冒頭の挨拶(抜粋/要約)
諏訪:本日はお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。諏訪 理と申します。選ばれてから4か月ぐらい経ち、今日、初出社を迎えてJAXAに合流し、非常にワクワクしています。気分新たに頑張ろうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
米田:今日はお集まりいただきありがとうございます。私は4月に入構して3か月が経ったところで、現在、訓練に励んでおります。本日から諏訪さんと一緒に訓練を始めることができることを大変嬉しく思っております。2人で一緒に頑張っていければと思っております。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
質疑応答(一部)
「今日が初出社の諏訪さん、入構から3か月ほど経った米田さん、それぞれの現在の心境を教えてください」
諏訪:新しく今日から色んなことが始まるので、本当にワクワクしている部分が多くあります。 これから色々な訓練をしていくわけですが、その中で、今までやったことがないようなことをきっとやっていくと思うので、ちょっと不安が無きにしも非ずで、多分皆さん、例えば小学校や中学校の入学式、入社式といったマイルストーンを越えていらっしゃったと思いますが、そんな時に感じるような心境を、今ちょっと感じています。
米田:入社して3か月。最初はJAXA職員としての研修を行い、その後に訓練を開始したのですが、宇宙業界の時間的な壮大さ、また、組織としての空間的な横のつながりとしての壮大さを改めて感じる3か月だったなと思っています。あとは、毎日新しいことを学んでいる中で、学ぶことはやはり楽しいなということと、学ばせていただける環境に感謝だなと思っております。
「これまで対面で会う機会は少なかったのではないかと思いますが、お互いの印象についてお伺いできますか」
米田:初対面は最終選抜の時でして、閉鎖環境適応訓練設備で1週間ほど暮らした期間があり、実はその時、とても仲良くなっていました。なので、もちろん諏訪さんのことはよく知っていますし、むしろ仲良くなった同期が来るのをずっと待っていて、今日ようやく会えてとても嬉しいなと思っているところです。
諏訪:1月にあった最終選抜で3〜4週間ほど米田さんとご一緒する機会があって、本当に頼りになる方だと思っておりました。その方と同期として、これから一緒に訓練をしていけるということで、本当に心強く思っています。
「先ほど、岸田総理大臣を表敬訪問されたということですが、どんな話をされましたか」
諏訪:岸田総理大臣にご挨拶する機会をいただいて、本当に光栄に思いました。 総理からは、日本が今まで培った技術力を発揮して、アルテミス計画などが国際協力の中で進んで行くと思いますが、その中で日本がリーダーシップを取っていけるように活躍して欲しいといった応援の言葉をいただきました。
米田:総理に直接お会いし、ご挨拶することができて大変光栄に思いました。日本のプレゼンス、技術力を活かして、今後、日本人がアルテミス計画の中で月探査を目指していくことに尽力してくださいというお話があり、とても嬉しく思ったのと同時に身が引き締まり、努力を続けて日本の宇宙開発に貢献していきたいという思いを強く持ちました。
「米田さん、この3か月間で特に印象深い訓練は何でしょうか」
米田:訓練は、語学、基礎体力トレーニング、あとはISSや「きぼう」日本実験棟のモジュールシステムについての勉強を行ってきました。印象的なこととしては、「きぼう」の実験棟ができるにあたって、計画の段階でかなりの方のご尽力があったこと、また運営において、様々な国との関わりの中で成り立っているものであること、そしてJAXAだけでなく、民間への利用拡大の動きがあること、そこに関わる方々の思いや、これまで培われてきたものの大きさを改めて感じ、驚かされました。 また、そこに自分が携わることができることに希望を感じますし、自分でできることは何かを考えて、頑張っていきたいなと思っております。
「諏訪さん、今後の訓練に向けての思いなどがあればお聞かせください」
諏訪:年齢は46歳ですけれども、新人は新人なので、より謙虚に新しいことを一生懸命勉強していければいいなと思っています。その中で、これまでやってきた経験というものが活きる場面もあるのかなと思っていますので、その場面でうまく今までの経験を生かせるような、そんな工夫をしていければと思っています。
「米田さんは前職の医療分野から宇宙分野であるJAXAに転身されました。いろいろな宇宙開発の技術をご覧になった中で特に印象的だったものがあったら教えてください」
米田:人が宇宙に行くには必ず生命維持装置、例えば、水、二酸化炭素の除去、酸素の生成といったシステムが必要です。空気や水といった地球の上では当たり前の、地球が作り出してくれた住みやすい環境を、宇宙に行ったら技術的に作り出さなくてはならない訳で、それを作っている、そして改良を加えている、また、ゲートウェイに搭載する時にはさらに制限が加わるという中で開発を進めている、そういった技術に一番驚かされています。
「諏訪さんは世界気象機関から世界銀行へ移られ、理系と文系どちらの分野も経験されています。そういった宇宙飛行士は少ない中、その経験のどういうところを活かしていきたいか教えてください」
諏訪:私は研究から国際開発へ分野を変えましたし、分野を変えた人を間近で見る機会もありましたが、違う分野から来る人が、今までその分野にはなかった新しい経験や知識を持って来ることによって起こる化学反応はあって、それが面白いことにつながることはあると思います。自分の経験というものを大事にして、この宇宙開発の分野で新しい価値を生み出していけるか、長い目線で挑戦していればと思います。
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