国際宇宙ステーションは重さのない宇宙でクレーンを使って組み立てられました。なぜでしょうか
資材の質量が、大きな慣性を持っているからです。
ビル建設など、地上の建設現場ではクレーンが活躍します。鉄骨などの骨組みになる資材は重いので、その重力にうち勝って、持ち上げなければならないからです。
国際宇宙ステーション建設は、巨大な資材を次々に打ち上げ、地球周回軌道上で組み立てました。このとき、クレーンは欠かせませんでした。
ところで、無重力である地球周回軌道で、なぜ、クレーンのような機器が必要になるのでしょうか。巨大な資材は、当然、大きな質量を持っています。動かすには、ある程度の加速度を与えなければなりませんが、質量が大きいということは、それだけ慣性、すなわち「加速されにくさ」が大きいのです。
そのため、巨大な資材を動かすには、大きな力を加える必要があります。小さな力では、とても時間がかかるのです。また、この理由の方が大切かもしれないが、「加速されにくい」というのは、「止めにくい」ということでもあります。組み立ての際に、動き始めた資材同士が衝突して、こわれてしまってはどうしようもありません。資材の運動を制御するには、力が必要なのです。
宇宙空間では、地上のクレーンのように、フックで引っかけて、ワイヤーでつり下げるわけにはいきません。しっかり資材を固定し、腕も固いものでなければなりません。
それと、クレーン本体は、母船に固定されたものでなければなりません。さもないと、力を加えても、同時に自分自身も動いてしまうからです。
それと、クレーン本体は、母船に固定されたものでなければなりません。さもないと、力を加えても、同時に自分自身も動いてしまうからです。
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