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Biological Experiment Unit: BEU生物実験ユニット(BEU)
Facility
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生命を育む小さな箱
実験試料を大切に育てます~植物や微生物、細胞の研究に役立つ~

宇宙環境でのライフサイエンス研究を実現する実験ユニット

微小重力で植物はどのように育つのでしょうか。微生物はどのような動きをみせるのでしょう。重力の影響をほとんど受けない宇宙空間で植物や細胞の観察を行うが生物実験ユニットです。

生物実験ユニットは、「きぼう」日本実験棟に設置された細胞培養装置(Cell Biological Experiment Facility: CBEF)に実験試料を取り付けるためのユニットで、細胞培養やモデル生物生育など幅広い用途で使用できる計測実験ユニット(Measurement Experiment Unit: MEU)と、植物栽培に特化した植物実験ユニット(Plant Experiment Unit: PEU)の2種類が用意されています。

現在運用中の実験用ユニット

計測実験ユニット(Measurement Experiment Unit: MEU)

計測実験ユニット(MEU)は、細胞培養装置(CBEF)に実験試料を取り付けるための箱型の実験ユニットで、内部に温度センサーがあり、宇宙実験を行っている間の実験試料近傍の温度をリアルタイムで計測できます。内部が空洞のため、個々の実験に合わせて実験機器・器具を工夫できる自由度を持ち、内部に機器・器具を収納して細胞培養装置に取り付けて、実験を行います。内部にカメラと照明を内蔵したタイプも用意されており、内部の様子を地上で観察する実験にも対応しています。

計測実験ユニット(MEU)
CBEFに取り付けたまま試料の取り出しができるタイプ(MEU-C)

植物実験ユニット(Plant Experiment Unit: PEU)

PEUには植物サンプルの入った容器を収納するスペースがあります。容器には発光ダイオード(LED)で生育用の光を当てることができ、またビデオカメラで植物の生育状況をリアルタイムで観察できます。さらに、温度・湿度センサを備えており、PEU内部の湿度が高くなりすぎた場合は、換気ポンプにより換気を行います。

植物実験ユニット(PEU)

将来の研究にも柔軟に対応

生物実験ユニットは、容器などの実験固有の部分と通信の制御部に分かれているので、新規の研究テーマの要求に応じて内部の機器を交換することが可能です。すなわち、新しい宇宙実験のアイデアを積極的に取り込むことができる柔軟性にも優れた実験ユニットなのです。

過去に運用されていた実験用ユニット

付着細胞タイプ細胞実験ユニット(Cell Experiment Unit: CEU)

細胞実験ユニット(付着細胞用)

培養容器底面に張り付く細胞のことを付着細胞といいます。細胞実験ユニットは、このような付着細胞を培養するために付着板と酸素透過膜を持った培養容器、制御部で構成されています。細胞実験ユニットをクリーンベンチ内に持ち込んで顕微鏡で細胞の観察をします。培養を終了した容器は、ユニットから取り出し、細胞を生理的食塩水で洗浄する道具(固定前処理器具)と化学固定剤を注入する道具(細胞固定器具)を使用して、地上に持ち帰るまでの期間、細胞が変性してしまわないように処理し冷凍・冷蔵庫で保存します。宇宙ステーションでの実験が終了してからすぐに地球に持ち帰るとは限らないので、このような細胞を保存するための技術も必要になるのです。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA