2022年11月12日(土)、2019年秋の開催以来、3年ぶりにお客様をセンターにお迎えして、筑波宇宙センターの特別公開が開催されました。感染症対策として、来場者数を5000人(事前申し込み・抽選)に限定しての公開とはなりましたが、天候にも恵まれ、秋晴れの空の下、紅葉も楽しみながら、いつもは見ることのできない施設をご覧いただく良い機会になりました。今年は、筑波宇宙センター開設50周年でもあり、多くのイベントがセンター内のあちこちで行われました。その中から、有人宇宙技術部門のイベントの様子をご紹介します。
金井宇宙飛行士講演「有人宇宙活動30周年~これからの有人宇宙活動や探査について考えよう」
金井飛行士が、有人宇宙活動のこれまでとこれからについて講演を行った後、会場からの質問に答えるトークイベントを行いました。今年は実は、JAXA宇宙飛行士が初めて宇宙に飛び立ってから30年の節目の年です。毎年人気の高い宇宙飛行士講演ですが、今年は2回の公演につき各120人限定の事前申込制。厳正なる抽選の結果、幸運を射止めたお客様から熱心な質問が次々と寄せられました。「宇宙飛行士になるか医者になるか迷っている。両方なることはできるか」「宇宙飛行士になるには何を勉強したらよいか」など、子供たちからの質問にも熱がこもっていました。未来の宇宙飛行士候補者ですね。講演の様子は、後日、JAXA YouTubeチャンネルにて公開しますので、来場できなかった方、抽選に漏れた方も是非楽しみにしてください。
それって、宇宙だとどうなるの?~宇宙での不思議な現象を考える~
「きぼう」での宇宙実験をテーマに、アジアの国々との協力、船外実験、燃焼実験などについて語る親子向けトークイベントを3回に分けて行いました。大人でも難しい内容もありましたが、会場の子供たちからは、鋭い質問も飛び交い、解説者が、「将来は科学者になれそうですね」とコメントする場面も。
最後に2択クイズでABどちらかの回答を選び、正解のドアから出るとプレゼントをもらえるという、楽しい仕掛けもありました。
最後に2択クイズでABどちらかの回答を選び、正解のドアから出るとプレゼントをもらえるという、楽しい仕掛けもありました。
「きぼう」「HTV-X」運用管制室ツアー
国際宇宙ステーション(ISS)の実験施設である「きぼう」日本実験棟の運用を24時間体制で支える「きぼう」運用管制室と、開発中の新型宇宙ステーション補給機HTV-Xの運用管制室を見学するツアーです。「きぼう」運用管制室では、実際に運用管制している様子を見学場所から見ることができ、また、HTV-Xは、2020年に9機の運用を完遂した「こうのとり(HTV)」の後継機で、運用管制室もHTVで使用していたものを、HTV-X向けにリニューアル、今回が初めての公開になります。
「きぼう」ロボティックス
「きぼう」や将来的な有人宇宙拠点に向けて研究開発しているロボットたちを紹介。実際にロボットを動かすための模擬フィールドも公開!軌道上の宇宙飛行士の気分で、写真を撮ることできる、フォトスポットになっていました。展示コーナーでは、若手職員の熱のこもった説明に大人の方も興味深く耳を傾けていただき、また子供たちは、ロボットの映像に視線がくぎ付けでした。
「HTV-X」「ドッキング実証」紹介
HTV-Xは、2023年度に打ち上げ予定のHTV-X1が初号機になりますが、2号機のHTV-X2では、自動ドッキング機構の実証実験を行います。これは、将来の月周回拠点ゲートウェイなどへの自動ドッキングのための技術を確立するためです。ここでは、このドッキング機構に関する説明展示や、HTV-XをISSにドッキングさせるゲーム「HTV-X GO」の体験会などが行われました。このゲームは、すでにHTV版「HTV GO」が公開されています。とても難しいですが、うまくいった時の達成感は格別。ぜひ試してみてください。
宇宙のくらしってどんなの?「宇宙の食・生活用品・健康管理」を大公開
宇宙食や宇宙用生活用品の展示や、宇宙飛行士の健康管理を行う医師(フライトサージャン)の紹介を行いました。宇宙食や生活用品は実物の展示もあり、来場者も興味津々でした。フライトサージャンは候補者となってから、実際に認定されるまで大変長い道のりだとか。宇宙飛行士のお医者さんは、有人宇宙活動を支える大切な仕事なのです。
大迫力!3Ⅾ動画で見よう★「きぼう」の組み立て
3Ⅾ眼鏡を装着して「きぼう」日本実験棟の組み立てを立体映像で楽しめるイベント。当時、ミッションを担当された星出宇宙飛行士のナレーション付き。たくさんの親子連れが、飛び出す映像を楽しみました。実はこれは、「きぼう」に関わる宇宙飛行士や運用管制要員が訓練を行うためのVRシステムを開発しているチームが制作したもの。エンターテイメント性の高いこうした3D映像技術も、宇宙活動に必要な技術の一つです。
初公開!JAXAのECLSS(エクルス)実験室~宇宙生活を支える環境にやさしい技術~
聞きなれない言葉かもしれませんが、環境制御・生命維持装置(ECLSS)とは、宇宙では、手に入れるのが難しい空気や水をなるべく再利用しながら宇宙で人が生きられる環境を維持するシステムです。難しく感じますが、水を再生させる仕組みや、二酸化炭素を除去して水を生成、あるいは、水から酸素を生成するなど、地上の技術を生かし、また逆にこの研究の成果を地上の暮らしに生かすことができる技術です。実際に研究を担当している職員が、クイズやデモンストレーションを交えながら説明し、大変にぎわっていました 。
「きぼう」運用管制員模擬体験コーナー
「きぼう」にいる宇宙飛行士との交信や、「きぼう」を地上からコントロールする方法など、運用管制員の仕事を模擬体験。最後に小型衛星放出機構(J-SSOD)を用いて、小型衛星の放出を行います。
体験を終えた子供たちには、「きぼう」フライトディレクタ(運用管制員のリーダー役)でもある、大西卓哉宇宙飛行士から認定証をもらうことができます。照れながら、大西宇宙飛行士と記念写真を撮影する姿は、どこか誇らしくも見えました。貴重な体験ですね。
体験を終えた子供たちには、「きぼう」フライトディレクタ(運用管制員のリーダー役)でもある、大西卓哉宇宙飛行士から認定証をもらうことができます。照れながら、大西宇宙飛行士と記念写真を撮影する姿は、どこか誇らしくも見えました。貴重な体験ですね。
アルテミス計画につなぐ!有人部門プロジェクト大全
日本の有人宇宙技術を職員が全力解説。「有人宇宙活動大全」なるポスターのプレゼントや、巨大な年表など、見ごたえのある展示でした。「有人宇宙活動大全」は、若手職員を中心に企画・製作したものです !
有人宇宙活動大全PDF
KIBO×SCIENCE~科学で幸せになる世界 それを作りたくてJAXAは「きぼう」をつくったんだ~
「きぼう」での実験展示やミニセミナー、事前予約制の宇宙遊泳VR体験などを行いました。展示では、宇宙実験担当が来場者と対話しながら、詳しくそれぞれが担当するミッションについて解説していました。また、「きぼう」での実験や宇宙ミッション担当へのメッセージを自由に付せんに書いて張り出すコーナーも。暖かい応援メッセージやお子さんからのかわいい質問などで、ボードが埋め尽くされました。
また宇宙飛行士講演を終えた金井宇宙飛行士がサプライズ登場して、来場者にクリアファイルをプレゼント。お子さんやご家族連れなどと交流を行いました。
15時30分、来場の皆様のご協力のおかげでトラブルもなく、すべてのイベントが終了し、2022年の特別公開を終えることができました。ご来場いただいた方も、お越しになれなかった方も、ぜひ、来年の特別公開にご期待ください。
※個人情報保護のため一部画像に加工を行っております。
※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA