概要
JAXAが主催する、第5回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo Robot Programming Challenge: Kibo-RPC)※1 は2024年2月20日から参加者の募集をKibo-RPC参加国・地域で行い、過去最多の13か国・地域・組織より661チーム、2788人の応募がありました(表1)。今回のKibo-RPCでは、ISS船内ドローン「Astrobee」に画像認識をさせてその精度とスピードを競うルールで、表示される画像の種類や難易度の条件が異なる10パターンのシミュレーションを実行し、10回分のスコアの平均値で順位を決定しました。
表1. Kibo-RPC参加状況
国・地域名(アルファベット順) | チーム数 | 参加人数 |
オーストラリア | 7 | 43 |
バングラデシュ | 160 | 677 |
日本 | 29 | 123 |
マレーシア | 42 | 182 |
ネパール | 1 | 5 |
フィリピン | 29 | 154 |
シンガポール | 11 | 53 |
台湾 | 68 | 322 |
タイ | 200 | 724 |
UAE | 17 | 94 |
アメリカ合衆国 | 42 | 160 |
UNOOSA(国連宇宙部) | 54 | 254 |
ベトナム | 1 | 7 |
合計 | 661 | 2788 |
各国・地域の予選について
各参加国・地域の予選期間である2024年6月末から7月上旬の間に、各担当機関が主催する予選会が開催されました。中には大きなイベントとして予選会を行った国や地域もあり、大変盛り上がった様子が報告されています。
予選会イベントを行った国・地域からのレポートや各予選の優勝チームについて、アルファベット順で紹介します!
予選会イベントを行った国・地域からのレポートや各予選の優勝チームについて、アルファベット順で紹介します!
(1)オーストラリア
オーストラリアでは担当機関が予選用のシミュレーション環境でプログラムを実行し、オンラインで予選会が開催されました。シミュレータ実行の結果、昨年度に引き続きDream Roverが見事優勝しました。
オーストラリア優勝チーム:Dream Rover
(2)バングラデシュ
バングラデシュでは担当機関が予選会用のシミュレーション環境でプログラムを実行しました。予選結果はSNSにて発表され、team_mukulが優勝しました。
バングラデシュ優勝チーム:team_mukul
(3)日本
日本の国内予選大会は、JAXA 筑波宇宙センターとオンラインのハイブリッドで開催されました。予選会の前に、参加者のプログラムをJAXAがシミュレーション環境で実行し、イベントでは平均スコアの実施結果をもとに表彰を行いました。
予選大会終了後、オンライン参加者も含めたワークショップを開催しました。また、JAXA 筑波宇宙センターを訪問した参加者向けに、筑波宇宙センターの特別見学会も開催しました。
予選大会終了後、オンライン参加者も含めたワークショップを開催しました。また、JAXA 筑波宇宙センターを訪問した参加者向けに、筑波宇宙センターの特別見学会も開催しました。
日本優勝チーム:Celestial-Ravens
(4)マレーシア
マレーシアでは担当機関が予選会用のシミュレーション環境でプログラムを実行しました。予選結果は各種SNSを通して発表されTechwinが優勝しました。
マレーシア優勝チーム:Techwin
(5)ネパール
今年は1チームが応募し、予選会用にプログラムを提出しました。そのため、予選会を行わず、担当機関が予選用のシミュレーション環境でプログラムを実行し、メールにて結果発表を行いました。その結果、TEAM PGSが正式に代表チームになりました。
(6)フィリピン
今回初めてフィリピンがKibo-RPCに参加しました。担当機関が予選会用のシミュレーション環境でプログラムを実行し、メールにて結果発表を行いました。その結果、Inflection Pointが優勝しました。
(7)シンガポール
シンガポールでは担当機関が予選会用のシミュレーション環境でプログラムを実行しました。その結果、昨年度に引き続きSST 1が見事優勝しました。
シンガポール優勝チーム:SST 1
(8)台湾
台湾ではオンサイトで予選イベントを開催し、独自の評価基準(プログラムのシミュレーション結果:70%、予選会当日のプレゼンテーション(チーム紹介、工夫した点等):20%、参加者が作成したYouTube動画(Kibo-RPCの振り返り、宇宙飛行士へのメッセージ等):10%)で審査を行い、順位を決定しました。結果はCHIPI-CHIPI CHAPA-CHAPA DUBI-DUBI DABA-DABAが優勝しました。
台湾優勝チーム:CHIPI-CHIPI CHAPA-CHAPA DUBI-DUBI DABA-DABA
(9)タイ
タイでは担当機関が予選会用のシミュレーション環境でプログラムを実行し、結果をホームページやSNS等で発表しました。優勝はAstronutに決まり、優勝チーム向けにオンラインでのイベントも開催されました。
タイ優勝チーム:Astronut
(10)UAE
UAEでは担当機関が予選会用のシミュレーション環境でプログラムを実行しました。その結果はオンラインで開催された予選イベントで発表され、UF0 が優勝しました。
UAE優勝チーム:UF0
(11)アメリカ合衆国
アメリカでは、担当機関が予選会用のシミュレーション環境でプログラムを実行しました。予選結果はオンラインで開催されたイベント内で発表され、昨年度に引き続きSalcedoが優勝しました。
US優勝チーム:Salcedo
(12)UNOOSA(国連宇宙部)
前回大会より新たな枠組みとして加えられたUNOOSA International Slotでは予選イベントを行わず、担当機関が予選会用のシミュレーション環境でプログラムを実行し、シミュレーションの結果と各チームのプレゼン内容から、インドネシアの大学生チームORION 1が優勝しました。
UNOOSA優勝チーム:ORION 1
(13)ベトナム
今年は1チームが応募し、予選会用にプログラムを提出しました。そのため、予選会を行わず、担当機関が予選用のシミュレーション環境でプログラムを実行し、その結果、Pho_VietNamが正式に代表チームになりました。
ベトナム優勝チーム:Pho_VietNam
今回の各国・地域の予選会で優勝したチームは国際宇宙ステーション(ISS)での軌道上決勝大会への参加の切符を手にしました。軌道上決勝大会では、今回優勝した学生のプログラムをISS船内ドローンのAstrobeeに実際にインストールし、画像認識の精度やミッション完了までの早さを競い合います。現在、各国・地域の代表チームはプログラムの改修や、軌道上決勝大会に向けた最終チェックを行っているところです。9月頃に軌道上での運用(競技)、11月頃に軌道上での競技結果を発表する決勝大会を開催しますので、どのチームが優勝するのか、ぜひ彼らの勇姿を楽しみにしていてください。
また今回残念ながら決勝大会に進めなかったチームには、この機会に学んだことや経験したことを今後に活かし、様々な方面でご活躍されることを期待しています。Kibo-RPCは来年も実施する予定なので、学生の方々はぜひチャレンジしてみてください!
表2. 各国・地域 代表チーム一覧
国・地域名(アルファベット順) | 代表チーム |
オーストラリア | Dream Rover |
バングラデシュ | team_mukul |
日本 | Celestial-Ravens |
マレーシア | Techwin |
ネパール | TEAM PGS |
フィリピン | Inflection Point |
シンガポール | SST 1 |
台湾 | CHIPI-CHIPI CHAPA-CHAPA DUBI-DUBI DABA-DABA |
タイ | Astronut |
UAE | UF0 |
アメリカ合衆国 | Salcedo |
UNOOSA(国連宇宙部) | ORION 1 |
ベトナム | Pho_VietNam |
※1 Kibo-RPC
Kibo-RPCは、日米オープン・プラットフォーム・パートナーシップ・プログラム(JP-US OP3)を通じた日米協力に基づいて、アジア・太平洋地域における「きぼう」利用の促進とSDGsへの貢献(人材育成)を目的に、JAXAとNASAが協力して取り組んでいる活動です。本活動を通じて、同地域の学生に宇宙でのロボット操作やコンピュータプログラミングに関する教育機会を提供しています。
関連リンク
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA