おーらんうちゅうふく
オーラン宇宙服
Orlan Spacesuit
オーラン宇宙服(Orlan Spacesuit)は、ロシアが開発した、船外活動中の宇宙飛行士を宇宙環境から保護するとともに宇宙飛行士の生命を維持するための装置です。
オーラン宇宙服はロシア(旧ソ連)のサリュート宇宙ステーション時代(1971年~86年)から使用が開始され、その後、ミール宇宙ステーション時代(1986年~2001年)、国際宇宙ステーション(ISS)時代(2001年~)と改良が重ねられて現在に至っています。
宇宙服アセンブリと生命維持システムによる構成は、米国の船外活動ユニット(Extravehicular Mobility Unit: EMU)と同様ですが、オーラン宇宙服は宇宙服アセンブリと生命維持システムが一体化されており、背面にある開口部から宇宙服アセンブリ内に入ることで、1人で装着できることが特徴となっています。
オーラン宇宙服は、内部気圧が約0.4気圧とEMUに比べて高めのため、船外活動クルーが宇宙服を着用後、体内から窒素を追い出すために要するプリブリーズと呼ばれる待機時間が約30分と短くなっています。また、EMUは地上に回収後、整備・再使用することを前提に開発され、寿命も30年と長く設定されていますが、オーラン宇宙服は一定の期間・回数を使用した後は廃棄することを前提に開発されており、EMUに比べて寿命は短く設定されています。
(参考)オーラン宇宙服(Orlan-MK)の仕様
項目 | 仕様 |
内部気圧 | 0.4気圧 |
最大連続運用時間 | 7時間 |
緊急時の酸素供給時間 | 30分 |
重量 | 約114kg |
軌道上での耐用年数(回数) | 4年または使用回数15回以内 |
適応サイズ | 身長:165~190cm 胸囲:94~112cm |
なお、2021年現在、ISSで使用中の最新型はOrlan-MKSとなっています。Orlan-MKから、宇宙服内の温湿度の自動制御や素材が改良されており、寿命が5年またはEVA20回までに延びています。
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