公開 2021年8月 6日
- 人間の生活環境には様々な真菌が生息しており、宇宙ステーションでの機器や健康への影響が懸念されていました。
- 「きぼう」の打上げから7年間にわたって合計5回のサンプルを採取し、真菌の種類や量の経時変化を確認しました。
- 真菌数は増加しているが船内に浮遊はしておらず、宇宙飛行士の健康維持には定期的な清掃と微生物検査の実施が有効であることを示しました。
帝京大学医療共通教育研究センターの佐藤一朗講師、山崎丘講師、同医真菌研究センターのアレシャフニ・ムハンマドマハディ助教、西山彌生非常勤講師と槇村浩一副センター長は、国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟の真菌叢(注)の経時変化を稼働開始から7年間にわたり解析しました。
その結果、「きぼう」船内ではヒト由来の真菌が優占種となる群集を構成していること、器機表面の真菌数は増加中ではあるが空気清浄機が正常に稼働しているため培養可能な状態の真菌は船内に浮遊していなかったことを明らかにしました。
これらのことから、宇宙飛行士の健康維持に定期的な清掃と微生物検査の実施が有効と考えられます。
(注)真菌叢:キノコ、カビ(糸状菌)、および酵母として知られる真核微生物の集合体
なお、これまでの微生物環境モニタリングの知見を活かして、JAXA、帝京大学、大阪樟蔭女子大学の協力により、「きぼう」日本実験棟の微生物環境の継続的なモニタリングや、新たな微生物のオンボードモニタリング法の開発を実施中です。
論文情報
雑誌名
Microbiology and Immunology
論文名
著者名
Satoh Kazuo, Mohamed Mahdi Alshahni, Umeda Yoshiko, Komori Aya, Tamura Takashi, Nishiyama Yayoi, Yamazaki Takashi, Makimura Koichi
DOI
10.1111/1348-0421.12931
PMID
34251696
帝京大学プレスリリース
関連リンク
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