STORY 1-2
宇宙でも地上でも健康に暮らすために。
人類の活動範囲を宇宙にまで広げることができたけど、そこはひとの身体にとっては過酷な環境。僕らは、宇宙で健康に生活するための研究をはじめたんだ。
そして、その成果が、僕らの健康寿命に役立つと聞いたら、あなたはおどろくだろうか?
事実、日本が中心になって行った実験では、宇宙に身をおくことで起こるストレスがさまざまな加齢変化を早回しで引き起こすこと、そして、体内のある因子はその加齢変化に対抗することがわかっている。
こうした研究がさらに進むことで、将来の健康寿命を伸ばすことに期待をされているんだ。
そこは、重力がちいさな世界。
宇宙に行くと、突如すべてのものが軽くなる。100kgのかたまりだって、まるでスーパーマンみたいに片手で軽く動かせる。
だけど、重力がちいさいことは、ひとの体にとってうれしいことばかりじゃない。宇宙酔いが起こる、顔がむくんで「ム―ンフェイス」になる、骨が弱くなる、心臓の機能が低下する、そして、筋肉が萎縮する……。
宇宙で一日を過ごすと、地上で寝たきりで過ごす二日分や、そして高齢者が過ごす半年分と同じくらい筋肉が衰えるんだ。
宇宙で暮らすひとを守るために。
だから、宇宙で活動する宇宙飛行士たちの健康管理は徹底されている。
健康状態は飛行前から細かく観察されるし、ISS滞在中にも船内の採尿キットや心電図、血圧計、超音波診断装置などを使って医学検査を行なっている。
また、運動メニューや食事メニューもしっかりと決められていて宇宙飛行士たちはそれに沿って健康の維持に努める。
そうやってはじめて僕らは、重力をほとんど感じない環境で生活することができるんだ。
宇宙が人類を救う?
そして、宇宙という特殊な環境を利用した研究もたくさんの成果を上げている。
重力の影響がない宇宙空間だからこそできる高純度のたんぱく質の結晶。これは、薬を作る研究に役立っている。
これまで治療法がなく、多くのひとが苦しんできた「筋ジストロフィー」も、宇宙実験の成果をもとに、治療薬の開発につながる研究が行われるようになった。ほかにも、リウマチ、心臓肥大、肝細胞がんなどの治療薬開発に向けた成果も出している。
ひとが、これまで以上に健康に暮らせるように。
宇宙に浮かぶ僕らの実験室は、たくさんの可能性を生み出す場所になったんだ。
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