私たちが乗った宇宙船は今、地上400kmの高度を約8km/sで円軌道を描いてまわっているとします。どのようにしてみんなが待っている地球に戻って来るのでしょうか
(1) 地球に向かって宇宙船に搭載したエンジンを噴射して一気に加速して目的地に突入する。
(2) 進行方向に対し、宇宙船に搭載したエンジンを短時間、逆噴射し、減速しながら地球のまわりをまわる高度を徐々に下げて地球に近づいていく。
(2)。(1)ではかえって地球から離れた軌道に移ってしまいます。
私たちがよく知っている人工衛星は、所定の軌道まで打ち上げられるために、まず、軌道半径ro の円軌道をまわってから、より高い半径r2 の円軌道に移っていきます。この場合、最も少ない燃料で半径ro の軌道からr2 の軌道に移る道筋は、下の図1にあるように両方の円に接する楕円軌道kであることが知られています。この場合、点Aで燃料を噴射して接線方向にv1 だけ短時間に速度を増加すると、楕円の上半分を進むことができます。次に点Bで再度噴射して、半径r2 の円軌道を描いてまわることができる速度v2 まで短時間に速度を増加すれば良いのです。
人工衛星は地球からの引力と、自分の推進力の二つだけでその運動は決定されることから、この手順と全く逆を行えば、半径r2 から半径ro に戻ることになります。したがって、私たちが地球に戻ってくるためには、図2にあるようにこの逆の方法、すなわち(2)を行うことにより大気圏(高度120km)にたどり着いて地球に戻ることができるのです。ちなみに、(1)だと地球の周りをまわっていた速度に地球に向う速度が加わるため、それまでとは違った軌道で地球の周りをまわってしまうことになります。自分自身も猛スピードで円周方向を進んでいることを忘れないように。
人工衛星は地球からの引力と、自分の推進力の二つだけでその運動は決定されることから、この手順と全く逆を行えば、半径r2 から半径ro に戻ることになります。したがって、私たちが地球に戻ってくるためには、図2にあるようにこの逆の方法、すなわち(2)を行うことにより大気圏(高度120km)にたどり着いて地球に戻ることができるのです。ちなみに、(1)だと地球の周りをまわっていた速度に地球に向う速度が加わるため、それまでとは違った軌道で地球の周りをまわってしまうことになります。自分自身も猛スピードで円周方向を進んでいることを忘れないように。
: 噴射の方向 : 噴射を行ったときに速度が加わる方向
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA