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2021.12.06
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第2回「きぼう」ロボットプログラミング競技会の軌道上決勝大会結果を報告します!

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2021年10月24日(日)、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、アメリカ航空宇宙局(NASA)との協力により実施した第2回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)の軌道上決勝大会イベントをオンライン開催しました。本イベントは、当初2021年9月15日に開催予定でしたが、当日国際宇宙ステーション(ISS)内で技術的な確認事項が発生したことにより延期されたものです。ISSでの作業スケジュールの都合により、事前に収録した軌道上での競技映像を使用することになりましたが、各国代表チームの学生たちはWeb会議ツールを介してイベントに参加し、自分たちが作成したプログラムを搭載するNASAのドローンロボット“Astrobee”が、実際に「きぼう」船内を飛行する様子や、星出宇宙飛行士に音声メッセージを届ける様子を見て、とても興奮して、楽しい時間を過ごしました。
なお、本イベントの様子は、以下のJAXAチャンネルでビデオ公開していますので、是非ご覧ください。
JAXAイベントライブ配信専用チャンネル:https://youtu.be/eDXf1ISUBmAYOUTUBE
図1. 競技を終えた参加学生にメッセージを送る星出宇宙飛行士 ⓒNASA/JAXA
軌道上決勝大会(Final Round)イベントには、2021年6月下旬から7月上旬にかけて各参加国/地域で行われた予選会を勝ち抜いた代表チームが参加しました。競技の順番(プログラムの実行する順番)は、2021年7月に実施したプログラミング決勝大会(Programming Skills Round)の成績順位に応じて設定され、全9チームの各国代表が競技を行いました(表1は軌道上決勝大会の参加チームリスト)。
※軌道上決勝大会用のプログラムを提出できなかったニュージーランド代表チームは参加辞退となりましたが、その一方で、軌道上決勝大会用のプログラムを作成・提出したベトナム代表チームがオブザーブ参加することになりました。

表1. 軌道上決勝大会の参加チームリスト

PSR順位(飛行順) チーム名 国・地域
1 Indentation Error タイ
2 GeminiPYTW 台湾
3 Enigma Systems バングラデシュ
4 Cepheus-2 インドネシア
5 Cosmic Jellyfish 日本
6 Descendants of the Sun シンガポール
7 Dream Rover オーストラリア
8 LEMON TREE マレーシア
9 Vball Kibo ベトナム
Indentation Error タイ
GeminiPYTW 台湾
Enigma Systems バングラデッシュ
Cepheus-2 インドネシア
Cosmic Jellyfish 日本
Descendants of the Sun シンガポール
Dream Rover オーストラリア
LEMON TREE マレーシア
Vball Kibo ベトナム

図2. 軌道上決勝大会の参加チームメンバー紹介

開会式では、本イベントMCを務める油井亀美也宇宙飛行士と技術解説を担当する東京大学中須賀真一教授からの挨拶のほか、山崎宇宙飛行士からのメッセージや、NASAエイムズ宇宙センター(ARC)のJose V Benavides氏(Astrobeeプロジェクトマネージャ)のビデオメッセージが紹介されました。
その後、オンライン参加する各国代表チームのチーム紹介が行われ、星出宇宙飛行士から競技会場となるISS 「きぼう」船内と競技ルールの説明の後、軌道上決勝大会の競技を開始しました。
競技は、Astorobeeをゴールまで飛行させてミッションを完遂できたチームもあれば、残念ながら途中でQRコードやARタグの読み込みが上手くできず、タイムアウトしたチームもありました。今大会は、軌道上決勝大会の前にプログラミング決勝大会を実施したこともあり、そこで優勝したチームの戦略を参考にして軌道上決勝大会用にプログラムを修正したチームも見られました。チーム戦略に特色が出たのは、特にレーザー照射で、どの位置から照射を行うかで、チームそれぞれに特色がありました。レーザー照射はターゲットに近い位置から狙う方が正確に当てることができます。そのためには、QRコードを読み取ったあとに侵入不可領域(KOZ:Keep Out Zone)を避けて大きく移動する必要がありますが、QRコードの読み取り位置から移動しないで、角度をつけて斜めから照射することで移動時間を短縮することができます。ただし、その場合、画像処理プログラムをしっかり組まないと正確に照射することができません。移動時間の短縮とターゲットへの照射精度のバランスを考えて戦略を立てることが大事になります。参加した学生たちは、自分たちが作成したプログラムで飛行するAstrobeeを祈るように見つめ、上手くいった時は嬉しそうに、上手くいかなかった時は残念そうに、一喜一憂しながら自身のプログラムが動く様子を見守りました。
全チームによる競技終了後、星出宇宙飛行士からCrew Awardの発表がありました。Crew Awardは、ミッションの最後に設けた課題(星出宇宙飛行士にミッション完了報告の音声メッセージを伝える)において、星出宇宙飛行士が最も良かったメッセージと思うチームを選んで表彰するものです。そのCrew Awardを受賞したのは、バングラデッシュ代表チーム “Enigma Systems”でした。授賞理由は、「ミッション完了報告に英語での報告と現地の言語を使った報告が入っていたことと、その報告内容もISSの理念である国際協調の思想にあっているものだったから」と星出宇宙飛行士から説明があり、続けて「バングラデッシュから宇宙飛行士が輩出されるのを楽しみにしているよ」との応援メッセージが学生たちに贈られました。受賞した“Enigma Systems”のチームリーダーであるMd Hashibul Islamさんは、「とても光栄です!」、と大変喜んでいる様子でした。
図3. Crew Awardを受賞したEnigma Systemsの皆さん
次に、軌道上決勝大会の結果発表が行われました。最も優秀な成績を残したチーム(優勝チーム)に贈られるBest Achievement Onboard Awardを見事に受賞したのは、タイ代表チーム “Indentation Error”でした。第2位にバングラデッシュ代表チーム “Enigma Systems”、第3位に台湾代表チーム “GeminiPYTW”が、それぞれ入賞しました(軌道上決勝大会の成績は、表2参照)。表彰式では、どのチームの学生たちも、とても嬉しそうな表情を浮かべて祝福の拍手を受けていました。優勝したタイ代表チーム“Indentation Error”のチームリーダーであるTarit Witworrasakulさんは、「軌道上の飛行では上手くレーザーがあたらなかったが、素早くミッションを完了できてよかった。このイベントを開催してくださったJAXAやNSTDA(タイ側の事務局)の皆さんに感謝します」とコメントを述べました。
最後に、技術解説員の東京大学の中須賀真一教授から講評をいただき、星出宇宙飛行士からの閉会挨拶(メッセージ)をもって、本イベントは終了しました。
今回のイベントは、事前に収録した軌道上での競技映像を使用する形式に変更して開催しましたが、参加した学生の皆さんからのコメントによると、最後までとても楽しんで参加されたようです。本イベントの開催に向けてご協力いただいた参加各国の宇宙機関/研究機関の方々と、最後まで諦めずにプログラムを作成、提出した参加学生の皆さんのおかげで、第2回Kibo-RPCも成功裏に終了することができました。このイベントを通して学んだこと、経験したことが参加した学生の皆さんにとって、将来の良い糧となることを願っています。
第2回Kibo-RPCには、オーストラリア、バングラデッシュ、インドネシア、日本、マレーシア、ネパール、ニュージーランド、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムの11か国/地域から、286チーム、905名の学生の皆様に参加いただきました。参加いただきました皆様、またサポートしていただいた皆様、誠にありがとうございました。第3回Kibo-RPCの開催も、来年予定していますので、ぜひ次回もご参加ください!
図4. 優勝したIndentation Errorの皆さん

表2. 軌道上決勝大会の成績一覧

横スクロールしてお読みください。
チーム名 国/地域 クラス *1 ミッション
終了時間(秒) *2
点数
1 Indentation Error タイ A 97.95 28.86
2 Enigma Systems バングラデシュ A 165.907 19.16
3 GeminiPYTW 台湾 C 25.081 -
4 Cepheus-2 インドネシア C 31.570 -
5 LEMON TREE マレーシア C 36.488 -
6 Cosmic Jellyfish 日本 D - -
6 Descendants of the Sun シンガポール D - -
6 Dream Rover オーストラリア D - -
オブザーブ Vball Kibo ベトナム D - -
タイ レーザー照射位置
バングラデッシュ レーザー照射位置
*1 クラスA:ミッション完遂したプログラム
  クラスC:QRコードの読み込みまで完了したプログラム
  クラスD:QRコード読み込みができなかったプログラム
*2 終了時間はクラスAの場合、プログラムが終了した時間。
  クラスCの場合は、QRの読み込みが完了した時間。

軌道上決勝大会の様子

MC:JAXA宇宙飛行士 油井亀美也
解説員・総評:東京大学 中須賀真一教授
NASAのAstrobeeプロジェクトマネージャ:
Jose V. Benavides氏 ⓒNASA
イベント事務局

表3. 軌道上決勝大会の開催プログラム

開会(冒頭:オープニング映像)
1 MCあいさつ JAXA宇宙飛行士 油井亀美也
2 解説員あいさつ 東京大学大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻
教授 中須賀真一
3 山崎直子宇宙飛行士
メッセージ
宇宙飛行士 山崎直子
(代読) JAXA宇宙飛行士 油井亀美也
4 NASA ARC
メッセージビデオ
NASAのAstrobeeプロジェクトマネージャ
Jose V. Benavides氏
5 Kibo-RPCルール説明ビデオ 事務局
6 Opening Remarks (ビデオ) JAXA宇宙飛行士 星出彰彦
7 参加チーム自己紹介
競技 (ビデオ)
表1の順番に該当チームの参加学生が自己紹介を実施し、軌道上飛行動画を放映
8 Crew Award (ビデオ) JAXA宇宙飛行士 星出彰彦
9 Award受賞ヒーローインタビュー Award受賞チームEnigma Systemsのコメント
10 順位発表・表彰式 JAXA宇宙飛行士 油井亀美也
11 ヒーローインタビュー 優勝チームIndentation Errorのコメント
12 全体講評 Kibo-RPC アドバイザー
中須賀真一教授
13 Closing Remarks (ビデオ) JAXA宇宙飛行士 星出彰彦
閉会

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※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA