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国際宇宙ステーション(ISS)搭載可となった新規生活用品relaXspace A(リラックスペースエー)

Space Medicine
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快適な生活を実現するために、宇宙生活の“ニオイ”に着目し、肌に軽くなじませることで、気になるニオイの低減や香りを楽しむことができるスティックタイプの「relaXspace A(リラックスペースエー)」。宇宙飛行士向けの香り提案には、900通り以上の組み合わせから好みの香りを提案する当社独自のアルゴリズム(AI診断)を活用しました。
製造元 ライオン株式会社
使用方法 スティック容器から剤を繰り出し、肌(首や手首など)に軽くなじませる
大きさ 縦11.5cm×横11.5cm×厚み2.6cm
重量 27.5g
relaXspace A(リラックスペースエー)

JAXA生活用品担当が、本製品を開発いただいた企業にお話を聞きました。

Q:どんな課題に着目しましたか?

国際宇宙ステーション(ISS)では空気を循環させて生活していますが、ニオイが気になる場所もあり、滞在中のニオイ対策に課題がありました。また、生活空間と仕事場が同じ空間であることから、毎日が単調になりがちです。そのため、衣服の着替えや朝夕のカンファレンスによる気持ちの切り替え、地球を眺めることによるリラックスなどで、気持ちと身体のバランスを整えています(Space Life Story Bookより)。こうした現状に対し、閉鎖環境における「ニオイ」や「気持ちと身体のバランス」に着目して、長年培ってきた香り設計技術を活用しアイデアを検討いたしました。

Q:課題に対する解決策は?(製品の機能)

気になるニオイを感じる前に低減する「Block(1香調)」、宇宙にいても日本を思い出せる「Earth(4香調)」、AIを活用し宇宙飛行士のためにブレンドされた「Like(11香調)」の3つの香りカテゴリーを設定し、肌(首や手首など)に軽くなじませることで、気になるニオイの低減や、使用者の好みに合った香りを楽しむことができます。

Q:地上へのどんな課題解決・ビジネスチャンス等に繋がりますか?

例えば災害時の制限された生活環境におけるニオイ対策や、テレワークの普及により起こりがちな 「仕事とプライベートの区別ができない」状況を改善するなど、宇宙だけに限らず当社アイデアの活用が可能であると考えています。今後、さらなる活用シーンの広がりを検討していきます。

Q:このプロジェクト申し込みの背景・気づきは?

今回の提案は、研究員の視野拡大やモチベーション向上を目的とした“業務の時間を最大15%活用した”活動の中で創出されました。この活動は必ずしも本業に直結する必要は無く、研究員の「ちょっとやってみたい」という小さなアイデアに挑戦する機会を提供するものです。

Q:宇宙での生活用品への挑戦にあたり良かったことは?

本提案を通し、地上での生活課題について改めて見つめ直す機会を得られたことです。

Q:宇宙での生活用品への挑戦にあたり苦労したことは?

ISSでは、閉鎖環境の中に複数の宇宙飛行士の方が滞在していることから、他の宇宙飛行士の方が香りを不快に感じ、迷惑をかけることがないよう、香りの強度設計に苦労しました。ISSでの使用環境を再現するため、実際にISSと同じ温湿度に設定した閉鎖空間に複数人の開発担当者が入り、製品を使用した本人だけが香りを感じる香り強度に設定しております。また、宇宙飛行士の方が日本・地上を思い出せるような香りは何か、担当者と議論を重ねながら、日本人なら誰しもが懐かしさを感じるような場所や食べ物を再現した香りを開発しました。「苔寺」のように、通常の当社製品では用いないような香りを開発するのは難しさもありながら非常にやりがいがありました。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA