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よくあるご質問
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イメージ炉と楕円

 「光通信や各種レーザー機器に必要な純度の高いガラスを、無重力を利用してつくる実験がすすめられている。不純物が入るのを防ぐためだが、なぜ無重力を利用するのだろうか?」の「無容器溶融」は、無重力の特徴を生かした「宇宙でつくる」実験の代表例だが、乗り越えなければならない課題が二つある。その一つは無容器溶融の実験では、ガラスの材料が炉の中心から動かないように、何らかの方法で材料を空中に固定する必要があった。どのような方法でガラスの材料を空中に固定したのだろうか? もちろんガラスの材料にふれてはいけない。」の物質を空中に固定する方法(空中固定法)であり、もう一つがそれをどうやって加熱するか(加熱法)の問題だ。無容器溶融のための加熱法として、「イメージ炉」と呼ばれる装置が各国で早くから開発されてきた。その原理図を下に示す。

 ランプをつけると、ランプから出たすべての光は鏡で反射して物質に集まり、物質の温度を1000℃以上に上げることができる。

 光が物質に集まる理由は、反射鏡の形およびランプと物質の位置にある。イメージ炉の反射鏡は楕円(だえん)形で、ランプと物質は楕円の焦点の位置にあるのだ。

 板に2本のクギを打ち、糸をとりつけて、下図のように糸を張った状態で鉛筆を動かしていく。このとき描ける図形が楕円であり、クギの位置を焦点という。
 楕円にはおもしろい性質がある。「一方の焦点から出た光は、楕円の表面で反射してもう一方の焦点に集まる」という性質だ。イメージ炉は、楕円を回転させた形の反射鏡を2つ組み合わせ、一方の焦点にランプを、もう一方の焦点(2つの楕円の共通の焦点)に物質を置く。こうすれば、ランプから出た光(光も波の一種)は楕円形の鏡の表面で反射して、物質に集まる。

 話はそれるが、放物線には、「平行な光は放物線の表面で反射して一点(焦点)に集まる」という性質がある。これを利用したのが衛星放送などを受信するパラボラアンテナ。パラボラとは、英語で放物線のことだ。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA