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宇宙飛行士にはどのような種類の役割があるのですか

国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する、ISS搭乗宇宙飛行士としての役割や、ソユーズ宇宙船やクルードラゴン宇宙船などでの役割があります。

ISS搭乗宇宙飛行士の役割は、コマンダー(船長)が1名、そのほかは、フライトエンジニアです。コマンダーは、リーダーとして各国のクルーを束ね、ミッション達成に導くのが仕事です。火災・空気漏れなど万が一の事態への対応の指揮や、地上管制局との作業計画調整の取りまとめ、他のクルーの作業状況や健康状態を把握しておくことも大切な仕事です。フライトエンジニアは、ISSのシステムと実験装置を正常な状態に維持すると共に、宇宙実験の運用を行うことが主な任務です。フライトエンジニアの仕事は多岐にわたり、ISSのシステムや実験装置の定期点検・保守・修理、宇宙船や補給船の到着や分離の際の運用、ロボットアームの操作や船外活動、また宇宙からの教育活動や広報活動のための撮影なども行います。

ソユーズ宇宙船では、コマンダーとフライトエンジニアという役割があります。コマンダーは、ロシア人が担当し、中央の座席に着席、飛行ミッションのすべての責任を負います。フライトエンジニアは、コマンダーを補佐する役割ですが、特にコマンダーの左に座るフライトエンジニアは、コマンダーに何かがあった時、コマンダーの役割を担うコ・パイロット(副操縦士)あるいはレフトシーターなどとも呼ばれます。日本人で初めて、レフトシーターとして搭乗した野口宇宙飛行士に続き、古川、油井、大西宇宙飛行士も担当しています。もう一人のフライトエンジニアは、オペレーションに関連する操作の一部を担当します。なお、ソユーズ宇宙船での音声による交信は、全てロシア語で行われます。

クルードラゴン宇宙船では、コマンダーと、パイロット、ミッションスペシャリストという役割があります。2020年、野口宇宙飛行士は、ミッションスペシャリストとして搭乗しましたが、その際は、宇宙船の飛行状況(飛行シーケンス、タイムライン、宇宙船テレメトリ及びリソース消費等)を監視する役割機器のモニターなどを担当しました。

<補足>
現在は退役していますが、スペースシャトルに搭乗する宇宙飛行士では、コマンダー(船長)、パイロット、ミッションスペシャリスト(MS)、ペイロードスペシャリスト(PS)と4種類の役割がありました。

コマンダーはスペースシャトル全体についての権限と責任を持ちます。他の宇宙飛行士は飛行中、コマンダーの指示に従わなければなりません。コマンダーはランデブードッキングなどに際しスペースシャトルの操縦を行います。コマンダーはパイロット宇宙飛行士として選抜され、パイロットとして2回程飛行の経験を積んだ後コマンダーに任命されます。

パイロットはスペースシャトルの操縦などに係わる事柄に関してコマンダーを補佐しコマンダーの指示に従って作業します。

MSは搭乗運用技術者と呼ばれます。スペースシャトルの全システムについての知識を持ち、スペースシャトルのシステム運用を行うほか、ロボットアームの操作、船外活動を実施することができます。さらには実験運用も行うなど、オールラウンドな宇宙飛行士といえます。

スペースシャトルの飛行には必ず何名かのMSが搭乗します。宇宙ステーションの組立飛行の場合はコマンダーとパイロット以外は全員がMSです。

PSは搭乗科学技術者と呼ばれます。スペースシャトルシステムの運用に関わる訓練は受けていませんが、搭乗するミッションの実験内容については大変詳しい知識を持ち、飛行目的の実験をするのが任務です。このため、科学者や研究者の中から選ばれます。

PSは、スペースシャトルのシステム運用に関する訓練は受けないため、訓練期間はMSに比べると短期間ですみます。その代わり、MSではできないような細かな実験操作が行えます。PSは科学者や研究者がそのまま宇宙へ行くイメージです。科学ミッションにのみ搭乗し、宇宙ステーション組立ミッションには搭乗しませんでした。

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA