宇宙医学とはどのような学問ですか
人類長年の夢であった有人宇宙飛行は1961年のガガーリンの飛行に始まり、アポロ11号のアームストロングらによる人類初の月面調査など、多くの足跡を宇宙に残してきました。
宇宙に行った人もスペースシャトルによる飛行だけでも延べ600名以上になります。滞在期間もロシアの場合は1年以上の経験者もいるなど、長期におよんできています。
そして今わたしたちは国際宇宙ステーション時代へ突入しました。これまで宇宙へと旅立ったのは宇宙飛行士と呼ばれるごく限られた人たちでしたが、近い将来には誰もが宇宙に行くことができ、宇宙観光旅行、そして一般の人たちの宇宙での生活ができるようになるに違いありません。
しかし宇宙で安全に生活できるようになるまでには解決しなければならない問題がたくさんあります。 それらを医学的に可能にする学問が宇宙医学です。宇宙医学の対象として以下があげられます。
- 心循環器への影響
- 骨カルシウムへの影響
- 筋肉への影響
- 宇宙酔い
- 血液・免疫への影響
- 宇宙放射線による影響
- 閉鎖環境による精神心理面への影響等
宇宙医学には基礎医学研究を進めるひとつの手法として微小重力環境を利用することを指す場合と、パイロットや宇宙飛行士の飛行前後と飛行中の健康管理をするための航空宇宙医学を指す場合があります。基礎医学としての宇宙医学と臨床医学としての宇宙医学と理解してもよいかもしれません。
後者の担当医師は航空宇宙医師(Flight Surgeon)と呼ばれます。
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