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国際宇宙ステーション(ISS)とは

上空約400kmに浮かぶ宇宙実験施設。そこには、人類の夢や願い、知恵がたくさん詰まっています。

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宇宙だからできること。
宇宙でしか見られないもの。
ぜんぶISSの仕事です。

宇宙空間でただひとつ、人類が活動する場所。それが国際宇宙ステーション(ISS)。重力の影響を受けにくい、そんな特殊な環境だからこそできる科学実験や研究に取り組んだり、宇宙から地球の自然環境を見守ったり。さまざまな活動を通して、地球での暮らしや人類の発展に貢献しています。

「きぼう」日本実験棟とキューポラ(観測窓)の大西宇宙飛行士 ©JAXA/NASA

そこは、人類の知恵の集合体。

1995年時点の設計イメージ ©NASA

ISSを地上に置くとしたら、サッカー場がすっぽりと収まるほどの大きさ。実験や研究を行うための仕事場「実験モジュール」や、最大7人の宇宙飛行士が暮らせる「居住モジュール」、電力を作り出す「太陽電池パドル」、船外での作業に活躍する「ロボットアーム」などがあり、国際パートナー各国が開発したパーツで成り立っています。

宇宙空間、そこに国境なんてありません。

アメリカ、日本、カナダ、欧州各国(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、スペイン、オランダ、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン)、ロシアの15ヶ国が協力して計画を進め、利用しているISS。宇宙活動の拠点であると同時に、国際協力と平和のシンボルでもあります。

マーシャル宇宙センター(MSFC)内のペイロード運用センター(POC) ©NASA

ISS組み立て完成から運用の歩み

ISS建設のための最初のモジュールが打ち上げられたのは1998年。以来、40数回に分けて打ち上げたパーツを宇宙空間で組み⽴て、2011年7⽉に完成しました。今後、2030年まで運用を継続することが決まっています。

1984

競争から協力へ。
1984年、レーガン大統領が各国に呼びかけ

⽶国の航空宇宙局(NASA)では、1982年から、ISSについての計画が話し合われてきましたが、正式に計画がスタートしたのは1984年。当時の大統領、ロナルド・レーガンが「⼈が⽣活することのできる宇宙基地を、10年以内に建設する」という発表を⾏ったことで、国際宇宙ステーションへの計画が正式にスタートしました。

1984年1月に発表された、初期の国際宇宙ステーション構成イメージ ©NASA
1985

日本、欧州、カナダの参加が決定。
ISSは国際プロジェクトへ。

日本、欧州(ESA)、カナダが、「宇宙ステーション計画予備設計了解覚書」に署名しました。日本ではこの年8月、宇宙開発委員会に宇宙基地特別部会が設置され、国際宇宙ステーション計画の予備設計の段階における重要事項の検討、成果の評価、および開発段階以降に対する基本的方針について検討を行うこととなりました。

1993

設計の見直しで、計画は一歩前へ。
さらにロシアの参加も決定。

本格的な開発着手後も、参加各国は予算確保に苦しみながら設計の見直し、スケジュールの調整を迫られる中、NASA再設計チームは現在の仕様に近い見直し案を作成。この年、アメリカのクリントン大統領は国際パートナーの意向を尊重しつつ、この案を採択しました。また、ロシアがこの計画に参加することが決まったのもこの年の出来事でした。

1998

最初の構成要素「ザーリャ(FGB)」打ち上げ

基本機能モジュール(FGB)は、アメリカが提供する構成要素です。アメリカが資金を出し、ロシアが製作を行いました。FGBは推進、通信、電力、熱制御等の機能を有している1気圧に与圧された宇宙機で、プロトンロケットによりカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から無人で打ち上げられます。FGBにはロシア語で日の出を表す“ザーリャ”という愛称が付けられています。

基本機能モジュール「ザーリャ」 ©NASA
2009

「きぼう」日本実験棟の組立〜完成

「きぼう」は、3回のスペースシャトル・ミッションに分けて打ち上げられ、ISSに取り付けられました。

この3回のミッションには、土井宇宙飛行士、星出宇宙飛行士、若田宇宙飛行士がそれぞれ関わり、日本が開発した「きぼう」を日本人自らの手で、組立、起動、検証を行いました。

船外実験プラットフォームが取り付けられた「きぼう」 ©JAXA/NASA
2011

ISSの完成

国際宇宙ステーション(ISS)は、40数回に分けて打ち上げられて宇宙空間で組み立てられ、2011年7月に完成しました。

完成した国際宇宙ステーション(2011年) ©JAXA/NASA

国際宇宙ステーションの仕様

項目 諸元等
寸法 約108.5m×約72.8m(サッカーのフィールドと同じくらい)
質量 約420トン
電力 75~90kW(8つの太陽電池パドルによる1日の発電量)
全与圧部容積 916m3
与圧モジュール 実験モジュール(4棟)
  • 「デスティニー」(米国実験棟)
  • 「コロンバス」(欧州実験棟)
  • 「きぼう」日本実験棟
  • 「ナウカ」多目的実験モジュール(MLM)
結合モジュール(3棟)
  • 「ユニティ」(第1結合部)
  • 「ハーモニー」(第2結合部)
  • 「トランクウィリティー」(第3結合部)
その他モジュール(保管庫など)
  • 「クエスト」(エアロック)
  • 恒久型多目的モジュール(PMM)
  • 「ザーリャ」(基本機能モジュール)
  • 「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)
  • 「ラスヴェット」(ロシアの小型研究モジュール1)
  • 「ポイスク」(ロシアの小型研究モジュール2)
曝露搭載物取付場所 トラス上4カ所
「きぼう」船外実験プラットフォーム10カ所
「コロンバス」(欧州実験棟)4カ所
常時滞在搭乗員 7名(組立期間中は2~3名)
軌道 円軌道(高度330~460kmの間で運用可能)
運用高度約400km
軌道傾斜角51.6゜
輸送手段 組立
  • スペースシャトル(米)
  • ソユーズロケット、プロトンロケットなど(露)
補給
  • スペースシャトル(米)(※1)
  • ソユーズロケット(露)
  • アリアンロケット(欧)(※1)
  • H-IIBロケット(日)
  • 米国商業軌道輸送サービス(ファルコン9、アンタレス、アトラスV)
通信能力 通信能力 米国 追跡・データ中継衛星(TDRS)システム
その他、日(※2)、欧のデータ中継衛星システム

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA