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宇宙服

Life in Space
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過酷な環境下にも耐えうる高性能スーツは
まさに命を守る服

地上を離れた宇宙船に事故が起きて船内が減圧された場合や、ISSから宇宙空間に出て船外活動を行う際、宇宙飛行士は微小重力や高真空など、人間が本来生きていけない環境に身を置くことになります。そんな環境下で安全に任務を行うために開発されたのが船内与圧服や船外活動服などの宇宙服。ここでは様々な宇宙服の秘密を探りましょう。

©JAXA/NASA

宇宙往還時に船内で着用される
宇宙飛行士の特別なスーツ

宇宙服を着用するSpaceX Crew-1クルーの野口宇宙飛行士 ©JAXA/NASA

宇宙飛行士が宇宙船に乗り込む際に着用します。1986年のNASAの宇宙船、スペースシャトル「チャレンジャー号」事故の後、クルーの緊急避難用システムが必要と判断したNASAは、打上げと帰還時に着用するオレンジスーツ(与圧服)を開発し、1988年のSTS-26で、LES(Launch and Entry Suit)がデビューしました。
その後、クルーのストレスや疲労を軽減するために、LESよりも軽く、かさばらず、シンプルな作りのACES(Advanced Crew Escape Suit)を開発し、1994年のSTS-68で初飛行しました。なお、ロシアのソユーズ宇宙船に搭乗する際はソコル宇宙服が使用されています。
2020年、民間の宇宙船クルードラゴンの打ち上げでは最新の船内与圧服が使用されました。3Dプリンターで作られたヘルメットやタッチスクリーンにも対応したグローブなど、これまでの与圧服とは一線を画したデザインとなっています。

過酷な環境から身体を守る、
船外活動のための高性能スーツ

船外活動(EVA)を行う際には、真空や熱、紫外線など、宇宙のきびしい環境から宇宙飛行士を守るために様々な機能を持った船外活動用の服が必要になります。

ISSでは、アメリカが開発した船外活動ユニット(EMU:Extravehicular Mobility Unit)と、ロシアのオーラン宇宙服が使われています。
どちらも、宇宙飛行士の体を守る「宇宙服アセンブリ(Space Suit Assembly: SSA)」と宇宙服内の環境を保つ、「生命維持システム(Life Support System: LSS)」の機能をあわせ持っています。

水中訓練用の宇宙服を着用する星出宇宙飛行士

JAXAデジタルアーカイブス

大西宇宙飛行士が語る宇宙服について

アメリカの船外活動ユニット(EMU)の持つ機能

アメリカの船外活動ユニット(EMU)は上部胴体、下部胴体、グローブ、ヘルメット、冷却下着、生命維持装置、通信装置などの部品から構成されています。
上部胴体、下部胴体、グローブ、ヘルメットで全身を覆い、中に酸素を満たして宇宙の真空から身を守ります。宇宙服は気密、断熱などのためにナイロン、ダクロン、アルミ蒸着マイラー(ポリエステルフィルム層)、ゴアテックス/ノーメックスなどから成る14層もの布地からできており、内部気圧は0.3気圧となっています。
素肌に着用する冷却下着は長さ84mものチューブを縫込んだ下着で、チューブに水を流して体温が上昇するのを防ぎます。
生命維持装置は呼吸により排出された二酸化炭素を取除いて酸素を供給するとともに宇宙空間に熱を逃すラジエータの役割も果たします。
宇宙飛行士は通信装置によりペアを組んで行うEVAクルーやISS内のクルー、あるいは地上の管制官と話すことができます。
そして7時間以上にもおよぶことがある船外活動中、トイレには行けないためおむつを使用します。

オーラン宇宙服

プリブリーズの短いロシアの宇宙服

ロシアのオーラン宇宙服 ©NASA

オーラン宇宙服(Orlan Spacesuit)は、ロシアが開発した、船外活動中の宇宙飛行士の生命維持装置です。オーラン宇宙服は、内部気圧が約0.4気圧とEMUに比べて高めのため、船外活動クルーが宇宙服を着用後、体内から窒素を追い出すために要するプリブリーズと呼ばれる待機時間が約30分と短くなっています。