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人工衛星が地球の周りを回り続けるのはなぜ

動いている物体は外から力が加わらないかぎり、いつまでも一直線に同じ速度で動き続け(等速直線運動)、静止している物体は外から力がかからないかぎり永遠に静止しようとします。これをニュートンの第1法則(慣性の法則)といいます。

ここに摩擦の無いテーブルの上を一定の速度でまっすぐ転がっているビー玉があるとしましょう。そのビー玉の進行方法に対し指で斜めにちょっと弾くと、当然ビー玉の進む方向が変わります。その先でまた、ビー玉を弾くと、さらに進む方向が変わります。

ビー玉を弾く向きをある1点に向けることで、ビー玉はその1点を中心とした多角形を描いて一周します。このビー玉を弾く回数を増やしていくことでビー玉の動きは次第に円に近づいていきます。この力を連続的にある1点に向けて加え続けることで、ビー玉は円を描くように運動します。

等速直線運動をしているビー玉に常に中心に向かう力を加えるにはどうすれば良いでしょうか。ビー玉に糸を付けて反対の端を一点に固定すれば良いのです。この中心に向けて引っ張る力を向心力といい、衛星が地球の周りを回り続ける原理となっているのです。

つまり、直線に動き続けようとする力(慣性力)と、中心へ向けようとする力(向心力)のベクトルの合成により物体は円運動を続けるのです。人工衛星が地球に落ちていても、人工衛星が水平に早い速度を持っていることと、地球が丸いため何時までも地上に到達しないのです。人工衛星の進む力を大きくすれば、地球周回軌道から飛び出し、人工衛星の進む力を小さくすれば、地球の中心に向かって落下してしまいます。

これは、物体の速度を上げると遠くまで飛び、速度を上げていくと、やがて地球のへりに沿って飛び(落ち)続けるという説明と同じことです。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA