普段の食事を宇宙でも!
宇宙飛行士たちを支える食事とは
宇宙滞在に欠かせない食事、宇宙食。地上とはさまざまな条件が異なる環境では、どのような方法で栄養をとっているのでしょうか。宇宙食が持つ役割や、その種類、実際に宇宙に行った宇宙日本食や生鮮食品をご紹介します。
世界の宇宙飛行士から愛される、宇宙日本食
宇宙滞在でも欠かせない食事、宇宙食。地上とはさまざまな条件が異なる環境では、どのような方法で栄養をとっているのでしょうか。宇宙食が持つ役割や、その種類、実際に宇宙へ届けた宇宙日本食や生鮮食品をご紹介します。
果物や野菜まで!宇宙に届けた生鮮食品
宇宙機が国際宇宙ステーション(ISS)に届けるものの中には、実は生鮮食品も含まれているんです。みかんやりんごなどの果物や、玉ねぎなどの野菜まで、これまでに届けた生鮮食品の数々をご紹介します。
宇宙食の役割
宇宙食の役割には、宇宙飛行士が宇宙で健康に過ごすために栄養バランスを維持することのほか、おいしくバラエティ豊かな食事をとることによる精神的ストレスの低減や、気分をリフレッシュし、パフォーマンスの維持・向上を図ることなどが挙げられます。
宇宙飛行士が宇宙に長期滞在する場合に必要とされる1日のカロリーは、宇宙飛行士の年代、性別および体重から算出(※)されます。
※:ISS宇宙食供給の基準文書「ISS FOOD PLAN」の規定による
横スクロールしてお読みください。
男性 | 女性 | ||
18~30歳 | 1.7×(15.3×体重(kg)+679)(kcal) | 18~30歳 | 1.6×(14.7×体重(kg)+496)(kcal) |
30~60歳 | 1.7×(11.6×体重(kg)+879)(kcal) | 30~60歳 | 1.6×(8.7×体重(kg)+829)(kcal) |
たとえば、45歳で体重70kgの男性であれば2,875kcal、35歳で体重50kgの女性であれば2,022kcalとなります。この数字は地上で必要とされる1日のカロリーとほぼ同じです。
なお、船外活動を行う場合は、500kcalを余分に摂取することになっています。
宇宙食の種類
加水食品
水やお湯を注入して食べる食品です。フリーズドライ製法やスプレードライ製法などで作られます。ご飯類や麺類などのほか、お茶や清涼飲料水などの粉末飲料も含まれます。また、他国の宇宙食には、シリアル、シュリンプカクテル、コーヒーなどがあります。
温度安定化食品
レトルト食品や缶詰などの食品です。開封してそのまま食べられるほか、ISSのフードウォーマー(調理設備)で温めて食べることもできます。カレーや魚の缶詰、やきとりなどがあります。そのほか、他国の宇宙食として、ミートローフやラビオリ、プリンなどがあります。
自然形態食品・半乾燥食品
そのまま食べられる加工食品です。羊羹やビスケット、キャンディーやゼリーなどのお菓子類のほか、海苔などがあります。また、他国の宇宙食としてはトルティーヤ、ドライフルーツ、ビーフジャーキーなどがあります。
調味料
食品に味付けをするための調味料です。マヨネーズ、醤油などがあります。そのほか、他国では塩、こしょう、ケチャップ、マスタード、チリソース、タバスコなどがあります。地上では粉末状の塩とこしょうは、宇宙の微小重力環境で飛び散らないよう液体になっています。
宇宙食の条件
安全であること
- 容器や包装が燃えにくいこと
- 容器や包装が燃えた場合でも、人体に有害なガスが発生しないこと
保存性が高いこと
- 常温で長期保存が可能であること
衛生性が高いこと
- 宇宙飛行士の食中毒などを予防するための衛生性を確保する(食品内の細菌の種類や数などを基準以下とする)こと
食べる時に危険要因が発生しないこと
- 電気系への障害防止
液体を含む食品は飛び散らないよう、食品を封入するパッケージに付属したスパウト(吸口)やストローを使用する
そのまま食べる食品については飛び散らないよう粘度を高め、ゾル状食品(とろみのある食品)とする - 空気清浄度への障害防止
微粉を出さないこと
特異な臭気を発するものは適さない
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA