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2022.07.26
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JAXA 若田光一宇宙飛行士 国際宇宙ステーション長期滞在への思いを語る!

  • 宇宙飛行士
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今年9月29日以降の打上げが予定されているクルードラゴン宇宙船運用5号機(Crew-5)に搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する若田宇宙飛行士。自身5度目の宇宙飛行を前にアメリカから一時帰国し、7月21日に記者会見を行いました。
若田宇宙飛行士記者会見の様子 ©︎JAXA

若田宇宙飛行士冒頭の挨拶(抜粋/要約)

「クルードラゴン宇宙船に3回連続で日本人が搭乗し、ISSに長期滞在の機会を持って活動するということは、日本が長年培ってきた有人宇宙技術の分野での信頼の証だと思いますし、同時に国際協力の象徴の証であると思っています。私も野口宇宙飛行士、星出宇宙飛行士に続いてクルードラゴンで国際宇宙ステーションに参りますが、このような貴重な機会で飛行させていただくことに感謝しています」

「(若田宇宙飛行士自身が建設に関わった)「きぼう」日本実験棟について、2009年7月の完成から13年間にさまざまな利用成果を創出してきています。特に民間の利用が大きく広がっていること、さらには、「きぼう」日本実験棟だけではなく、ISSに補給物資を輸送する宇宙ステーション補給機「こうのとり」の成功率100%という活躍もあり、日本への信頼が非常に高くなっていることを実感しております」

「そして、国際宇宙ステーションは月・火星探査に向けた非常に重要な技術実証の場でもあります。そういう点にも留意して、長期滞在に臨みたいと考えています」

質疑応答(一部)

「今回、訓練なども含めてこれまでと違った難しさを何か感じましたか?」

「新型コロナウイルスの世界的な流行の影響で海外の渡航ができないので、これまでは世界各国の訓練所に行ってシミュレータで訓練をしていたところを、かなり、リモートでの訓練をしなくてはなりませんでした。ある意味で効率的な部分もあるが、緊急事態の訓練などは実機のモックアップがあったりすると効率がかなり変わってくるので、リモートと現場での訓練をきちんと使い分ける段取り、訓練計画を立てるといったところは、宇宙飛行士だけでなく訓練担当の皆さん含めて苦労されたところかと思います」

「日本人としては最多の飛行回数、世界的に見てもベテランの宇宙飛行士としてISSでどのような役割を果たしたいのかお聞かせください」

「今回の宇宙船に搭乗するのが、自身以外は宇宙飛行の経験がないルーキーが3名ですので、様々な観点で経験に基づいてアドバイスさせていただけることが多くあります。それは宇宙飛行前も宇宙においても同じで、宇宙飛行を経験した者としてできるだけ彼らをサポートしていきたいと思っています」

「今回のフライトでいちばん楽しみにしていることを教えてください」

「これまで経験したことのない作業に取り組めることを楽しみにしています。まず1つは、野口さん、星出さんに続いて(自身は初めて搭乗する)クルードラコンで宇宙ステーションを訪問できること。クルードラゴンは、新しい時代の操縦桿もない宇宙船で、タブレットで操縦をしている感覚でかなり自動化が進んでいますが、逆にそのために訓練時間もかなり少なくて済んでおり、より多くの方が宇宙飛行、宇宙旅行を実現できるための新しいシステムになってきています。また、宇宙ステーション(での任務)では、これまでも訓練はしていましたが、「船外活動」をする機会はなかったので、そういったこれまで経験できなかったことも経験出来ればと楽しみにしております」

「これまでの宇宙飛行の集大成としての意気込みがあれば教えてください」

「これまで4回の宇宙飛行をさせていただきましたが、毎回毎回そのミッションが最後になってもいいと思って全力で臨んでおり、毎回このミッションが集大成だと思ってやってきました。ミッションに対する新鮮な気持ちと、自分に対する新たな挑戦の気持ちはこれまでと変わりません。ただ、宇宙飛行経験者としては、(自身以外の3人が初飛行であることから)私の最初の飛行の時に多くの先輩たちが支えてくれたのと同じように、一緒に飛ぶルーキーの仲間をきちんと支えるという気持ちをもってミッションに臨みたいと考えています」

「キャッチフレーズの中に、前回に引き続き“思いやる”という言葉が入っていますが、この言葉に込めた意味を教えてください」

「思いやるという言葉は、私がとても大切にしたいなと思っている言葉。有人宇宙活動の仕事というのは、1つのミッションを成し遂げるために、多くの方々、多くのチーム、それが1つの国だけでなく様々な国が結束して、チームワークを持ってはじめてできることだと思います。ミッションがスムーズに進み、様々な活動の成果をきちんと出していく時に不可欠なのは、やはりチームワーク。そのために不可欠なのが相手を思いやる、相手の立場に立って考えてみること。同じ目的に向かってチームとして団結していくことの大切さはこれまでの宇宙飛行の時にも大切だと思ってやってきましたし、一緒に仕事をしてくださる地上そして宇宙の仲間も皆、同じように価値観を持って仕事をしてくれたので、この言葉を入れました」
若田宇宙飛行士記者会見の様子 ©︎JAXA

若田宇宙飛行士会見終了の挨拶(抜粋/要約)

「これから打上げに向けた時間は限られていますが、体調管理にきちんと留意してISS、「きぼう」利用の成果を出していけるように全力を尽くしたいと思っています。これが地球低軌道のさらなる利用拡大、月探査へとシームレスにつながっていくように尽力し、私の次に宇宙飛行をする予定になっている古川聡宇宙飛行士にきちんとバトンをつなげていきたいと思います」
記者会見の模様は、YouTubeでライブ配信されました。見逃した方は、こちらでアーカイブ配信されていますので、ぜひご覧ください。
若田宇宙飛行士の活動に今後もご注目ください!

※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA