大型衛星を打ち上げられる世界最大級の打上げロケット
アリアンスペース社が開発したアリアン5 ロケットは、大型の衛星を打ち上げる能力を備えた、世界最大級の打上げロケットです。1997年10月に初の打上げに成功し、1999年12月には初の運用フライトに成功しました。
アリアン5 ロケットには、5G、5G+、5ECA、5 ES-ATVの種類があります。
欧州補給機(Automated Transfer Vehicle: ATV)は、ATV打上げ専用機として開発されたアリアン5 ES-ATV(Evolution Storable upper stage ATV)ロケットで打ち上げられました。 なお、2015年にATV計画が終了した後、このアリアン5ESロケットはガリレオ航法衛星の4機同時打上げに使われるようになりました。 アリアン5 ES-ATVロケットは、ATVを高度260km、ISSと同じ軌道傾斜角51.6度の円軌道に投入するように設計されています。
アリアンロケットは、南米フランス領ギアナのクールー宇宙基地から打ち上げられます。
アリアン5ロケットの主要諸元
アリアン5ロケットは、フェアリング、常温保存推進剤ステージ(2段)、機体装置ベイ、極低温メインステージ(1段)、固体ロケットブースタから構成されます。
名称 | アリアン5 ES-ATV |
打上げ場所 | クールー宇宙基地 |
全長 | 53m |
直径 | 5.4m |
固体ロケットブースター(EAP) | 2基 |
打上げ時の重量 | 760トン |
最大貨物重量 | 21トン(20.7 トン/300km 円軌道、軌道傾斜角51.6 度) |
欧州補給機(ATV)とは
ATVは、水、空気、酸素、推進剤、与圧貨物などをISSへ定期的に運搬することを目的に欧州宇宙機関(ESA)が開発した無人の輸送機で、2008年3月に初号機のATV1が打ち上げられました。 ESAはこの後、ISSへの補給ミッションからは手を引き、米国の「オリオン」宇宙船のサービスモジュールの開発にこのATVで使用した技術を流用する形でNASAとの協力を進めています。
ATVの主要諸元
項目 | 仕様 | |
大きさ | 全長 | 9.794m |
直径 | 4.48m | |
太陽電池パネル含めた全幅 | 22.281m | |
打上げ時の最大重量 | 20,750kg | |
補給品の搭載能力 (計7,667kg) |
水の最大重量 | 840kg |
空気(酸素、窒素、空気)の最大重量 | 100kg | |
ISSへの補給用推進剤の最大重量 | 860kg | |
リブースト用の推進剤の最大重量 | 4,700kg | |
上記補給品を除くドライカーゴ(乾貨物)の重量 | 1,500~5,500 kg | |
不要品の搭載能力 | 6,300kg |
関連リンク
ATVの運用概要
打上げ
ATVはアリアン5ロケットにより、南米フランス領ギアナのクールー宇宙基地から打ち上げられました。
ISSへのランデブ・ドッキング
ISSへ後方より接近し、「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)後部のドッキングポートへ自動でドッキングします。
任務を終えて大気圏へ再突入
ISSへの物資補給を終えた後は、ISSの不要品を搭載してISSから分離し、大気圏へ再突入して投棄されます。
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA