飛び出し防止のためバッグの中などの狭いところを手探りで行う作業が多い宇宙飛行士の手指守るために開発された高保湿力と保湿持続性を保ちながらも、仕事に支障がないベタつきを抑えたさらさらな質感のハンドクリーム。
製造元 | Caetus Technology株式会社 |
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使用方法 | 適量手に取り、お肌にやさしくなじませてください。 |
大きさ | 縦135mm×横65mm×厚さ20mm |
重量 | 約56g(内容量:50g) |
JAXA生活用品担当が、本製品を開発いただいた企業にお話を聞きました。
Q:どんな課題に着目しましたか?
国際宇宙ステーション(ISS)では水が大変貴重で、お風呂やシャワーなく、空調も地上で管理され、個人が自由に操作することはできません。乾燥が起こりうる環境において、どのような作業にも使用する手は、本来であれば、保湿クリームをこまめに塗り、手指の保護が求められます。しかし、日々タイトな任務をこなす宇宙飛行士にとって、手肌の保湿を維持することは容易ではないという課題がありました。
Q:課題に対する解決策は?(製品の機能)
肌にもともと備わり、水分を維持し、異物や紫外線、乾燥から肌を守る「ラメラ構造」に着目。細胞間脂質類似の層状構造を形成できる両親媒性物質の結晶「α-ゲル」を用いてラメラ構造をサポートし、保護膜を形成することで高保湿力と保湿持続性を保ちながらも、ベタつきを抑えたさらさらな質感を実現。それにより、塗り直しが少なくて済み、仕事に支障がない宇宙飛行士のためのハンドクリームを開発しました。
Q:地上へのどんな課題解決・ビジネスチャンス等に繋がりますか?
地上においても水が制限され、手の作業を必要とする宇宙と同様の条件下(例:災害時、入院時や身体的な理由、キャンプ、登山など)での製品開発に応用できると考えております。
Q:このプロジェクト申し込みの背景・気づきは?
今回の取り組みの宇宙飛行士のQOL向上という目的に共感し、「“第3の皮膚”を形成することで、肌をプロテクトする」という発想で、手を洗う機会の多い看護師、美容師、調理師の「手荒れの悩み」の解決を目指して弊社が開発した高機能ハンドクリーム「Hands Å P.P.」を応用することで、宇宙飛行士の課題も解決できるのではないかと考え、応募いたしました。
Q:宇宙での生活用品への挑戦にあたり良かったことは?
弊社ではライフワークやライフスタイルの中で発生する悩みにフォーカスした課題解決をする商品開発を日頃より行っております。しかし、今回より制限された条件の中で、どのように課題を解決するかを検討するにあたり、新たな知見が得られたり、活発な意見交換へつながったりと、弊社のものづくりの大切にしている部分である、「ユーザーの夢を後押しする商品をつくる」という原点回帰のきっかけとなったと思います。
Q:宇宙での生活用品への挑戦にあたり苦労したことは?
ハンドクリームをISSで使用するためには、「ISSの機器に影響を与えない」ことが最も重要なことです。そのため、使用可能な原料の中で、保護膜の形成とべたつかないさらさらの質感の両立を実現することです。
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA