概要
参加者にさらなる学びの場を提供する目的として、2021年10月24日の軌道上決勝大会実施後に第2回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)のワークショップをオンラインで開催しました。ワークショップには、軌道上決勝大会に参加した各国・地域の代表チームおよび応募チームと各国・地域の担当機関が参加しました。宇宙ロボットに関する講演、第2回Kibo-RPCの振り返りとディスカッション、第3回Kibo-RPCに向けた改善点についての議論が行われました。
ワークショップの様子
まず初めに開会挨拶として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のKibo-RPCプロジェクトマネージャーの土井 忍技術領域主幹から参加人数や各国の代表チーム紹介、Kibo-RPCの目的とワークショップの狙いについて説明をしました。本ワークショップでは2つの講義と3つのディスカッション、そして参加者アンケートの結果報告が行われました。
講義
講義では、1つ目にKibo-RPCアドバイザーである東京大学の中須賀 真一教授からロボットのナビゲーションシステムと宇宙空間での制御技術についてお話しいただきました。今回、多くの学生達が陥った問題の解決方法や戦略の立て方に関わるため、少し難しい内容の話でしたが、学生達は真剣に視聴し、質問もありましたので、彼らにとって更なる学びの機会になったことでしょう。
2つ目に、バングラディシュの運営担当者であり、マサチューセッツ工科大学(MIT)が主催しているZero Roboticsの技術スタッフでもあるMizanul Chowdy氏から、ISSで行われる教育プログラムについてお話いただきました。Kibo-RPC企画時、JAXAはZero Roboticsのイベントを見学し、スタッフの皆さんから様々なご意見をいただき、Kibo-RPCを作り上げました。Mizanul氏もこの時から今まで一緒にKibo-RPCに関わることができて嬉しいと述べられました。
ディスカッション
ディスカッションでは、3つのテーマを設定し、それについて参加学生、講師、事務局の全員でそれぞれの意見を出し合い、議論を行いました。
1つ目の「シミュレーションと実際の環境について学んだこと」では、本戦イベント直後にワークショップを実施しているため、記憶に新しく、率直に違いとして感じたことや他のチームの飛行を見て思ったことなど積極的に意見が出されました。ディスカッションの最後に参加者の軌道上飛行のログ解析結果を踏まえて、どのようにプログラムを組むとより良くなるのか、またQRコード/ARタグの読み込みができなかった原因について、Kibo-RPC事務局が報告を行いました。
2つ目の「宇宙探査の時代に人類を助ける宇宙ロボットの役割」では、近年話題の月面有人飛行を見据えた月で活躍するロボットの話題が多く出ました。また油井亀美也宇宙飛行士からは、宇宙飛行士の活動には莫大なコストがかかるため、カメラ撮影などルーチンワークのサポートや人の代わりに準備をするロボットがあるとよいという話がありました。
3つ目の「宇宙での教育の機会に必要なもの」では、参加から予選まで1カ月もなかったチームもおり、プログラム作成が大変だったことなど本イベントの感想や本イベントへの謝辞などが述べられました。
参加者アンケート結果
Kibo-RPC事務局が、事前に実施した全参加者へのアンケート結果と第3回目への反映事項を紹介しました。アンケートではこの大会を通して学んだこととして、多くの人がプログラミングそのものに加え、チームワークの大切さについても学んだと回答しました。その他に様々な意見があり、この大会を通じて各自たくさんのことを学んでくれたことがわかりました。また第3回Kibo-RPCにも多くの方が参加したいと意欲的な回答がありました。
最後に
最後に東京大学の中須賀 真一教授より、人工衛星を例にあげ、失敗をどれだけ少なくできるのかが重要であり、プロジェクトチームで原因を究明し、それを避けるためにどうすればよいのか考え、議論することが大切であること、それを踏まえ次のプロジェクトに挑戦して欲しいと述べられました。そして来年さらにスキルを磨いて第3回Kibo-RPCにも参加してほしいとエールが送られました。
プログラムPDF
関連リンク
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA