
インクリメント69期間
インクリメント69キーメッセージ
インクリメントマネージャ紹介

インクリメント69マネージャ
こんにちは。インクリメント69を担当する井田恭太郎です。
インクリメント69に向けた準備の最中、国際宇宙ステーション(ISS)、ないし日本の有人宇宙開発において、歴史的な転換点となるさまざまな出来事がありました。
2022年11月には、2030年までのISSの運用延長に日本が参加することが正式に表明されるとともに、日本が月周回有人拠点「ゲートウェイ」へ機器提供や物資補給を行い、NASAが日本人宇宙飛行士の搭乗機会を提供することについて合意されました。
2023年2月には、その「ゲートウェイ」ミッションや月面探査プログラム「アルテミス計画」への参画が期待される日本人宇宙飛行士候補者2名が選抜され、翌月には若田宇宙飛行士が日本人宇宙飛行士としては最長となる通算500日を超える宇宙滞在期間を経て、無事に帰還しました。
このような出来事を受け日本の有人宇宙活動に更なる注目が集まる中、インクリメント69では、将来の有人宇宙探査を見据え、「きぼう」日本実験棟による新たな価値の創出を通じ、日本のプレゼンスを向上していくことで皆様の期待に応えていければと考えております。
例えば、次世代水再生実証システム(JWRS)では、ISSで使用している水再生システムより、小型、低消費電力、高再生率、メンテナンス性の向上に向け、模擬尿を飲料水品質の水に浄化再生することで将来の有人宇宙探査に向けた技術の獲得を目指します。
また、微小重力下におけるシリコンゲルマニウム結晶育成の研究(Hicari-II)では、高品質で大型なシリコンゲルマニウム結晶の高速育成技術を獲得し、次世代の高速・省電力電子デバイス開発などに活かすことを目指すとともに、実験完了の暁には、実験していたスペースを民間利用の促進、拡大に向けた「きぼう」リノベーション(機能向上)に利活用することで新たな価値の創出につなげていきます。
これらのミッションに加え、既にプラットフォームとして確立した実験設備を利用したミッションなどにより最大限の成果を創出していくべく、「きぼう」を利用し尽くしてまいります。以上の目的意識から、インクリメント69のキーメッセージを設定しました。
インクリメント69の後半では、古川宇宙飛行士がISSへの長期滞在を開始する予定です。「きぼう」運用管制チームは24時間365日交代しながら「きぼう」を守っております。各ミッションの実験担当は、国内外の研究者や開発者と綿密な調整を行い準備に当たってきました。我々インクリメント69チームは、彼らとともにチーム一丸となって、キーメッセージの実現に向け全力で業務に邁進してまいります。インクリメント69での活動、ひいては日本の有人宇宙活動を引き続き応援していただければ幸いです。
利用ミッション(予定)
新薬設計支援プラットフォーム
- 高品質タンパク質結晶生成実験
- 高品質タンパク質結晶生成実験(ロシア打上げ)【JAXA PCG#19】
- 高品質タンパク質結晶生成実験(低温、米国打上げ)【LTPCG#9】
- 高品質タンパク質結晶生成実験(中温、米国打上げ)【MTPCG#9】
健康長寿研究支援プラットフォーム
- 第8回小動物飼育ミッション【JPG-RR/ MHU-8】
- 遺伝子機能発光イメージング解析装置【TELLAS】
超小型衛星放出プラットフォーム
船外ポート利用プラットフォーム
- 中型曝露実験アダプタ1(i-SEEP1)利用
- 「きぼう」次世代ハイビジョンカメラシステムによる映像取得【HDTV-EF2】
- LPWA無線実験装置【LPS】 *外部サイト
- 国際宇宙ステーション-地上局間の高秘匿光通信の実証【SeCRETS】
- 中型曝露実験アダプタ2(i-SEEP2)利用
- 宇宙実証用ハイパースペクトルセンサ【HISUI】 *外部サイト
無容器処理技術を利用した材料研究への貢献(革新的材料研究支援プラットフォーム)
- 静電浮遊炉【ELF】利用
- 静電浮遊法を用いた鉄鋼精錬プロセスの基礎研究~高温融体の熱物性と界面現象~【Interfacial Energy】
- 熱エネルギー貯蔵材料開発に向けた非平衡溶融合金の熱物性計測【Thermal storage】
- スペースデブリ・レーザーナッジのための推進力計測実験【Laser Debris Removal】
- Super glass(NASA実験テーマ)
- Resonance Induced Instability for Surface Tension determination (RIIST)(NASA実験テーマ)
新プラットフォーム形成(細胞医療への貢献に向けた立体培養技術の有効性実証)
新プラットフォーム形成(将来有人活動の安全基盤確立に向けた宇宙火災研究(仮))
新プラットフォーム形成(新たな発想に基づく民間利用の拡大)
- 宇宙日本食、宇宙用生活用品
- ESA曝露ペイロード Langmuir Probe【m-NLP】
- I-Space Essay
長期滞在・探査ミッション技術獲得
- 次世代水再生実証システム【JEM Water Recovery System: JWRS】
- JEM自立移動型船内カメラ2号機【Int-Ball2】
科学研究促進(船外ポート利用)
科学研究促進(物質・物理科学)
- ※実施予定の利用ミッションは、「きぼう利用戦略」の具体的取り組みの分類に基づいたマッピング(図1)を基に優先順位を定めています。