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国際宇宙ステーション(ISS)搭載可となった新規生活用品宇宙船内服

Space Medicine
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宇宙飛行士のISS船内活動において発生するストレスなどを衣服を通して軽減するため、着心地の良さや快適さという人間をリラックスさせる要素を徹底的に追求したウェア。
※製品の説明は製造企業のコメントをもとに記載しています。
製造元 株式会社スノーピーク、シタテル株式会社
使用方法 宇宙飛行士のISS船内着として着用。
大きさ プルオーバー:着丈 73cm 身巾 59cm 裾巾 57.5cm パンツ:脇丈 102cm 股下 68cm
重量 プルオーバー:451g パンツ:517g
宇宙船内服

JAXA生活用品担当が、本製品を開発いただいた企業にお話を聞きました。

Q: どんな課題に着目しましたか?

①重量の制限についての課題。②入浴できない事での衛生環境への課題。

Q: 課題に対する解決策は?(製品の機能)

①素材や縫製により高い堅牢性が実現でき、着替えのサイクルを減らすことが可能となることで、船内への運ぶ荷物を減らすことができると考えました。②船内生活では入浴ができず、濡れたタオルで体を拭き、清潔を保ちます。そこで体温調整機能があり、蒸れや臭いが起こりにくく、速乾性を実現することで衣内環境を向上させました。更に消臭抗菌機能を付加することで着用時の衛生環境も向上させています。
また、上記の解題解決だけでなく、合成繊維(ポリエステル)と天然繊維(ウール)の長所を併せ持つハイブリッド素材を使用することで、通常使用する上での快適性を高次元で追求しました。

Q: 地上へのどんな課題解決・ビジネスチャンス等に繋がりますか?

特殊な環境である船内においてのウェアの役割は、一般的な日常生活でも活かすことができるので、地上での生活においても快適なアイテムとなります。

Q: このプロジェクト申し込みの背景・気づきは?

プロダクトパートナーのシタテルさんからお話を頂き、今回チャレンジさせて頂きました。宇宙での活動を想定した服作りというのは初めてでしたので、キャンプフィールドで培ってきた服作りのスキルを活かして、何がどこまで実現できるのか、スノーピークとして大きな挑戦でした。(株式会社スノーピーク)
今回のプロジェクトは、シタテルがJAXAによる「THINK SPACE LIFE」プラットフォームにインキュベーションパートナーとして参画したことで「宇宙船内服」づくりが始動しました。宇宙という極限空間において、衣服に求められる本質的な“価値“とは何か?という「問い」を起点とし、プラットフォーム上のコミュニティで多くの人、企業、アカデミアの英知を結集することで完成することができました。(シタテル株式会社)

Q: 宇宙での生活用品への挑戦にあたり良かったことは?

国際宇宙ステーション(ISS)への正式な搭載が決まった事と、自分たちが共同開発した製品が地球を飛び出して宇宙へ行くことは言葉にできないくらい喜ばしい事です。また企画にあたり地上を想定した服作りとは別の視点や構想が必要で普段は自分たちの気づかない要望や使い方、ケアの仕方など、新しい視点でのモノ作りができたことは非常に得難い経験となりました。(株式会社スノーピーク)
今回、今後の宇宙空間での暮らしにむけて、スノーピークさんをはじめ、多くの企業の皆様と共に「人類が新たなステージに進むためのプロローグ」となる衣服の開発ができたことは、ファッション業界に携わる企業として、とても貴重な経験でした。(シタテル株式会社)

Q: 宇宙での生活用品への挑戦にあたり苦労したことは?

まず宇宙生活という実地経験がないので、コンセプト含めJAXAの方や宇宙飛行士の方々からヒアリングした内容でイメージを固め、地上で培った経験則をどのように素材やデザインに落とし込むか、半分は想像の範囲なので具体的な製品に着地させる手ごたえを掴むまでに苦労しました。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA