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2023.06.22
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UAEと日本の協力による高品質タンパク質結晶生成実験が始まりました!

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UAE(アラブ首長国連邦)のUAESA(アラブ首長国連邦宇宙庁)およびMBRSC(ムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター)とJAXA間の協力が実現し、ISS・「きぼう」内での高品質タンパク質結晶生成実験(PCG)が開始されました。これは、UAEによる2例目(※1)の「きぼう」利用であり、将来の国際宇宙探査における協力、更には2国間の長期的な協力関係の構築に寄与するものです。

2022年にUAE生物医学研究者の提案の中からMBRSCによって実験テーマが選定され、選ばれた研究者が調製したサンプルがJAXAに送られました。その後、JAXAは宇宙用に結晶化条件の最適化を行い、サンプルを米国に輸送し、JAXAのPCG実験キットに充填しました。

サンプルは2023年6月6日にSpaceX社のドラゴン補給船(SpX-28)によって打ち上げられ、翌日ISSに到着しました。その後、UAEのスルタン・アル・ネヤディ宇宙飛行士が、2023年6月7日にサンプルを「きぼう」にあるJAXAの実験装置に設置し、実験を開始しました。

実験サンプルと実験開始作業を行うUAEのスルタン・アル・ネヤディ宇宙飛行士(Image by NASA/JAXA)

この UAE の実験テーマは、米国のハーバード大学医学部と協力して、UAE のムハンマド・ビン・ラシード医科健康科学大学の研究チームによって提案されたもので、タンパク質分子 GIRK2の結晶生成実験となります。GIRK2は、心拍数の制御に重要な役割を果たし、てんかん、不整脈、中毒などの疾患に関連しています。GIRK2の高品質な結晶は、その構造をより深く理解することを可能にし、GIRK2 をターゲットとした治療法の開発に繋がります。

JAXAの実験装置と技術を用いて得られた結晶は、打ち上げの約1か月後、同じSpX-28にて地上に回収され、日本でX線による回折データ収集が行われます。その後、さらなる分析のために回折データがUAE 研究チームに提供されます。

※1
日本とUAEとの「きぼう」における最初の協力は、2019年に実施されたJAXA船内ドローン(Int-Ball)を用いた教育プロジェクトでした。今後の更なる協力の発展が期待されます。

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※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA