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2021.03.25
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Asian Herb in Spaceミッション1軌道上実験が成功しました!

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アジアの種子:Space Seeds for Asian Future(SSAF)」プログラムの3番目のプロジェクトとして計画されたAsian Herb in Space(AHiS)は、スイートバジルとホーリーバジルを国際宇宙ステーション(ISS)で栽培するミッション1の実験を無事終えることができました。野口聡一宇宙飛行士による栽培に加え、継続的なTwitter投稿により、日々の成長の様子が克明に配信され、30日間におよぶ本実験は世界中の人々に感動と癒しを与えたのではないでしょうか。

実験の写真や映像は、以下をご覧ください。

Mission-1 growth experiment results and Messages from Astronaut

ミッション1の実験は2021年2月16日、野口宇宙飛行士による4つの栽培容器への給水から開始されました。給水の様子はYouTubeのJAXAチャンネルでご覧いただけます。

4つの栽培容器は「きぼう」船内実験室の蛍光灯の下に設置され、バジルは24時間ずっと光を受けて育ちます。

野口宇宙飛行士の作業風景
地上スタッフ
栽培10日目の2021年2月26日、野口宇宙飛行士は1cmから1.5cm程度に成長したバジルに、1回目の給水を行いました。その時、スイートバジルの容器(容器番号:S/N001)からカビが発見されました。

カメラに映された栽培容器について、AHiS研究チームが地上からバジルの健康状態を観察し、間違いなくカビであると判断しました。その後、定められた手順に従い、特殊なバッグに入れて2重封入を施しました。

発芽率が落ちるために種子を地上で完璧に殺菌することができないため、種子表面に残っていたカビ胞子が増える可能性は事前に想定していました。宇宙では対流が無く、ロックウールの表面に水が溜まる(表面張力による)傾向があるため、湿度が高くなりやすくカビにとっては良い条件となります。地上のAHiSスタッフは、カビの発生を確認すると、予め定めておいた手順に従い、野口宇宙飛行士に2重封入を依頼しました。その時点で、S/N001のバジルへの給水継続は断念しました。カビがISSに広がるのを防止するため、給水ポートを開けることができないからです。あとは、S/N001の生命力に期待するのみです。
右:2重封入された容器。2021年3月13日撮影 ⓒ野口宇宙飛行士Twitter
栽培21日目の2021年3月9日、野口宇宙飛行士は2回目の給水を行いました。S/N001のカビが大きくなってバジルの成長を阻害していること、また他の容器にカビが生えていることが懸念されましたが、すべてのバジルが健康に育っていました。大きいものはすでに容器の天井まで届いていました。水の中に窒素やリンやカリウムなどの肥料が混合されていて、植物に十分な栄養を供給することができます。これは土の代わりにロックウール(人造鉱物繊維)を利用した水耕栽培の工夫です。
実験最終日の様子 ⓒJAXA/NASA
栽培30日目の2021年3月18日、野口宇宙飛行士は最後の作業を行いました。すべてのバジルの状態を確認し、容器ごとISSの冷凍庫に収納しました。

Asian Herb in Spaceに参加したオーストラリア、バングラディシュ、インドネシア、日本、マレーシア、ネパール、ニュージーランド、シンガポール、タイ、台湾、UAE、ベトナムのみなさん、この素晴らしい実験プロジェクトへ参加いただきありがとうございます。このプロジェクトを通して多くの科学的知見を得てくれることを願っています。

凍結されたバジルは2021年夏頃に地上に持ち帰られ、筑波宇宙センターでISSの環境に合わせた地上対照実験を行います。そして研究者による香気成分や細胞の分析が行われる予定です。これらのデータが複合的に検討され、またアジア太平洋地域の教育イベントに提供されることとなります。

軌道上で栽培したバジルは容器の奥側と手前側で大きさに明らかな差が出ていました。これは軌道上で設置したときの、蛍光灯との位置が関係している可能性があります。それが光の量なのか、温度が支配的なのか、まだ分かりませんが、詳細は今後の地上での分析結果を待ちたいと思います。
側面から撮影した写真。2021年3月9日撮影 ⓒJAXA/NASA
上面から撮影した写真。2021年3月9日撮影 ⓒJAXA/NASA

今回は、ISSの環境で初めてスイートバジルとホーリーバジルを簡易容器で育てました。これらの解析を通した科学的知見と、本プロジェクトにおける人材育成は、今後の有人宇宙探査などへ向けて、小さくても大切な一歩になると思います。

設置位置と蛍光灯の距離の関係