訓練近況報告
今月は、基礎工学(航空宇宙工学、電子工学、計算機工学)概論、JAXAの基幹ロケット概要、宇宙ステーション補給機「こうのとり(HTV)」(※)概要等の講義を受講しています。
基礎工学の一環として、超小型衛星のトレーニングキットを活用し、人工衛星の各サブシステムの役割について学びました。本実習を行う中で、設計、組み立て、統合、検証などシステムエンジニアリングを体験し、組み立てにおいては、工具の使用方法、電子・電気工学について学んでいます。ハードウェア等や遠隔運用管制の制約などを考慮したミッション要求を検討し、実習で製作した小型衛星キットで実際にミッションを達成出来るようにプログラミングするなど、実践的な実習を行いました。
基礎工学の一環として、超小型衛星のトレーニングキットを活用し、人工衛星の各サブシステムの役割について学びました。本実習を行う中で、設計、組み立て、統合、検証などシステムエンジニアリングを体験し、組み立てにおいては、工具の使用方法、電子・電気工学について学んでいます。ハードウェア等や遠隔運用管制の制約などを考慮したミッション要求を検討し、実習で製作した小型衛星キットで実際にミッションを達成出来るようにプログラミングするなど、実践的な実習を行いました。
また、宇宙飛行士として認定されると、JAXAを代表して対外的な情報発信等を行う機会も多くなることから、取材対応に関する訓練も実施しました。
この他、きぼう運用管制員と意見交換を行い、実運用についても知見を広めました。引き続き語学訓練(英語、ロシア語)、体力訓練等も実施しています。
諏訪宇宙飛行士候補者のコメント
「今月、思い出深かったのは何といってもHepta-Satと呼ばれる人工衛星(宇宙機といってもいいかもしれません)の基礎を学ぶ訓練でした。人工衛星は電気を搭載機器に供給する電源系や、地上とコミュニケーションをするための通信システム、人工衛星で見たいものを見るためのセンサーやそれらをコントロールするコマンド・データ処理システムなどが統合的にうまく動いてはじめて人工衛星としての機能を果たします。その基本となる考え方は国際宇宙ステーションのような有人宇宙機も同じだと思います。その基礎を学ぶため、ひとつずつ手をうごかして電子基板にくっつけ、動作確認をし、統合して、人工衛星を作っちゃおう!というのがこの訓練の目的でした。どんな目的の人工衛星をつくるのか、という議論から始まって、どういった部品を使えるのか、大きさの許容範囲は、など各種制約の中で制作をすすめます。全体を構成する一つ一つの要素がうまく動いても、いくつもつなげるとうまくいかなかったりと、試行錯誤が続きました。それでも最後に何とか形になったときはうれしかったですね。
この訓練を通して、私が思い出したのは、青年海外協力隊員としてルワンダで教育に携わっていた時に仲間と一緒に行ったロボコン。といってもそれほど高度なものではなく、モーターで動く車の模型を有線のコントローラーで運転しながら競争するというもの。実際に手を動かしながらものをつくる興奮をルワンダの生徒たちからひしひしと感じたものでした。今回の訓練では私もルワンダの生徒たちに負けずに目が輝いていたはず!Hepta-Satのような講義パッケージはすでに日本を飛び出して世界で使われているとのことですが、宇宙時代に突入する世界の多くの国の教育で需要がありそうだ、とも感じました。」
この訓練を通して、私が思い出したのは、青年海外協力隊員としてルワンダで教育に携わっていた時に仲間と一緒に行ったロボコン。といってもそれほど高度なものではなく、モーターで動く車の模型を有線のコントローラーで運転しながら競争するというもの。実際に手を動かしながらものをつくる興奮をルワンダの生徒たちからひしひしと感じたものでした。今回の訓練では私もルワンダの生徒たちに負けずに目が輝いていたはず!Hepta-Satのような講義パッケージはすでに日本を飛び出して世界で使われているとのことですが、宇宙時代に突入する世界の多くの国の教育で需要がありそうだ、とも感じました。」
講師のコメント(日本大学 山﨑 政彦 准教授)
「宇宙飛行士候補生のための基礎訓練のデザインに初めて取り組むにあたり、基礎訓練関係者の方々と打ち合わせを繰り返し、私も、アシスタントを務めた学生も、将来の宇宙飛行士に求められる”モノ”を想像し、理解しながら、訓練教材の開発を行いました。特に、訓練の中心トピックである「電気・電子回路・通信」を中心としながらも、「宇宙機システムの工学」全般や「問題解決能力」にもトピックを広げる体験型の4日間の訓練をハンズオン衛星教材HEPTA-Satアレンジしてデザインしました。
基礎訓練冒頭の小型衛星や工学教育の概要、ソフトウェア・ハードウェアの統合、一つ一つの工学理論や物事の考え方、進め方、グループワークでのミッションシナリオ作成、実装、実験、また昼食や休憩の際など、4日間、朝から夕方まで多様なシーンで、質疑とその応答を積極的に繰り返し、本質を掴み、将来の活動に生かそうとする諏訪さん、米田さんお二人の熱心な姿がとても印象的でした。
訓練を提供した側である私もアシスタントを務めた学生も、諏訪さん、米田さんと過ごし、語り合う時間の中でたくさんのことを考え、多くのことを教えて頂ける時間だったと思います。」
基礎訓練冒頭の小型衛星や工学教育の概要、ソフトウェア・ハードウェアの統合、一つ一つの工学理論や物事の考え方、進め方、グループワークでのミッションシナリオ作成、実装、実験、また昼食や休憩の際など、4日間、朝から夕方まで多様なシーンで、質疑とその応答を積極的に繰り返し、本質を掴み、将来の活動に生かそうとする諏訪さん、米田さんお二人の熱心な姿がとても印象的でした。
訓練を提供した側である私もアシスタントを務めた学生も、諏訪さん、米田さんと過ごし、語り合う時間の中でたくさんのことを考え、多くのことを教えて頂ける時間だったと思います。」
※宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)
2009年の技術実証機(1号機)から2020年の9号機まですべての補給ミッションを完遂し、運用を終了しました。現在JAXAでは次世代の無人補給船として、新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)の開発に取り組んでいます。
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA