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宇宙飛行士のしごと

Astronaut
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宇宙と地上の両空間を行き来して、
宇宙開発をけん引する

1992年に毛利衛宇宙飛行士が日本人として初めてスペースシャトルに搭乗し、宇宙に飛び立って以来、JAXA(旧:NASDA)宇宙飛行士として計11人の日本人が宇宙へ行き、さまざまな任務を遂行してきました。その間に、国際宇宙ステーションが完成、その中で最大の実験室「きぼう」日本実験棟が、日本人宇宙飛行士の活躍の場となりました。長く続いたスペースシャトルの時代が終わった後は、宇宙へ行く手段も様変わりし、ロシアの宇宙船ソユーズだけでなく、最近ではアメリカの民間宇宙船が活躍しています。着々と前進を続ける宇宙開発を最前線でけん引すべく、宇宙飛行士たちは日々、宇宙空間と地上の両方で、さまざまな仕事に従事しています。

©JAXA/NASA

現在のISS滞在型から次なる時代へ。
変化を続ける宇宙空間での仕事

タンパク質結晶生成装置(PCRF)にタンパク質結晶生成実験サンプルを設置する大西宇宙飛行士 ©JAXA/NASA

現在の宇宙飛行士の任務は、ISSに数ヶ月から半年という期間、滞在して、各種実験や運用にたずさわることが中心になっています。実験は、微小重力や高真空といった宇宙ならではの環境を利用したもので、そのテーマは物理学から医学・生物学まで多岐にわたります。また、運用は、ISSや日本実験棟「きぼう」のシステム管理や修理・保全などで、ロボットアームを操作しての作業や、宇宙服を着ての船外活動も含まれます。電力などの限られた資源を他国の宇宙飛行士と分け合って利用しなければならないため、各任務は、地上の管制室と連携しながら、分刻みのスケジュールで行われます。

有人宇宙活動は、やがては、⽉や他の惑星にも展開していくことが予想されます。それに伴い、宇宙⾶⾏⼠が担う仕事も変化していくことでしょう。2021年秋ごろには、JAXAは新たな宇宙飛行士となる候補者の募集を開始します。新世代の宇宙飛行士の活躍が期待されます。

選ばれてもまだ遠い
宇宙飛行士までの道のり

宇宙飛行士候補者に選ばれても、すぐ宇宙飛行士になれるわけではありません。まず、約2年間、宇宙飛行士として必要な基本的な知識や技能を習得するための基礎訓練を受け、ISS搭乗宇宙飛行士として認定されなければなりません。候補者となっても、まだ「宇宙飛行士」とは名乗れないのです。

©JAXA/NASA

JAXAデジタルアーカイブス

はれて「宇宙飛行士」に!
しかし、まだまだ訓練の日々は続く

ソユーズ宇宙船シミュレーション訓練を行う大西宇宙飛行士ら ©JAXA/NASA

無事に宇宙飛行士に認定されても、それでもまだ、すぐ宇宙への道は開きません。技量や体力を維持・向上するための訓練を続け、搭乗ミッションにアサイン(任命)されるのを待ちます。

搭乗ミッションにアサインされると、約 1年~2年 ほどのミッション固有の訓練を経てから実際のフライトに至ります。
訓練は、国際宇宙ステーション参加パートナー(アメリカ、ロシア、欧州、カナダ、日本)で行われ、ロボットアームの操作、船外活動など、ミッション遂行に必要となる技能を徹底的に磨いていきます。特に「きぼう」の運用・利用については、JAXA筑波宇宙センターで訓練が行われます。また、体力づくりも重要なため、日々トレーニングをすることも欠かせません。また、ISSでは、多岐にわたる分野の実験を滞りなく行わなければならず、それらの実験は各々専門性も高いため、実験を提案した研究者に実際に会って話を聞くなど、事前の勉強も必須になります。

Q&A
普段の⽣活において、禁⽌されていることはありますか?

普段からこれをしてはいけない、ということは特にありませんが、フライトが近づくと、宇宙飛行士が怪我をしてミッションが実施できなくなるといったことがないように、危険度が高い活動は禁止されます。具体的には、フライトの1年前からは、自動車やボートなどのレース競技、スキー、スカイダイビング、消防活動への参加は不可となります。さらに8ヶ月前からは、野球、ソフトボール、バスケットボール等のスポーツ競技も行えません。

各種開発や計画、そしてサポート。
地上でも忙しい宇宙飛行士

宇宙飛行士といっても、実際に宇宙で活動する時間は限られています。ミッションに参加して宇宙に行くのは、JAXA宇宙飛行士の場合、これまでの例を見ると多くが5~10年に一回程度です。そのため宇宙飛行士は、地上でも多くの仕事を担っています。宇宙に行っている飛行士を地上からサポートする役目を務めたり、ISSで使用する実験装置の開発や各種運用計画の立案にたずさわったりするなど、それぞれの得意分野を生かして、さまざまな業務にかかわります。何か特定のミッションのために長期間の訓練を受ける場合もあります。また、宇宙での活動や体験について広く伝えることも宇宙飛行士の重要な仕事です。講演会やイベント、教育プログラムへの参加、さらにはメディアへの対応も行います。宇宙飛行士は、地上でも、とても忙しい仕事なのです。

「こうのとり」9号機 分離時のNASAミッション・コントロール・センター(MCC)にてCAPCOMを担当する金井宇宙飛行士 ©JAXA/NASA
Q&A
ストレスの大きい仕事だと想像されますが、リフレッシュはどのようにしていますか?

宇宙飛行士の仕事はリスクが伴うため、ストレスは小さくありません。それでも取り組む価値があり、やりがいの大きな仕事だと感じていますが、普段の⽣活の中でリフレッシュする方法をもっておくことは重要です。私はスポーツを取り入れています。ジョギングやウェイト・リフティングを日々行っていて、好きな野球も、できるときはよくやっています。ISSに⻑期滞在するミッションの訓練では、世界各国への出張が頻繁で、移動後すぐに⻑時間の訓練ということも少なくないので、時差ぼけを極⼒少なくすることも肝⼼です。そのためにも、日の当たる⼾外でのスポーツはいいですね。(若田宇宙飛行士)

若田宇宙飛行士からメッセージ

宇宙飛行士を目指すあなたへ

月探査の時代を見据え、JAXAは今年秋頃、新たな宇宙飛行士を募集します。極限環境でも冷静、的確な判断と行動ができる事、多国籍チームの中で、日本の代表として多様性を尊重し、安全とミッション成功のためのチーム行動力とリーダシップを発揮できる事、そして人類未踏の地での体験を世界中の人々と共有する発信力などが求められます。宇宙への熱い想い、明確な目標、日常のちょっとした努力や勉強が、きっと宇宙への道を切り拓いてくれると思います。多くの皆さんが応募して下さる事を期待しています。

JAXA特別参与・宇宙飛行士 若田光一