
松本 聡
JAXA 有人宇宙技術センター 技術領域主幹
■担当業務の概要
HTV-X 1号機には、我々の開発した実証装置を搭載して、国際宇宙ステーション(ISS)まで運んでもらう側となります。搭載カーゴはCO2 除去システム軌道上実証装置(DRCS)で、大きさは高さ122 ㎝、幅50 cm、奥行き75 cm 程、質量約190 kg の与圧の実験装置としては最大級のものです。将来の有人宇宙探査に向けて技術獲得のために、「きぼう」の微小重力および有人閉鎖環境のといった実機と同じ環境を活用して、JAXAで研究開発を進めてきたCO2 除去技術を軌道上で実証するものです。
HTV-X1号機に込めた思い
搭載した装置は、宇宙飛行士の活動を支える環境制御・生命維持システム(ECLSS)の主要システムであり、技術的に高度で難しいものの1つです。今後、有人宇宙探査には ECLSS は欠かせないもので、実用機開発に先立ち軌道上実証を実施することは、システムの信頼性を向上させる上で大変重要となります。DRCS は「こうのとり」を含めて過去最大サイズであり、HTV-X 1号機与圧部への搭載においては、カーゴチームの総力を結集していただきました。「きぼう」での装置運転により、月周回有人拠点(Gateway)や有人与圧ローバに搭載するCO2除去システムの開発に活かす成果が得られるようDRCSチーム一丸となって取り組みます。