STORY 1-3

国境のない宇宙で僕らは。

宇宙を旅する。その旅路で僕らは、たくさんの可能性を手にしてきた。

それは、医学、物理学、通信技術、ものづくりなど、あらゆる実験、研究の成果だけじゃない。

生まれた場所や性別、肌や目の色、信じるもの……。あらゆる違いを乗り越えてひとつのチームになる。その素晴らしさもまた、宇宙が教えてくれたことだった。

国境のない宇宙で僕らは。

はじまりは、競争だった。

ひとがはじめて宇宙へ旅立った1960年代、そこでの活動は主に「競争」だった。

その中心にいたのは、アメリカと旧ソ連。のちにISSメンバーとして活動するふたつの国も、当時はどちらが遠くまで行けるか、長く宇宙に滞在できるか。そんなプライドをぶつけ合っていた。

転機がやってきたのは、1975年。アメリカのアポロ宇宙船と旧ソ連のソユーズ宇宙船が、地球の軌道上でドッキングしたことだった。そして、ふたつの国の宇宙飛行士は互いの宇宙船を訪問し、いっしょに実験や食事をした。

その出来事は、宇宙が世界の国をひとつにできる可能性があることを、僕らに教えてくれたんだ。

はじまりは、競争だった。

ISSは、世界をひとつにした。

1984年、はじめてISS計画が発表された。それは、世界が宇宙でひとつになるためのあたらしい一歩だった。

計画にはアメリカ、日本、ヨーロッパ、そして遅れてロシアが参加を表明し15カ国が参加するプロジェクトとなっている。

建設には、アメリカとロシアを中心に、参加した国々が力を出し合った。日本は「きぼう」日本実験棟の建設のほか、パーツや食料など、宇宙での活動に必要な物資を運ぶのにたくさんの貢献をしている。

宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)のミッション成功率はなんと100%。その高い技術力で、世界中の信頼を集めることになったんだ。

さらに日本は、ISS参加国以外にもISSへの扉を開け、宇宙に乗り出そうとする国々の技術向上も後押ししている。超小型衛星放出は、そうした国へ宇宙進出の機会を提供しているし、「きぼう」での宇宙実験コンテスト、ハーブを使った宇宙植物実験、ロボットプログラミング競技会など、アジア・太平洋地域の若者に向け、宇宙への好奇心をかきたてる場を作り出している。

日本は、宇宙での国際貢献の場でも、世界に期待されているんだ。

ISSは、世界をひとつにした。

手を取り合って、行こう。

僕らは月、そして火星へと旅をひろげようとしている。そして、そのプロジェクトもまた、ISS参加国を中心に世界中の国々が手をとり合って進められている。

空と宇宙をへだてるものがないように、宇宙にも国境なんてない。そこにはただ、人類があらゆる違いを乗り越えてひとつになれる、平和な可能性だけがひろがっているんだ。

手を取り合って、行こう。

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