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よくあるご質問
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無容器溶融の実験では、ガラスの材料が炉の中心から動かないように、何らかの方法で材料を空中に固定する必要があった。どのような方法でガラスの材料を空中に固定したのだろうか? もちろんガラスの材料にふれてはいけない。

音波を使って固定した。

音が空気中を伝わるときは、音源の振動にあわせて空気の濃い部分と薄い部分ができ、それらが交代で次々と発生する。空気の濃い部分を「谷」、薄い部分を「山」とすれば、音もふつうの波と同じように考えることができる。これが音波だ。

 「ふわっと '92」では、音波を使ってガラスの材料を空中に固定した。原理図を右に示す。

 下のスピーカー(音源)から出た音波は、上の壁で反射して戻ってくる。音波の周波数を調節すれば、下から出た波と上で反射した波が重なり、波の動きが止まった状態をつくることができる。

スピーカー
 下のスピーカー(音源)から出た音波は、上の壁で反射して戻ってくる。音波の周波数を調節すれば、下から出た波と上で反射した波が重なり、波の動きが止まった状態をつくることができる。
 
 この状態で、空気の濃さの変化がもっとも小さい安定な部分に物質を置くと、物質はその位置から動かなくなる。

 地上ではごく軽いものしか固定できないが、無重力では重さがないから、ガラスの材料を空中に固定することができたのだ。

 ただし、温度が変わると音波の進む速さが変わるから、物質をふつうの温度で固定できる周波数と、高温で固定できる周波数とは異なる。周波数の調整のむずかしさがこの固定法の泣きどころだ。

 なお、空中固定法には、このほかにも次のような方法がある。
 (1)物質に磁力を与え、コイルで作った磁場との反発力で固定する。
 (2)物質を帯電させ、電気的反発力で固定する。
 (3)気体を吹き付けて固定する。

 ただし、(1)は電気を導く物質に限られる。また、(3)は温度が下がるので、加熱実験には向かない。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA