水と空気が半分ずつ入ったガラスのびんを、宇宙船内にもちこんだ。無重力では、水の形はどうなるだろうか? また、水のかわりに水銀だったらどうなるだろうか?


水または水銀






水の形は(5)、水銀の形は(6)。
図1の水とガラスが接した部分に注目してほしい。水がガラスの壁を登っている! これはガラスが水でぬれやすいためだ。水はガラスの壁全体をぬらそうとするが、重力があると、水自体に重さがあるので、壁をわずかに登る程度で終わってしまう。

しかし、無重力では水に重さがないから、ガラスの壁全体が水でぬれ、空気は壁からはなれて一つの不安定な球状の泡になる。泡が球状になるのは「表面張力」の影響だ。
一方、ガラスは水銀でぬれにくいから、壁面は水銀でぬれず、水銀は大きな球となってびんの中に浮かぶ。水銀が球状になるのも、「表面張力」の影響だ。

このように、無重力で液体のふるまいを考えるときには、「表面張力」とともに、物質の「ぬれやすさ」が大きな意味をもってくるのだ。
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