ISS退役以降(ポストISS)においては、地球低軌道は民間主体の経済圏となる姿が想定されています。JAXAでは、このポストISSの時代にも継続的に宇宙環境利用が実現するために、「きぼう」がある今の時期にその機能を最大限活用して将来のための民間の事業実証や技術実証を行うべく、利用インフラ・利用制度の両面から支援する取り組みを進めています。
「きぼう」船内キャビンエリアの利便性向上
これまで、自身の装置などを打ち上げて「きぼう」船内を使う場合、特殊な電力や通信のインターフェース(IF)が必要となり、装置の改修やそのIFにあわせた新規の製造が必要となっていました。この負荷を軽減するため、IFを地上で広く一般的に使用されているものに合わせ、改修等が最小限ですむようユーティリティーを整備しました。
機器や物品を打ち上げて船内空間で事業実証や技術実証などを行い、その後地上に回収する場合に、より利用しやすくなりました。
- 「きぼう」船内実験室キャビンエリアの利用案内(2025年03月14日)
装置類の自動化・自立化の取り組み
JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機
Int-Ball2は、軌道上の実験装置の様子や宇宙飛行士の作業の様子を自律的に撮影するドローンロボットです。Int-Ball2が稼働する前までは、撮影機材の準備には、カメラや固定アームの準備、画角の調整などの宇宙飛行士の作業時間が必要でした。また、これらの撤収の時間も必要です。Int-Ball2により、宇宙飛行士が準備・撤収することなく、地上からの指示で「きぼう」船内を浮遊して目的の場所まで到達し、撮影して自分で元の位置に戻るという効率的な撮影が実現できるようになりました。
- Int-Ball2とAstrobeeが初共演! 第5回「きぼう」ロボットプログラミング競技会の軌道上運用が行われました(2024年10月18日)
- ISS・「きぼう」での実験をより身近に、気軽に ~ポテンシャルを秘めた船内ドローン「Int-Ball2」(2024年9月24日)
- 微小重力空間を飛び回る「Int-Ball2」、知られざる開発の苦労と喜びとは(2024年3月25日)
- Int-Ball2の初期チェックアウトを実施中!(2023年11月17日)
- Int-Ball2が宇宙に旅立ちました!(2023年6月6日)
「きぼう」自動実験システム(GEMPAK)の開発
民間が運営する地球低軌道ステーションでは、様々なものがコスト的にペイできるかという観点が付きまといます。宇宙飛行士が作業するにも地上の管制要員や手順書の準備などのコストがかかりますので、宇宙飛行士の作業をできるだけ少なくし、地上からの操作又は自動で実験などが進んでいくことが求められます。
これに向け、「きぼう」船内実験室では、地上からの遠隔操作やプログラムによる自動操作が可能な「きぼう」自動実験システム(GEMPAK)の開発を進めています。
- 「きぼう」自動実験システム(GEMPAK)の開発に関する選定結果について(2025年01月21日)
「きぼう」利用制度面でのポストISS準備
低軌道ステーションの利用事業が民間主導で進むよう、JAXAでは「きぼう」を使う各種サービスの民間事業化を推進しています。以下のサービスは、選定された民間企業からエンドユーザに対して利用サービスが提供されています。