1. ホーム
  2. ニュース
  3. JAXA 油井亀美也宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在搭乗員に係る記者会見
2023.06.19
  • プレスリリース等

JAXA 油井亀美也宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在搭乗員に係る記者会見

  • 宇宙飛行士
  • 宇宙のしごと
Share
JAXAは2023年6月16日に開いた記者会見で、油井亀美也宇宙飛行士を2024年頃のISS長期滞在搭乗員に指名したことを発表しました。油井宇宙飛行士は、自身2度目の宇宙飛行となり、ISS長期滞在クルーとして、「きぼう」を含むISSの各施設の維持・保全、科学実験などを実施する予定です。
記者会見に臨む油井宇宙飛行士 image by JAXA

油井宇宙飛行士冒頭の挨拶(抜粋/要約)

このたび、国際宇宙ステーションの長期滞在に指名されました油井です。この度はお忙しい中ご参加いただきまして本当にありがとうございます。

まず指名されての感想と心境、これからの意気込みについて述べさせていただきたいと思います。日本人あるいは人類を代表して、国際宇宙ステーションという場所で、未来を明るくするためにミッションをこなすという、非常に重要な役目に私を指名していただきまして、 本当に光栄ですし嬉しく思っています。

私がJAXAに入って以来、今まで本当にたくさんの方々に応援いただき、そしてサポートもしていただきました。特に2015年の1回目のミッションにつきましては、私の最初のミッションだったということもあり、本当に助けていただいたり、応援していただいたりばかりで、私からの恩返しがなかなかできなかったと思っています。ですから今度は、その1回目の飛行の経験を生かして、なるべく多くの方々に恩返しをしたい、できることは何でもやりたいという気持ちで臨もうと思っています。

そういう中で、私が日本人を代表して人類の未来のために頑張っているというところをしっかり見せて、そして成果を残せれば、それを見た日本の方々がきっと日本という国をさらに好きになり、誇りを持ってくれるのではないかというふうに思いますので、そういうところも目指してミッションに臨みたいと思っています。
記者会見に臨む油井宇宙飛行士 image by JAXA

質疑応答(一部)

「油井さんの宇宙飛行士としての強みを、ご自身ではどのように分析されているのか、そしてそれをどのように貢献に結びつけるのか、具体的に教えてください」

「私自身は前職がパイロットですので、何か機械を操作するとか、あるいは組み立てたり、故障を直したり、そういうことは手順書どおりに、または地上と交信をしながら、協力して進めていくというのは得意ではないかなと思っています。さらに言うと、テストパイロットですので、新しく作ったものの試験、どういうところが良くてどういうところは改善の余地があるのかをコメントすることも以前はプロとしてやってきました。宇宙ステーションには新しいものがたくさんありますので、そういった部分で力が発揮できるかなと思っています。あとは、英語もロシア語も話せますから、いろんなクルーの人たちとそれぞれの母国語で話すことができます。そういう面では、仲を取り持つ役目もできるんじゃないかなというふうに思っています」
報道陣からの質問に答える油井宇宙飛行士 image by JAXA

「前回のフライトから今まで約8年間。非常に長い時間だと私は感じましたが、この期間ついて、どのように感じていらっしゃるのか、また、次のフライトに向けて特にどんなところに力を入れて取り組んでこられたのか教えてください」

「8年というのは私にとっては長かったですが、その長い時間を無駄にするのではなく、いろんなことを学ぶことができたなと思っています。例えば、芸術家の方と知り合いになって一緒に仕事をしたり、あるいは天文学者や科学者の方々とお話をしたり、本当にいろんな方々と知り合いになって、私自身、新しいものの考え方や見方をたくさん学びました。それは理系の私にはないようなものもいっぱいありましたので、それらを複合させると、私自身もっとたくさんの良い発信ができるのではないか、あるいはもっと人生や宇宙といったスケールの長い話もしっかりと実感できるのではないかなと思っています。ですから、この8年は全く無駄だったわけではなく、新しいミッションに生かせるような、いろんな経験ができたのではかというふうに思っています」

「2020年代後半には日本人宇宙飛行士の月着陸をターゲットにされていますが、今回のISS長期滞在ではそれに向けてどういった取り組みをされるのでしょうか。また、油井さん自身も月着陸の候補の1 人になると思いますが、そのあたりはご自身でどういった期待をされているでしょうか」

「ミッションの中身があまり決まっていないので、その探査に向けて、どのような実験が行われるのかという観点では、まだすぐにお答えができません。ですので、個人的な話になりますが、私自身は今回のミッションで、なるべくたくさんの成果を残して、日本人の宇宙飛行士としてお手本になるようなミッションにしたいと思っています。次は2回目ですし、その内容が月へ向かう候補者になれるかというところにもつながっていくと思いますが、それ以上に、私よりも若い人たちをうまく刺激することにつながるのでは…というころを期待しています。私がハードルを上げれば上げるほど、私よりも上に行かないと月には行けないんだというふうに思っていただいて、頑張っていただくのが大事だろうと思っています。競争関係にはあるものの、私はある程度歳をとっているので、そこは少し大人になって、日本全体の利益を考えて、私は宇宙ステーションでのミッションが終わったら、彼らが私を越えられるような教育をしっかりしてあげることが大事じゃないかというふうに思っています。なので、もしかしたら自分が行けるかもしれないですが、日本人が月に行って、世界に誇れるような成果を残す方が私は大事だと考えていますので、そのために一生懸命頑張りたいと思っています」
報道陣からの質問に答える油井宇宙飛行士 image by JAXA

「油井さんは天体観測がお好きで、ISSから撮られた宇宙の写真集も出されたと伺っています。次にISS滞在をされた時に、これを見たい、撮りたいというような地球の自然現象や宇宙の風景など、何か狙いがあれば教えてください」

「前回は全天の全部の星座は撮れていないので、星座をしっかりと撮影をして、ちょっと最近は休んでいますが、「油井画伯」として星座の絵も描いていたので、それを全部の星座で完成させるというのもいいかな…なんて思っています。あと地球の現象で言いますと、今、訓練の授業でも地球観測の話があり、例えば氷河の状態や雷、大気汚染の状況など、科学者の方々から見た時に、宇宙飛行士が撮った写真のどういうところにどういう科学的なデータがあるのかという説明を聞いていますので、私としても、美しくてみんなを感動させつつ、でも実はこんなところに科学的な重要な意味があるんだといった、そういう素晴らしい写真を撮ってみたいなというふうに思っています」

「油井さんが宇宙に行かれることで、次世代の子供たちにどんなことを伝えたいか、感じて欲しいか、教えてください」

「私は基本的に自分の強いところはあまりありませんが、弱いところも隠さずに出すんです。例えば、野菜が嫌いだとか、漢字が書けなくて0点がたくさんあったとかいう話もします。なので、そういう等身大の自分というものを見せながら発信をして、そういう人間であっても、目標を持って努力を続ければ、大きなことを成し遂げられるのだというところを示してあげたいと思います。何か苦手なことがあっても私はいいと思うんです。好きなことがあればそれでいい。もうそれ自体が才能で、好きであれば続けられますし、全ての子供たちが才能に満ち溢れていると思います。なので、そういうことが分かってもらえるようなミッションにしたいですし、分かってもらえるようにしっかりといろんな手段を通じて情報発信したいと思っています」

「前回のフライトから時間が経ち、現在アメリカで訓練をされていて、以前よりすごいと感じる技術があれば教えてください。また逆に、日本の技術ですごいと感じることがあれば教えてください」

「こちらに来て訓練をして思うのは、宇宙ステーションの中が変わっていることです。同じものも変わったものもありますが、変わったものに関しては、すごく便利になっているなという印象です。手順や仕事の仕方がすごく効率化されていて、私が行った時よりも、比較にならないほど仕事がしやすくなっているように感じます。これは、運用に関わっている方々、あるいは宇宙に行ってこれまで仕事をした宇宙飛行士のコメントが生きているところだと思います。日本に関して思うのは、「きぼう」の使いやすさですね。本当に拡張性があるというか、何でもどんな実験でもできるようになっているのが、私は本当にすごいと思います。この設計を考えたのが、もう20年、30年とすごく前ですが、それが今でも全く古くなく、基本コンセプトとしてすごく優れていたなと思います。ですから、こういう能力を発揮できれば、今後の探査でも日本は大活躍できるのではないかなと思います。「きぼう」の時にすごく優秀な方々が集まって、いろんな議論を尽くしてうまく設計をしたからこそ、こういう結果になっていると思うので、探査についてもしっかりと腰を据えて、日本が将来に渡って誇れるような、そういう貢献をすることが大事なのではないかなと思っています」

油井宇宙飛行士会見終了の挨拶(抜粋/要約)

「重ね重ねになりますが、本日は本当に参加いただきましてありがとうございます。私自身が目標とするところはいろいろありますが、その一つは応援してくださる方々、メディアの方々も含めて日本の国民の皆様方、世界の方々、いろんな方々の意見を聞きながら、みんなで楽しく明るく、大きな成果が残せるミッションを作っていくことですので、忌憚のない意見をこういう会見の機会だけでなく、ツイッターや取材の際などにもお寄せいただければと思います。私自身、可能な限りしっかりと対応して、多くの方に喜んでいただけるミッションになるよう挑んでいきたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いいたします」
意気込みを込めてポーズする油井宇宙飛行士 image by JAXA
会見には22社37名のメディアが参加し、他にも多くの質問が寄せられました。また、JAXA YouTubeチャンネルではライブ配信がされ、200名近くの人にご視聴いただきました。

この様子は、同チャンネルでアーカイブされていますので、ぜひご覧ください。
油井宇宙飛行士の活動に今後もご注目ください!

※本文中の日時は全て日本時間

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA