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2025.01.21
  • 基礎訓練

基礎訓練レポート(2024年9月)

  • 諏訪 理
  • 米田 あゆ
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CSAロボットアーム訓練

2024年9月、米田・諏訪両宇宙飛行士候補者はCSA(Canadian Space Agency)に約2週間滞在し、ロボットアーム訓練(MSS(Mobile Servicing System)Robotics Operator: MRO)を受講しました。本訓練は2024年4月にJAXAで受講した「基礎ロボティクス訓練(JAXA GRT)」、同年6月にNASAで受講した「NASAロボットアーム訓練(NASA GRT)」と地続きの訓練となっており、MROではISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)の基本的な操作方法に加え、実際のミッションに即したロボットアーム操作について演習を行いました。

宇宙飛行士がISSで行うロボットアーム操作には、「船外活動(EVA)のサポート」と「Cygnus等の補給船(Visiting Vehicle)把持」があります。JAXA GRT/NASA GRTではロボットアーム操作の基本的知識や操作方法について習得しましたが、本訓練ではこれらの復習に加え、新たに上記2つのロボットアーム操作についても座学/実技演習を実施し、ロボットアーム操作技量を習熟させました。

CSAロボットアーム訓練を受ける諏訪・米田宇宙飛行士候補者

諏訪宇宙飛行士候補者の感想

ロボットアーム訓練はJAXAでの基礎訓練、NASAでの訓練に次いで3回目でした。3回の訓練を通して内容はだんだんと高度になっていき、その中で知識や技量の定着がはかられていきます。カナダはスペースシャトルに続いて国際宇宙ステーションにもロボットアームを提供しており、その正式名称はSpace Station Remote Manipulator System(SSRMS)ですが、通称でカナダアーム2(スペースシャトルのアームがカナダアーム1です)と呼ばれたりもします。カナダの5ドル札にはカナダアーム2が印刷されており、まさにカナダの誇りともいえる技術です。カナダ宇宙庁(CSA)でのシミュレータ訓練設備は、非常にリアルで臨場感があります。ここでは実際の手順書を使って、実際の運用に近い訓練もあり、楽しみながらも、緊張を強いられる場面が多くありました。ロボットアームは地上の管制官が遠隔で操作することも多いのですが、同僚宇宙飛行士の船外活動の支援や飛来する宇宙船を把持するための操作は宇宙飛行士が行います。CSAでの訓練ではこの二つの操作を集中的に学びました。ロボットアーム全体の姿勢がどうなっているのか、ISSとのクリアランスは取れているのかを声に出して確認しながら操作を進めます。時には指導教官が船外活動をする宇宙飛行士役やロボットアーム操作の補佐をする飛行士役になって、二人で操作の確認をとりながら作業を進めるという訓練もありました。2週間ほどにわたったCSAでの訓練は非常に内容の濃いもので充実した時間になりました。ロボットアームの訓練はまだ続きますので、カナダで学んだことに更に上積みしていけるように頑張ろうという思いを胸に、秋の美しいモントリオールを後にしました。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA