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アンタレスロケット
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シグナス補給船を運ぶ2段式の中型ロケット

アンタレスロケットの打上げ

アンタレスロケットは、ノースロップ・グラマン社(Northrop Grumman)が開発した2段式の中型ロケットで、国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を輸送するシグナス補給船を軌道上に打ち上げます。ノースロップ・グラマン社は、NASAとの商業軌道輸送サービス(Commercial Orbital Transportation Services: COTS)の契約に基づき、シグナス補給船とともにアンタレスロケットを開発しました。

このロケットは、米国バージニア州にあるNASAワロップス飛行施設の0A射点から打ち上げられます。

2013年4月21日に試験機の初打上げに成功し、2013年9月18日にはシグナス補給船のデモフライト機の打上げに成功しました。2014年1月から、NASAの商業補給サービス(Commercial Resupply Services: CRS)の契約の下でシグナス補給船を11機(当初は8機、その後3機を追加受注)打ち上げ、ISSへの合計約30,000kgの物資の輸送を担当しています。

シグナス補給船運用3号機(Orb-3)を載せたアンタレスロケット5号機の打上げは、2014年10月29日午前7時22分の打上げ直後に爆発して失敗に終わりました。このため、シグナス補給船運用4号機(OA-4※1)とシグナス補給船運用5号機(OA-6※2)の2回のミッションはアトラスVロケットによる打上げに切り替えられ、改良型のアンタレスロケット(アンタレス230ロケット)は、2016年10月のシグナス補給船6号機(OA-5)ミッションから飛行を再開しました。

アンタレスロケットのフェアリングに格納されるシグナス補給船運用2号機

なお、シグナス補給船運用7号機(OA-7)ミッションでもアトラスVロケットが使われましたが、これはアンタレス230ロケットよりも打上げ能力がやや大きいアトラスVロケットを使うことで貨物輸送量を増やすために行われたものでした。

※1 企業合併によりOrbital ATKに社名が変わったため、ミッション名は以降”OA”と呼ばれるようになりました。(その後2018年にOrbital ATKはNorthrop Grummanにより買収)
※2 アンタレス230ロケットを使用するOA-5ミッションの打上げが遅れることになったため、OA-6ミッションが先に打ち上げられることになりました。

アンタレスロケットの主要諸元

横スクロールしてお読みください。
名称 アンタレスロケット
全長 40m
直径 3.9m
重量 290トン

シグナス補給船

アンタレスロケットで打ち上げられるシグナス補給船は、日本が開発した宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)と同じ方式でISSへランデブ・結合します。

最終的に、シグナス補給船はISSの下方に到着すると、ISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)に把持されて「ユニティ」(第1結合部)※1の地球側の共通結合機構(Common Berthing Mechanism: CBM)に取り付けられます。運搬した物資がISSへ移送され、ISSの不要品が積み込まれると、シグナス補給船はISSから分離され、大気圏へ再突入して燃焼廃棄されてその役目を終えます。

シグナス補給船の飛行イメージ ©Orbital ATK Inc.

なお、シグナス補給船のISSへの接近/離脱時に、「きぼう」日本実験棟の船内実験室に搭載している近傍通信システム(Proximity Communication System: PROX)が利用されますが、JAXAはPROXの稼働状況をリアルタイムで監視し、動作を確実に保つことによりシグナス補給船の運用を支援します。

※1 シグナス補給船運用2号機(Orb-2)までは「ハーモニー」(第2結合部)に取り付けられていました。シグナス補給船運用4号機(OA-4)からは、ドラゴン補給船の結合との競合を避けるため、ユニティに取り付けられるようになっています。

シグナス補給船の諸元

項目 仕様
与圧部 最大貨物重量 アンタレスロケット使用時は2,000kg
アンタレス230ロケット使用時は約3,350kg
アトラスVロケット使用時は約3,500kg
容積 18.9m3(改良後※2は26.2m3
サービスモジュール 太陽電池パドルによる発生電力 3.5kW
推進薬 N2H4とMON-3

※2 シグナス補給船運用4号機(OA-4)から改良型のシグナス補給船に切り替えられました。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA