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宇宙でからだはどうなる?

Life in Space
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憧れの宇宙で健康に過ごすには?

宇宙に行ってみたいと思ったことはありますか?宇宙はとても過酷な環境でもあります。宇宙に行くと、人のからだはどのような影響を受けるのでしょうか。

©JAXA/NASA
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宇宙に行くとどんな変化が起こる?

回転椅子に座る金井宇宙飛行士

多くの人は「宇宙酔い」を経験します

国際宇宙ステーションや宇宙に飛び出した宇宙船内では、地球と違い重力がとても小さくなります。その影響で多くの人に、頭痛、吐き気、嘔吐といった「宇宙酔い」の症状が現れます。私たちが地球にいるときは、重力の影響を大きく受けています。自分のからだのバランスを取るときに大切な働きをしているのが、耳の奥(内耳)にある「前庭器官」という小さな器官です。
この器官は、身体が受ける重力や加速度の情報を電気信号に変えて脳に送ります。地上にいるときは、脳はここから常に重力の情報を受けていて、身体のバランスを取るのに役立てています。
重力がとても小さい宇宙では、前庭器官から入ってくる情報が変化するので、脳が混乱して、宇宙酔いを起こしてしまうとされています。でも、この状態はあまり長く続きません。宇宙に数日滞在すると、宇宙酔いは治まってきます。宇宙酔いの程度は個人差があり、宇宙酔いにならない人もいます。また、地球に戻ると、ふたたび地球の重力の影響を受けるので、宇宙酔いと同じような症状を示す「重力酔い」が発生することも知られています。

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宇宙飛行士は顔がパンパンになっているように見えるけど、どうして?

宇宙医学にチャレンジ!【体液シフトとサイズ変化】

宇宙では顔がむくむことがよくあります

地球で人間が浮き上がらないのは、重力によって引っぱられているからです。実は、地球上ではからだの中を流れる血液などの体液も重力によってからだの下側に引っ張られています。宇宙に行くと重力が小さくなるので、体液が下に引っ張られずに、上半身に体液が多い状態になります。そのため、宇宙では顔がむくみます。この影響で、鼻の粘膜もむくんでしまうため、宇宙飛行士は「鼻詰まり」の状態になることがよくあります。
宇宙にしばらく滞在すると、からだの中の体液のバランスがとれてきて、数週間で顔のむくみがなくなるのが一般的です。
反対に、宇宙飛行士が地球に帰ってくると立ちくらみ(起立性低血圧)を起こすことがよくあります。地上は宇宙よりも重力が大きいために、心臓から頭にまで血液を届けることが難しくなることで発生します。宇宙では小さな力で血液を送り出すことができるので、心臓の筋肉が衰えてしまうことも、立ちくらみが起こる原因の1つと考えられています。

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宇宙で長い期間過ごすと、人のからだはどうなるの?

キューポラ(観測窓)からの景色を眺めながらトレーニングを行う金井宇宙飛行士©JAXA/NASA

骨と筋肉が弱くなってしまいます

宇宙空間に長期間滞在していると、足や腰を中心に筋肉や骨が弱くなります。地上にいるときは、常に重力がかかっているので、その力に対抗しようとあまり意識していなくても、常に足腰の筋肉や骨を使っています。重力がとても弱い宇宙では、2本の足で立たなくても姿勢を維持できますし、移動するときも足を使う必要がありません。長い間、宇宙に滞在すると筋力が弱くなり、骨の量も減ってしまいます。
そのため、宇宙飛行士の骨の減りを防ぐため、既存の治療薬の効果を宇宙で検証する研究もおこなわれています。尚、宇宙飛行士は筋肉や骨が弱くなることを防ぐため、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在しているときは1日に約2時間の運動をしています。

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宇宙では放射線の量が増えるの?

Area PADLESを「きぼう」に運ぶ古川宇宙飛行士 ©JAXA /FSA

大気のない宇宙空間は地上よりも放射線の量が増え、人体に大きな影響を与えます。

地球の表面は大気で覆われています。大気は私たちの呼吸に必要な酸素がありますが、それ以外にも地球にやってくる紫外線や放射線から生物を守る働きもしています。大気がほとんどない宇宙空間に滞在する宇宙飛行士は地上よりもエネルギーの高い放射線を受けます。エネルギーの高い放射線をたくさん受けると癌(ガン)などの病気になるリスクが高くなってしまいます。
JAXAでは宇宙放射線被ばく管理を実施し、被ばく量を一定レベル以下に管理することで、宇宙飛行士に健康障害が発生しないように努めています。

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宇宙にいることでからだ以外にも変化するものはある?

食事のため「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)に集まる第48次長期滞在クルー ©JAXA /NASA

狭い空間で生活するうちに強いストレスを感じることもあります

ISSは、ひと昔前の宇宙船と比べると生活できる空間がかなり広くなりました。しかし、それでも地上での生活と比べると活動範囲はとても狭くなります。ずっと狭い空間で他の宇宙飛行士と数か月も共同で生活や仕事をしていると、自分でも気がつかないうちにストレスを抱えてしまいます。ISSにいる宇宙飛行士は、ロシア、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、日本など、様々な国から集まっています。そのため、言葉の壁や文化の違いなどもストレスにつながることがあります。宇宙飛行士のストレスを弱めるために、宇宙にいても家族や友人と話ができる環境をつくったり、宇宙食を充実させたりしています。