そして第3位にバングラデシュ代表チーム「team_mukul」(図6)が、入賞しました(表3)。
表彰式ではチーム名が発表されると、チームメイトと喜びを分かち合いました。1位の「Astronut」は、筑波宇宙センターで現地参加しており、金井宇宙飛行士から直接表彰状が授与されました。2位に輝いたフィリピン代表チームと3位に輝いたバングラデシュ代表チームは、オンラインで参加していたため、後日表彰状が送付されます。
大会の後には、応募者のみが参加できる筑波宇宙センターの施設見学や、中須賀教授等による講義や開発企業によるフィードバックが聞けるワークショップ、現地参加者による交流会が開催されました。
謝辞と予告
本イベントの開催に向けてご協力いただいた参加各国・地域の宇宙機関/研究機関の方々、そして最後まで諦めずにプログラムを作成、提出していただいた学生の皆さんのおかげで、第5回Kibo-RPCを成功裏に終了することができました。このイベントを通して学んだことや経験したことが皆さんの将来につながることをスタッフ一同、心より願っております。
第6回Kibo-RPCの開催は、2025年2月頃には募集開始予定です。次回のご参加もお待ちしております。
第6回Kibo-RPCの開催は、2025年2月頃には募集開始予定です。次回のご参加もお待ちしております。
表2.Kibo-RPC決勝大会のプログラム
プログラム | 出演者 | |
1 | オープニングビデオ | 司会: JAXA 宮川弥生 |
2 | 概要説明と紹介:司会と解説員の紹介、軌道上決勝大会について | 解説員: ・東京大学 中須賀真一 ・JAXA宇宙飛行士 金井宣茂 |
3 | NASA ARC ビデオメッセージ | NASAエイムズ研究センター ジョナサン バロウ |
4 | ルール説明 | JAXA 梅村さや香 |
5 | Opening Remarks | NASA宇宙飛行士 ジャネット・エッブス |
6 | 各チームによる自己紹介と軌道上運用時のビデオ再生(アルファベット順) | 解説員: ・東京大学 中須賀真一 ・JAXA宇宙飛行士 金井宣茂 |
7 | 結果発表と表彰 ヒーローインタビュー |
結果発表者:JAXA宇宙飛行士 金井宣茂 優勝チーム:Astronut (タイ) |
8 | 講評 | 東京大学 中須賀真一 |
9 | Closing Remarks | NASA宇宙飛行士 ジャネット・エッブス |
10 | クロージングコメント | JAXA 宮川弥生 |
表3.軌道上決勝大会の成績一覧
横スクロールしてお読みください。
順位 | 国・地域 | チーム名 | ミッション 完了時間 |
ロスト アイテムの 正解数 |
ターゲット アイテムへの 到達成否 |
スコア |
1 | タイ | Astronut | 03:15.3 | 4/4 | OK | 253.09 |
2 | フィリピン | Inflection Point | 03:32.9 | 4/4 | OK | 250.88 |
3 | バングラデシュ | team_mukul | 03:11.8 | 4/4 | NG | 193.52 |
4 | UAE | UF0 | 04:52.3 | 3/4 | OK | 190.97 |
5 | 台湾 | CHIPI-CHIPI CHAPA-CHAPA DUBI-DUBI DABA-DABA | 03:45.1 | 2/4 | OK | 139.37 |
6 | アメリカ合衆国 | Salcedo | 05:03.5 | 2/4 | 時間切れ | 90.00 |
7 | 日本 | Celestial-Ravens | 04:34.8 | 1/4 | NG | 63.15 |
8 | オーストラリア | Dream Rover | 05:31.3 | 1/4 | 時間切れ | 40.00 |
9 | マレーシア | Techwin | 03:11.9 | 0/4 | NG | 13.51 |
10 | ネパール | TEAM PGS | 時間切れ | -/4 | - | 0.00 |
10 | シンガポール | SST 1 | フリーズ | -/4 | - | 0.00 |
10 | UNOOSA | Orion 1 | 時間切れ | -/4 | - | 0.00 |
10 | ベトナム | Pho_VietNam | フリーズ | -/4 | - | 0.00 |
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA