JAXAは2026年1月9日 、諏訪理宇宙飛行士を2027年頃の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在搭乗員に指名したことを発表しました。諏訪宇宙飛行士にとって初めての宇宙飛行となり、日本人宇宙飛行士として8人目、通算15回目のISS長期滞在となります。諏訪宇宙飛行士は「きぼう」日本実験棟 を含むISSの維持・保全、科学実験、運用支援などを担う予定です。
搭乗員指名までの訓練等の説明
会見冒頭では、有人宇宙技術部門宇宙飛行士運用技術ユニット長の久留靖史 が、指名決定の経緯と、これまでの訓練成果、そして今後の展望について説明しました。
諏訪宇宙飛行士は、NASAを拠点とした船外活動訓練、ロボットアーム操作訓練、ISSシステム操作訓練に加え、ESA(欧州宇宙機関) の洞窟訓練やNASAの陸上サバイバル訓練に参加してきました。また実務面では、NASAの地上管制官(CAPCOM)資格訓練や、半年単位のISS運用計画を統括する「インクリメントリード」業務に従事してきました。
さらに、アルテミス計画の一環として開発が進む有人与圧ローバーについて、宇宙飛行士の視点から開発評価に貢献していることも紹介されました。
今後は、2027年頃のミッションに向け、欧州、カナダ、ロシアなど各国の訓練施設を訪問し、専門的な装置やモジュールの操作習得などの個別訓練を進める方針です。搭乗機体は現時点で未定ですが、決まり次第、その機体に特化した 訓練を開始する予定です。
諏訪宇宙飛行士は、NASAを拠点とした船外活動訓練、ロボットアーム操作訓練、ISSシステム操作訓練に加え、ESA(欧州宇宙機関) の洞窟訓練やNASAの陸上サバイバル訓練に参加してきました。また実務面では、NASAの地上管制官(CAPCOM)資格訓練や、半年単位のISS運用計画を統括する「インクリメントリード」業務に従事してきました。
さらに、アルテミス計画の一環として開発が進む有人与圧ローバーについて、宇宙飛行士の視点から開発評価に貢献していることも紹介されました。
今後は、2027年頃のミッションに向け、欧州、カナダ、ロシアなど各国の訓練施設を訪問し、専門的な装置やモジュールの操作習得などの個別訓練を進める方針です。搭乗機体は現時点で未定ですが、決まり次第、その機体に特化した 訓練を開始する予定です。
諏訪宇宙飛行士の挨拶(一部抜粋)
ユニット長の久留から説明があった後、諏訪宇宙飛行士が挨拶を行い、指名を受けての心境やミッションに向けての抱負を語りました。以下にその内容を一部抜粋してご紹介します。
「この度、国際宇宙ステーションへの長期滞在搭乗員として任命を受けました。ISSは25年にわたって運用を続け、多くの科学的な成果を創出してきました。私は今後、訓練を経てISSに向かいますが、このような素晴らしいプログラムに貢献する機会を与えていただいたことを本当に光栄に、そして幸せに思っています。25年の間、多くの日本人宇宙飛行士の先輩方が活躍されてきて、今も油井宇宙飛行士が宇宙で活躍されています。1人の宇宙飛行士から次の宇宙飛行士へとリレーされてきた”たすき”を、私もしっかりと受け取って、また次のミッションにきちんと受け渡していくことができればと思っています」
「予定通りであれば、私がISSへ行くのは2027年頃です。ISSは2030年までの運用となっているため、具体的にラストが見えている時期だと思います。今まで出してきた科学的な成果に、最後の磨きをかける時期でもありますし、その次をにらんで、地球低軌道の商業利用をどのように繋げ、民間の需要を作っていくのかという課題もあると思います。また、その後の月や火星探査に向けてどのような基礎を築き、次の世代の有人宇宙開発に繋げていくのかということもあるので、それらを意識しながらミッションをやっていく必要があると思っています」
「この度、国際宇宙ステーションへの長期滞在搭乗員として任命を受けました。ISSは25年にわたって運用を続け、多くの科学的な成果を創出してきました。私は今後、訓練を経てISSに向かいますが、このような素晴らしいプログラムに貢献する機会を与えていただいたことを本当に光栄に、そして幸せに思っています。25年の間、多くの日本人宇宙飛行士の先輩方が活躍されてきて、今も油井宇宙飛行士が宇宙で活躍されています。1人の宇宙飛行士から次の宇宙飛行士へとリレーされてきた”たすき”を、私もしっかりと受け取って、また次のミッションにきちんと受け渡していくことができればと思っています」
「予定通りであれば、私がISSへ行くのは2027年頃です。ISSは2030年までの運用となっているため、具体的にラストが見えている時期だと思います。今まで出してきた科学的な成果に、最後の磨きをかける時期でもありますし、その次をにらんで、地球低軌道の商業利用をどのように繋げ、民間の需要を作っていくのかという課題もあると思います。また、その後の月や火星探査に向けてどのような基礎を築き、次の世代の有人宇宙開発に繋げていくのかということもあるので、それらを意識しながらミッションをやっていく必要があると思っています」
質疑応答(一部抜粋)
諏訪宇宙飛行士の挨拶のあとは、報道関係者の方々からの質疑に、諏訪宇宙飛行士、ユニット長の久留がそれぞれ回答しました。以下に、質疑応答の内容の一部をご紹介します。
今回の決定をどこで、どのタイミングで聞かれたのでしょうか。聞いたときの感想を教えてください。
諏訪:決定を聞いたのは12月中、訓練先のヒューストンです。オンライン会議の中で報告を受けました。嬉しいという思いはもちろんありましたが、身の引き締まる思いというか、今後さらに訓練に励んでミッションへの準備を進めなければと、気持ちを新たにしました。
搭乗員決定までの2年ほどは、短かったのか長かったのか、どちらの感覚でしょうか?
諏訪:早かったです。先輩方も「初フライトまでは目の前の訓練をこなすのにせいいっぱいで、気づけば出発の日になっていた」とおっしゃっていたので、私も同じ感覚になると思います。ですが貴重な機会ですので、一日一日を大切にし、今後の訓練を全力で楽しみたいです。
これまでの職種で得た経験を、どのようにISSで活用していきたいとお思いでしょうか?
諏訪:訓練の中で、直接的かどうかは分かりませんが、今までの経験が糧になっていると感じることはあります。新しい経験には自分の過去の経験にもとづいて対応するので、何かしら自分のバックグラウンドや特色が出るのだと思います。ISSは国際協力のもと25年間運用されてきましたが、私も別分野ですが国際協力の中で仕事をしてきました。その背景をミッションに活かせるよう心がけ、自分に何ができるか考えていきたいです。
諏訪さんが宇宙飛行士に認定されてからISS長期滞在搭乗員に決定するまで、これまでの宇宙飛行士では最速なのではないでしょうか?
久留:はい。時期的には多分いちばん早いタイミングかと思います。国際調整の中で、日本の搭乗の順番や訓練の状況、長期的な搭乗訓練計画、現役の宇宙飛行士の状態などを総合的に検討したうえで、次の搭乗は諏訪さんが最適であるという判断がなされました。結果的に、最速の決定となったということだと思います。
宇宙での仕事における自身の強みとは?
諏訪:就職試験などで強みを聞かれることは多いですが、未だに何が強みなのか悩みます。こうありたいという思いも含め、「適応力がある」というのが強みであればいいなと思っています。また、私は他の宇宙飛行士と比べ、若干異なるバックグラウンドを持つと見られることが多いので、そういった違った観点からチームに発言できるスキルを持っていたら、またそう思われていたらいいなと個人的には思っています。
諏訪宇宙飛行士のどんなところに注目や期待をされていますか?
久留:JAXAの宇宙飛行士は一人一人がそれぞれ素晴らしい人物で、誇りに思っていますが、諏訪さんもその一人です。訓練を経て自信が積み重なり、宇宙飛行士に認定された時より精悍さが増し、バイタリティを感じます。彼の人となりを知るには、JAXAウェブサイトに掲載のあるESA洞窟訓練のレポート記事が好例です。その中に書かれた、本人の言葉による体験記には、彼ならではの感性や視点が表れており、私自身とても共感を覚えました。ぜひ皆さんにもご覧いただきたいと思います。
月探査という目標がある中で、今回のISS長期滞在はご自身の中でどのような位置づけにあるのでしょうか?
諏訪:まずは今回アサインされたISS長期滞在ミッションの成功に全力を注ぎたいと思っています。その先にある月探査は一段と難しく、その成功は個人の責任というより「団体戦」だと考えています。日本人飛行士の誰が行っても大丈夫な状況を作ることが、成功への鍵になるのだろうと思います。私はまだ経験が浅いので、しっかり経験を積み、その団体戦の一員として貢献できるよう頑張りたいと、思いを新たにしています。
今回のミッションテーマがあれば教えてください。
諏訪:ミッションテーマはこれから考えますが、意識したいのは「繋ぐ」ということです。私が受け取った”たすき”を、米田さんや次世代へ繋ぐこと。また、ミッションは地上と宇宙を繋いで初めて成り立ちますし、国際協力で運用されるISSには国と国を繋ぐという意味もあります。さらにISS退役が見える中、月や火星への有人飛行、地球低軌道の商業利用など、未来へ繋ぐという意味もあると思います。これら様々な「繋ぐ」を意識してミッションに取り組みたいというのが今の考えですが、最終的なテーマは「繋ぐ」と全く関係ないものになる可能性もあります(笑)。
さまざまなミッションがあると思いますが、その中で宇宙に行ってやってみたいことがあれば教えてください。
諏訪:ISSでは、これまでさまざまな科学実験が行われ、定常的に成果が生み出されてきました。現時点で何を担当するかは未定ですが、私もそういった実験に従事したいです。船外活動にももちろん興味がありますし、できる経験は全て楽しみたいです。内容は巡り合わせもありますが、どんなものが来るのかも含めて楽しみにしようと思っています。
いよいよアルテミス計画で宇宙飛行士による月周回飛行が予定されていますが、ご自分の期待や、仲間の宇宙飛行士たちから感じる勢いのようなものがあったら教えてください。
諏訪:有人月周回飛行を行うArtemis IIのクルーとはオフィスが隣で話す機会もありますが、いよいよ人類が再び月へ行くという高揚感が感じられます。私自身もこのミッションを非常に楽しみにしています。1972年のアポロ17号以来の月周回軌道からの帰還となるので、彼らが何を見て、どういう言葉で人類に語ってくれるのか、固唾をのんで見守りたいと思います。
日本が開発中の有人与圧ローバーの評価にも携わっておられるとのことでしたが、具体的にどのようなことをされているのか教えてください。
諏訪:ベテランや新人も含めた宇宙飛行士が設計や操作性を評価する機会があり、複数のデザイン案に対する改善点をフィードバックしました。テストパイロット出身の宇宙飛行士の真剣なフィードバックの出し方を間近で見て、月で実際に運転する際の安全性を「自分事」として真剣に考える重要性を学びました。
アルテミス計画では日本からも2人の宇宙飛行士がいずれ月面に向かうことが予定されています。月面への強い想いがあれば、その意気込みを伺えますでしょうか?
諏訪:現役の宇宙飛行士は皆、月へ興味があると思います。私個人としては、日本がミッションを成功させ、宇宙飛行士を月面に立たせることに強い関心があります。誰が行くとしても、それぞれの宇宙飛行士が自分の役割をきちんと果たしていくことで、その2人の宇宙飛行士が月面に立てるのだと思います。ですから、どんな役割でもチームの一員として貢献できる宇宙飛行士になりたいです。自分がリタイアする前に、JAXAの宇宙飛行士が月面に立つ。その日を夢見て今後も頑張りたいと思います。
JAXAに入構されて3年ほどかと思いますが、宇宙飛行士になる前と後で、イメージが異なることやギャップがあれば教えてください。
諏訪:以前は会見や宇宙での活動など、いわゆる目立つシーンだけを見ていた気がします。もちろん毎日はそうではなく、日々の地道な努力の積み重ねでミッションが成り立っているのですが、今はそれが肌感覚でわかるようになってきたと思います。一方で、訓練を通じて自分の行動が宇宙への道に繋がっている感覚もあり、職業として非常に面白いと感じています。
ISSは2030年に退役となりますが、今回のミッションの中でクロージングに向けた作業は発生するのでしょうか。あるいは引き続き「きぼう」利用の最大化に向けて同程度のボリュームで運用していくのでしょうか?
久留:JAXAとしましては、与えられたリソースの中で最大限、利用成果を出していくフェーズであることに変わりはありません。ISSの運用計画全体で見た時には、NASA取りまとめのもとで、例えば、今、スペースX社が進めている宇宙船の開発や、宇宙ステーション側の受け入れのための準備などといったタスクが入ってきます。
宇宙飛行士候補として選抜されてからISS長期滞在開始までの期間としては、油井宇宙飛行士の6年という記録を塗り替えて、最速になるかと思います。それに対しては、どのように感じられたのでしょうか?
諏訪:訓練に際限はなく、やるほど技量は上がります。もっとやりたい気持ちはありますが、完璧を待つと何年かかるかわかりません。なので、いただいたこの機会とタイミングで持てる最大のパフォーマンスができるよう、訓練していかなければならないと思っています。
諏訪宇宙飛行士の締めの言葉
本日は本当に長い間お付き合いいただき、どうもありがとうございました。質疑応答の中でも何度か申し上げましたが、「繋ぐ」ということを意識してやっていきたいと思っています。ISSは25年前から現在に至るまで運用が続いてきて、その使命も変わってきているかと思います。運用の最後が見えたこの段階においては、未来にどのように有人宇宙開発を繋げていくのかが非常に大きなテーマになってくるだろうと思っています。例えば日本であれば、有人与圧ローバーのような大きなプロジェクトも控えていますので、ISSで知見や経験を蓄積し、技術を獲得し、その次に向かっていくことを強く意識しながらミッションに挑んでいきたいと思います。また、これからの自分の準備の様子や訓練の様子なども、皆さんと共有していければと思っています。今後いろいろとご指導いただくこともあるかと思いますが、引き続きご支援と応援をよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
会見には34名のメディアが参加し、他にも多くの質問が寄せられました。また、JAXA YouTubeチャンネルではライブ配信がされました。この様子は、同チャンネルでアーカイブされていますので、ぜひご覧ください。
諏訪宇宙飛行士の活動に今後もご注目ください。
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