あなたのニーズにこたえます。
多様な実験を実現する次世代型実験ラック。
普段の実験室に近い感覚で利用できる実験空間や作業台を「きぼう」船内に提供します。
多目的実験ラックは、「きぼう」船内実験室に搭載される実験ラックであり、ワークボリューム(WV)、小規模実験エリア(SEA)、ワークベンチ(WB)からなる実験空間において、ユーザーに実験用の電力、通信、ガス供給・排気といったリソースを提供する設備です。比較的大きな実験装置はワークボリュームへ、小型のものは小規模実験エリアへ設置し、それぞれの区画を利用した実験を同時に行うことができます。ワークベンチは作業台の役割を担っています。本ラックは、2011年1月に「こうのとり」2号機(HTV2)でISSに運ばれました。
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コンポーネントの概要
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各エリア特徴
ワークボリューム(WV)
- 大型の実験装置を搭載できます。(容量:900(幅)×600(高さ)×700(奥行き)mm)
- 天板にコネクタパネルがあり、電力・冷却水・窒素ガスが供給でき、ビデオを含む通信ラインを接続することができます。
- 空間内に空気を循環させることにより空冷ができます。
- 水冷却方式は、ラック下部の手動バルブ切り替え操作により、以下のいずれかを選択できます。
(ア)コネクタパネルから水を導入して直接的に冷却する
(イ)ワークボリューム下面の冷却板(コールドプレート)へ接触させて排熱する
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実験装置搭載例
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小規模実験エリア(SEA)
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ワークベンチ(WB)
- ワークベンチは、ラック内に収納されており、必要に応じてラック内から引き出して使用します。
- 折りたたみ式のパネル(3枚)を広げると 900(幅)×540(奥行き)mm のテーブルになります。
- 近傍にワークベンチ用のコネクタパネルがあり、電源・通信・ビデオデータ等を供給できます。
- ワークベンチの角度は、ラック正面に真っ直ぐ引き出した状態を 0ºとして、角度固定用レバーにより任意の角度(-60º~+90ºの範囲)に固定することができます。
- ワークベンチには、多数のネジ穴、ベルクロテープおよびロープ用の穴等が用意されており、実験装置を自由に固定でき、様々な目的で使用することができます。
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どんな機能がどれくらい使えるの?
下記の電力・通信・映像の機能を提供します。各インタフェースは地上でも一般的なものなので、地上で十分準備をしてから宇宙実験に臨むことができます。また、実験映像、データは地上でリアルタイムモニタすることができます。
電力 | ワークボリューム(WV) | 最大570[W](28[VDC]:380[W]、16[VDC]:95[W]※1、12[VDC]:95[W]) ※1 WV及びWBの合計 |
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小規模実験エリア(SEA) | 最大95[W](12[VDC]:95[W]) (SEAの12[VDC] は、SEAとWV間の貫通孔を通じて、WVで使用可) |
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ワークベンチ(WB) | 最大180[W](16[VDC]:85[W]、16[VDC]:95[W]※1 ※1 WV及びWBの合計 |
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通信 | ワークボリューム(WV) | イーサネットx 2、USB-A x 3、USB-B x 1、アナログアウトプットx3(アナログアウトプットの同時使用はラック全体で最大3chまで) |
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小規模実験エリア(SEA) | イーサネットx 1、USB-A x 1、アナログアウトプット x 3 |
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ワークベンチ(WB) | イーサネットx 3、USB-A x 1(for WV)、USB-B x 2 (1 for WV、1 for SEA) |
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映像 | ワークボリューム(WV) | ビデオ[NTSC] x 3、高画質 ビデオ[IEEE1394] x 1 |
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小規模実験エリア(SEA) | ビデオ[NTSC] x 2 |
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ワークベンチ(WB) | ビデオ[NTSC] x 2、高画質 ビデオ[IEEE1394] x 1 |
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排熱 | ワークボリューム(WV) | アビオニクス・エア循環により 250[W]max.、コールドプレートにより 450[W]max. |
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小規模実験エリア(SEA) | アビオニクス・エア循環により 100[W]max. |
※燃焼実験チャンバ(CCE)の電力・通信・映像 インタフェースは、USB-Bx1を除きWVと同じ。排熱は、WVのコールドプレートへの排熱と同じ。
関連リンク
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA