2026年4月、大西宇宙飛行士と金井宇宙飛行士は、トヨタ自動車株式会社 東富士研究所で行われた「有人与圧ローバー」の試験に参加しました。
この試験は、月面で人が乗る与圧ローバーの開発に関して、技術者たちが考えたアイデアが実際に使えるものかどうかを確認・評価するためのものです。実際に月面でミッションを行う宇宙飛行士が、運用する立場としてそれらのアイデアを評価します。こうした「人が実際に関わりながら技術を検証する」方法は「ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)試験」と呼ばれています。
今回は、JAXAの宇宙飛行士2名に加え、NASAの宇宙飛行士3名も参加し、開発に携わる日米の技術者を含め、約40名が集まりました。
HITL試験では、月面を再現した映像を大型スクリーンに映し出し、与圧ローバー走行時の挙動を模擬できる可動式シミュレーターに乗り込んで操縦性や機能性を評価しました。宇宙飛行士は2人1組で搭乗し、操縦士と副操縦士と役割を分担し、協力しながら決められたスタート地点からゴールを目指します。操縦士がローバーを操縦し、副操縦士はサブディスプレイに表示される計器等を確認しながら補佐します。JAXAの宇宙飛行士同士だけでなく、NASA×JAXAという組み合わせで走行する回もありました。
今回の試験のテーマは「窓」。
与圧ローバーの窓は、運転のしやすさだけでなく、月面の地形確認や岩石などのサンプル観察にも欠かせない重要な要素です。一方で、窓を大きくすればその分車体の重量が増えてしまいます。与圧された車内の安全を守るための窓の防護や、車体の強度や質量の影響なども考える必要があります。
「どの大きさや形が最適なのか」──その答えを探るため、技術者が提案した窓のデザインをもとに、宇宙飛行士による検証が行われました。技術者は、宇宙飛行士のコメントに加え、操縦中の姿勢や視線の動き、走行データ、さらに2人の距離感や会話の様子などを細かく観察し、より安全に月面を走行できるデザインを検討します。
試験の序盤では、月面の地形や障害物の見極めが難しく、操縦は慎重に行われていました。ところが、試験を重ねるにつれて操作に慣れ、判断も早くなっていきます。その結果、同じコースでも障害物に近づきすぎる場面が減り、走行にかかる時間も次第に短くなっていきました。
予定していた試験が終わった後には、あえて想定ルートを外れ、窓から見える景色などを手がかりに安全に走行できるかを試す場面も見られました。別のルートからゴールを目指す試みなど実際の運用に近い状況での検証も行われました。
その様子を見ていた技術者たちも、ルートを外れた場合に走行時間や距離がどの程度変わるのかについて、興味深そうに意見を交わしていました。
宇宙飛行士が参加しているからこその、活気ある試験風景でした。
今回の試験のテーマは「窓」。
与圧ローバーの窓は、運転のしやすさだけでなく、月面の地形確認や岩石などのサンプル観察にも欠かせない重要な要素です。一方で、窓を大きくすればその分車体の重量が増えてしまいます。与圧された車内の安全を守るための窓の防護や、車体の強度や質量の影響なども考える必要があります。
「どの大きさや形が最適なのか」──その答えを探るため、技術者が提案した窓のデザインをもとに、宇宙飛行士による検証が行われました。技術者は、宇宙飛行士のコメントに加え、操縦中の姿勢や視線の動き、走行データ、さらに2人の距離感や会話の様子などを細かく観察し、より安全に月面を走行できるデザインを検討します。
試験の序盤では、月面の地形や障害物の見極めが難しく、操縦は慎重に行われていました。ところが、試験を重ねるにつれて操作に慣れ、判断も早くなっていきます。その結果、同じコースでも障害物に近づきすぎる場面が減り、走行にかかる時間も次第に短くなっていきました。
予定していた試験が終わった後には、あえて想定ルートを外れ、窓から見える景色などを手がかりに安全に走行できるかを試す場面も見られました。別のルートからゴールを目指す試みなど実際の運用に近い状況での検証も行われました。
その様子を見ていた技術者たちも、ルートを外れた場合に走行時間や距離がどの程度変わるのかについて、興味深そうに意見を交わしていました。
宇宙飛行士が参加しているからこその、活気ある試験風景でした。
試験終了後は、関係者全員でデブリーフィング(振り返り)を行いました。
与圧ローバーを開発する技術者と、実際に操縦する宇宙飛行士、あるいは宇宙飛行士の間でも重視するポイントが異なることもあります。そうした違いについても、「なぜそう考えたのか」という背景を丁寧に確認し合い、相互理解を深めていきました。組織や立場の違いを超えて、活発な議論が交わされる場面もあり、開発への熱意が感じられました。
次回は、試験に参加した宇宙飛行士へのインタビューをお届けします。
与圧ローバーを開発する技術者と、実際に操縦する宇宙飛行士、あるいは宇宙飛行士の間でも重視するポイントが異なることもあります。そうした違いについても、「なぜそう考えたのか」という背景を丁寧に確認し合い、相互理解を深めていきました。組織や立場の違いを超えて、活発な議論が交わされる場面もあり、開発への熱意が感じられました。
次回は、試験に参加した宇宙飛行士へのインタビューをお届けします。
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※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA