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Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(SMILES)※運用終了
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宇宙実験リポート

地球の大気を見守る視線

オゾン層は地球の宇宙服

28億年ほど前、海中で光合成をする原始的な植物が現れ、地球の酸素が増え始めました。その後、酸素は次第に増加し、約6億年前にオゾン層が形成されました。オゾン層は太陽光に含まれる危険な紫外線を吸収し「地球の宇宙服」として生物を守る役割を果たしています。その結果、地上の生物に爆発的な繁栄と進化がもたらされ、ついには人類とその文明が誕生しました。

大気中の酸素とオゾン濃度の進化

進行するオゾン層の破壊

南極のオゾン・ホール

しかし、現在、人類の活動で作り出されたフロン等の微量気体が原因となって、このオゾン層が急速に破壊されています。南極にはオゾンホールが出現し、北極や中緯度地域においてもオゾン量が減少しています。大気中に少しずつたまったフロンが、どうして地面から20kmも離れた上空に大きな変化を起こしたのでしょうか?また、オゾン層の将来はどうなるのでしょうか?

オゾン層を破壊する大気中の微量成分

オゾンの破壊について考えた場合、大気中のオゾンだけではなく、オゾンよりもずっと量が少ない化学物質について調べなければなりません。化学物質にはたくさんの種類がありますが、例えば、フロンから生じた一酸化塩素などが関係した反応はオゾンを大量に破壊します。

地球の大気構造

電波でわかるオゾン層

高度毎の微量分子の観測予想図

身の回りで電波を出しているものには、どんなものがあるでしょう。携帯電話、電子レンジ、テレビ、うちわ…。実は、全てのものは電波を出しているのです。地上10数kmから50kmにあるオゾン層の中のオゾンを始めとするさまざまな微量分子も電波を出しており、地上に降り注いだり、宇宙に放射しています。オゾン層のような上空で、気圧が低いところにある分子から出る電波は、周波数によってどの分子から出た電波か見分けることができます。特にサブミリ波という周波数の高い電波が、オゾン層の分子を見分けるのに適しています。

地球大気の微量成分を高感度で観測

飛行機でも簡単に行けない高いところにあるオゾン層の微量分子の量を知るために、宇宙からの観測が適しています。高感度の電波受信機を持つ超伝導サブミリ波リム放射サウンダは、約90分で地球を1周する宇宙ステーションから大気の縁(リム)の方向にアンテナを向け、大気中の微量分子が自ら放射しているサブミリ波の電波を観測することができます。

高感度の超伝導受信機

超伝導サブミリ波リム放射サウンダの特徴は、超伝導センサという新しい技術を用いて、従来にない高い観測感度を実現できることです。内蔵されたサブミリ波受信機は、超伝導センサと低雑音な増幅器で構成されています。これらは機械式冷凍機に取り付けられ絶対温度4Kまで冷却されます。

成果

オゾン層の動きが分かった

SMILESは2009年9月に国際宇宙ステーション(ISS)に運ばれ、軌道上で動作を確認した後、2009年10月から地球大気の連続的な観測を開始しました。2010年4月に装置内部のサブミリ波発振器が故障するまでの約6ヶ月間の大気観測データを取得し、オゾンや塩素化合物・臭素化合物などのグローバルな分布を求めました。

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関連資料

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA